ファミリーレストラン 「外食」の近現代史 (光文社新書 622)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334037253

作品紹介・あらすじ

日本で、「家族」という単位での「外食」が本格的に開始されたのは、明治以降だった。鉄道や海上交通が発達するにつれ、駅弁や駅前食堂、大衆食堂、デパート食堂といったものもまた、発展していった。その後、戦時中の食糧難、戦後のアメリカ洋食の影響などを経て、ファミリーレストランの誕生へとつながっていく。その前史から、一九七〇年代に迎えた黄金期、「食べる場所」から「いる場所」へと変化した一九八〇年代、「ファミリー」の変化とともに変質する一九九〇年代、そして低価格化と専門料理化の流れのなかで進化する現代を、「日常食」研究の第一人者が俯瞰して綴る。楽しい食べ歩きコラム付き。

感想・レビュー・書評

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  • 「24時間戦えますか」そんな言葉に乗せられて、長い通勤時間、仕事を終えて夕食(夜食)代わりに居酒屋でいっぱい、帰宅すれば「もう寝てる」(当然です、了解のもと)、出勤時は「まだ寝てる」(了解です)、そんな昔気質?の仕事をしてきました。子供が小さい頃は、妻におんぶにだっこでした。「感謝」「有難う」の言葉だけです。ごくごくたま~~~にファミリーレストランに行ったでしょうか。今柊二 著「ファミリーレストラン」、2013.1発行、ファミリーレストランの誕生から隆盛、そして発展・変化していく全貌がよくわかりました!

  • ファミリーレストランの歴史。

    この本が論じたいものが食の思考の変遷を辿るメニュー史としてなのか、チェーンのシェアの歴史としてなのか、社会における位置づけとしてなのか、個人としての経験の蓄積としての歴史なのか、いまいちはっきりしないのが残念。

    ただ、ドリンクバーがファミリーレストランのあり方を(ハレの場から日常の延長へと)変えたという考察はかなり重要だと思う。

    いろいろな欲に対する商品の大衆化が一般化していき、供給も拡大していった時代の、食欲と核家族化における家庭でのふれあいというコミュニケーション欲にピッタリとハマったのがファミリーレストランと読んだ。

  • 日本人が外食をする様になったのは長距離移動が出来る様になった事と手弁当より安価な外食が手に入る様になった明治頃に街道沿いの一膳飯屋や茶屋が始まりの様でその後鉄道が運行される様になると駅前食堂や駅弁当が流行り出し西洋料理の渡来とも相まって食堂・レストランが発展して行った。

     百貨店の上層階にあるレストランは家族でハレの日に集って食事する場所となり観光+非日常的な食事が体験出来た。

     時代は現代、モータリゼーションを背景とした全国チェーンのファミレスは深夜や24時間営業が当たり前となり料理も味も価格も全国画一的で全国でファミリーから中高校生迄が同じ行動をする様になりもはや日常の場所であり特別に食事する場所では無く極めて身近な居る場所としてのレストランとなった。

     私の子供時代も家族で良く夕食に行きその都度ワクワクしたものですが今ではアットホームな家族像より深夜に徘徊する若者の溜り場と化しているのが残念です。

     この本で知りえた有名ファミレスチェーン店が下記です。
      1)ロイヤルホスト:九州が最初で現在ではJAL等の機内食も請け負っているそうです。ま    たケンタッキーが日本に入る前に米国本社とフランチャイズが実現する寸前だったとも、

      2)すかいらーく:関東で”ことぶき食品”というスーパーが出店したレストランで1号店は           国立です。

      3)ビッグボーイ:ビッグマックのモデルとなったバーガーがメニューに有った。

      4)デニーズ:イトーヨーカ堂のショッピングセンターのレストランとして計画された。
     

  • 「定食と古本ゴールド」が良かったので、
    同じ作者の本を選んでみました。
    これまた面白かった♪
    文章はいたって真面目な、ファミレスの創生史。
    「外食」から始まり、デパートのお子様ランチ、
    家族で食べる「外食」へ。
    それは、江戸から明治、戦争を経て、高度成長にバブル・・・
    時代の移り変わりの中での家族の変容、食事の変化が、
    ファミレスという「外食」形態の勃興に密接に関わっていく。
    主なるファミレスの成り立ちから展開が詳しい。
    また、実食レポも楽しい・・・美味しそう(*^_^*)

  • 「外食」という切り口で近現代史を見る

    ◆明治維新によって人々の動きに流動性が出た事により、外食が急速に発達18

    ◆1878年の内国勧業博覧会の売れ残りを陳列した「勧工場」が日本の百貨店の源流となった。38

    ◆1904年の三越デパートメント宣言。40

    ◆デパートの食堂が、一般女性の外食の黎明。その後子どもをも取り込む。なお、屋上に遊戯スペースがあるというのは日本の百貨店に独特な事。42〜

    ◆横浜のホテルニューグランドの味を引き継ぎ78、福岡の江頭匡一が創立したのがロイヤルホスト。1970年の万博のアメリカパビリオンの外食スペースを手がけて経験を積んだ。

    ◆ロイホは福岡では特別な存在。日本航空福岡空港の最初の機内食を提供したのもロイヤル。
    西のロイホに対して東のすかいらーく。

  • ファミリーレストランが今の形になるまでの流れが書かれてある。所々に書かれているコラムで色々なファミリーレストランの思い出や食事の感想が臨場感たっぷりに書かれていて面白い。もう少しビジネスモデルや原価構造のようなものにも触れられていると思っていたが、その点の記載はなかった。

  • ○エッセイストで、食関係のエッセイを得意とする今柊二氏の著作。
    ○ファミリーレストランの歴史を紐解きながら、どのように発展していったのか、 過去と現在のファミレスの違いなどについて、楽しく・美味しそうに考察したもの。
    ○ファミレスのルーツがデパートの食堂やホテルニューグランドの正統洋食の流れを汲んでいることなど、知らないことばかりでとても興味深かった。
    ○特に、ロイヤルホストについては、単なる高いファミレスとしか思っていなかったが、これほどまでの歴史があるということがわかり、早速食べに行きたくなった。
    ○ファミレスが「居るところ」になったというのは、実感としても思うところなので、今後も意識して利用してみたいと思う。

  • 定食の次はファミリーレストラン。食文化を概観するには役に立つ一冊。

  • 人口は減っているのに世帯数は増えている日本。標準世帯モデルから単身世帯モデルに移行している今、ファミレスは三丁目の夕日のお茶の間と同じように「幸せだった時間」の記憶で過去のものになるのでしょうか?それとも「子供がうれしそうに食事をする顔を見るのはうれしい!」という筆者の心からの気づきを繰り返しアップデートしていくのでしょうか?「外食」が「産業」になっていく歴史を温かい目線、軽やかな筆致で描く新書ならではの名著だと思いました。デパート→ファミレス→フードコートという流れにも家族の在り方の変遷が隠されています。それにしても、ファミレスでご飯食べたくなりますよ!

  • ファミレス発生に至るまでの歴史、ファミレス発生以後の進化をまとめた1冊。
    途中に挟まれている、著者本人の「ファミレス体験記」がおもしろい。自分自身が行ったことがある店を多く取り上げているので、イメージがすぐに思い浮かぶ。

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著者プロフィール

1967年生まれ。横浜国立大学卒。定食評論家。
庶民の味、市井の食文化に対する飽くなき探求心から国内外各地をめぐり、安くておいしい定食とそれを提供する店の調査・研究をおこなう。
主たる著書に『定食学入門』(ちくま新書)、『定食と文学』『定食と古本』(本の雑誌社)、『ファミリーレストラン「外食」の近現代史』(光文社新書)など。二児の父。

「2015年 『定食ツアー 家族で亜細亜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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