スローシティ 世界の均質化と闘うイタリアの小さな町 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334037369

作品紹介・あらすじ

スローシティやイタリアの美しい村連合に共鳴した小さな町、ショッピングモールの締め出しに成功した町、フェラガモが創り上げた大農場やオーガニックの父と呼ばれた人物の住む村-。グローバル化社会の中で、人が幸福に暮らす場とは何かということを問い続け、町のアイデンティティをかけて闘う彼らの挑戦に、その答えを探る。

感想・レビュー・書評

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  •  北欧諸国は福祉や教育が充実していることで有名だが、イタリアってどうなんだろう?とふと目に留まって読んだ本。国民性に触れながら市政について言及してると想像してたら、地方都市のまちづくりについての話だった。
     なるほど、確かに日本の郊外はどの地域も似たり寄ったりの街並みで個性も全くない。空き家や歴史ある建物(修道院など)を民泊に改装し、豊かな自然や地元の名産を使用した料理で地域の魅力を最大限に活かし、雇用の創出も図っている。旅行中までバタバタと忙しくするのはやめよう、の記述に納得。イタリアはもちろん、日本でもスローシティの取組を頑張っているまちに行ってみたい。

  • グローバリズム〜世界の均質化〜の波は、日本だけではなくもちろんイタリアにも押し寄せている。そんな中で、地方の小さな街や村がどのように生き残りをかけて努力しているのか。スローシティの先進国ともいえるイタリアからのリポート。

    どの街に行っても同じような量販店、コンビニ、ショッピングモールとシネコンが立ち並ぶのは、我が国だけの風景ではないらしい。それらは地元の個人商店や産業を容赦なく駆逐していく。しかし始末が悪いことに、それらの存在は、便利さを求める地元民の要請でもあるのだ。

    そんな中で様々な観点から自分たちの土地を見直し、時間をかけてその魅力を掘り起こし、また新たにつくり出すことに成功した事例の数々。

    日本でも村おこし、町おこしが盛んではあるが、本当にその土地の良さを再発見し、美しく再興させている例はまだ少ないのではないだろうか。都会のコンサルタントの食い物にされることなく、基本的には地元の人間が自力で考え、つくっていくことが大切だろう。

  • 「あれがないこれがない」と、隣の芝の青さに目をくらませるのではなく、今ここに「あるもの」の質を磨き上げていく。そんな人たちの言葉が響きました。イタリアの道中記みたいなところも面白かった!

  • 2023.08
    ・若者たちが町にいつくために必要なのは教育や医療以上に、文化的刺激なのだ。そして医療、教育、文化を相互に結びつけていく上で大切なのがボランティア活動なのだ。
    ・食というのはただの栄養補給ではない。それは文化であり、環境であり、美意識であり、生命そのものだ。

  • 601-S
    小論文・進路コーナー

  • 興味にドンピシャの本。イタリアに学べることは多い。

  • 面白いのが巻末にある没場所性の処方箋

    1 交流の場をどんどん増やそう
    2 魅力的な個人店を買い支えよう
    3 散歩をしながら地元のあるもの探しをしよう
    4 ゆっくり歩いて楽しめるまちを育てよう
    5 どうせやるならあっと驚く奇抜な祭りを
    6 水が安く出てくるありがたさ
    7 エネルギー問題は長いスパンで
    8 そろそろ人を惹きつける美しいまちを

  • 課題図書。
    でも面白かった。フェラガモの話とか、美観の問題とか。日本人は景観に鈍感って話は良く聞くけど、価値観を共有しんと、気付かんままなのかな、と思った。

  • イタリアの小さな町それぞれには人を惹きつける力があるようです。自然、街並み、食べもの、住む人々。また、そういった観光の要素だけではなく、農家や職人や個人のお店などを大事にして、住人にもそこに住むことで満足感や肯定感が得られるような仕組みになっている。
    世界はどんどん、同じような街や都市ばかりになっていっている。ベッドタウンもそうだし、個人商店を駆逐してしまい景観を壊す、国道沿いなどに作られる巨大な店舗もそうです。土地柄に関係なく、風景をどことも同じ、つまり均質化される大量消費、大量販売の考えによって出来あがる、アメリカ型の街の作られ方。イタリア人は、「それは間違った考えではないか」とし、その街にないものを探して嘆くのではなく、あるものを再発見して、それを長所としてストロングポイントにしていきます。それが、トスカーナのキアンティ地方であり、小さな街でありながらパルマに次ぐ生ハムの名産地であるサン・ダニエーレであり、その他にも魅力的な小さな町であるスローシティが存在する。それは見事な、生き方の美学であるとい同時に、理にかなった生き方でもあるように、過疎の町に住む僕には思えたのですが、本書を読む他の方はどう思うでしょうか。

  • イタリア人は、賢い。自分のリズムに従う事や、地方の良さを守る事が、自分達を守る事になるのだろう。黒川温泉は、 この例に似ている。不便だが最高。

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著者プロフィール

島村 菜津:ノンフィクション作家。福岡県出身。東京藝術大学芸術学科卒業。十数年にわたって取材したイタリアの食に関する『スローフードな人生!』(新潮文庫)はスローフード運動の先駆けとなった。著書に『フィレンツェ連続殺人』(新潮社、共著)、『エクソシストとの対話』(小学館、21世紀国際ノンフィクション大賞優秀賞)、『スローフードな日本!』(新潮社)他。最新作は『バール、コーヒー、イタリア人~グローバル化もなんのその~』(光文社新書)。

「2017年 『ジョージアのクヴェヴリワインと食文化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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