辞書を編む (光文社新書)

著者 : 飯間浩明
  • 光文社 (2013年4月17日発売)
4.08
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  • 65レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334037383

辞書を編む (光文社新書)の感想・レビュー・書評

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  • 先日NHKのBSで「ケンボウ先生と山田先生」という、三省堂の二大辞書―『三省堂国語辞典』と『新明解国語辞典』を編纂した二人の国語学者、辞書編纂者の物語が放映された。ぼくはそれまで二人の名前はよく知っていた。見坊さんのことも多くの著書を通じて知っていた。しかし、二人が戦後大学を出てすぐ、金田一京助という(本人はほとんど辞書の編纂に興味がなかった)国語学者のもとで辞書編纂に従事し、その後たもとを分かつことになったことは知らなかった。そして、愛用する『新明解』も見坊さんがからんでいるとばかり思っていたが、見坊さんがずっとかかわってきたのは『三国』の方で、『新明解』は山田忠雄さんが中心となって編纂されてきたのだった。(さっそく本屋へ『三国』第6版を買いに行った)その『三国』は現在第6版が出ていて、今年末には第7版が出るそうだが、その7版の編纂の裏話、苦労を書いたのが本書である。用例採集といえば見坊さんの145万?の用例カードが有名だが公私に関係なく、どんなときでもカードに取るその姿勢は、とてもまねができないし、こんな人と人生をすごした奥さん、家族はたいへんだったろうなあという気がする。(今ならだれも結婚してくれないだろう。むしろ、独身を貫き通すべきだ)飯間さんは、見坊さんまではいかないまでも(むしろ奥さんの視点に助けられたりしている)、日夜カメラをもって、珍しいことばを採集し、電車の中でも雑誌を読み、該当箇所をやぶり折る作業を続ける。(ぼくも中国へ行くとカメラをもってこれはという字を撮り回るから、しばしば妻において行かれる)辞書編纂の過程で、飯間さんが最も力を注いでいるのはやはり語釈で、カピバラという動物の語釈を書くために動物園に行ったり、キャバクラを書くために(人に連れられてではあるが)現場に足を運んだりする。そういう努力も辞書の上ではせいぜい2~3行で書かなければならない。百科項目を国語辞書としてどう記述するかも興味深かった。ぼくがひとつ気になったのは、飯間さんの名前が第6版では表紙になく、裏表紙にしか出ていないということである。第7版では出ていることを期待したい。

  •  飯間浩明 著「辞書を編む」を読みました。

     著者は、「三省堂国語辞典」の辞書編纂者。2013年末に発売予定の第7版の改訂作業をめぐる知られざるエピソードを通じて辞書の魅力を伝えてくれる。

     たまたま新聞で紹介されていたので、手にとってみたのですが、読み出したら止まりませんでした。

     辞書の改訂にこんな人たちの苦労やドラマがあったとは、想像もできませんでした。

     街中での言葉の用例採集など、少なからず言葉に関する仕事についている自分にとって、とても興味をもそそられました。

     また、普段は実用的にしか辞書を扱うことはなかったのですが、この本を読んだことで、辞書の物語を想像してしまいそうです。

     文庫化を待ち望んでいる、三浦しをんの「船を編む」はまだ未読なので、この本を読んだことで、一層読むのが楽しみになりました。

     辞書によってその特色や魅力があることもこの本を通じて改めて考えさせられました。

     そして、もちろん年末発売予定の第7版は絶対買おうと心に決めました。

  •  リアル『舟を編む』を読む、ぐらいの軽い気持ちで手にとりましたが、編纂方針の違い、特長に注目すれば、目的に合った国語辞典を選べるということがよく分かり、期待以上に実用的でした。『三国』は中学生にでも分かる説明を心がけているとのこと。第7版発売のあかつきには購入したいものです。

     本書が中学生にとって面白いかどうかは微妙なところですが、『舟を編む』を面白く読めた子にはすすめてみたい。出来上がったものを使っているだけではおそらく気づかない、すべては人の労苦の結実だということに、せめて気づいてくれたらと思います。

  • 著者は『三省堂国語辞典』の編集委員。「編集方針」「用例採集」「取捨選択」「語釈」「手入れ」「これからの国語辞典」と、辞書編集のプロセスをひとつひとつ丁寧に紹介する、まさに「辞書を編む」現場からの実況中継のような一冊。いままで三省堂の辞書というと、愛用している『新明解』『明鏡』しか知らなかったが、『三省堂国語辞典』もなかなか特徴と個性があって興味深い。ipadアプリ版の購入を検討しよう。
     
     作業としては、辞書作りと国語教科書編集のそれとはよく似ている。いずれも地道な用例(案)の収集作業から始まり、会議での検討とすり合わせを経て新規の項目が決定され、従来の記述にも新たな観点から手入れが加えられていく。完全な教科書がないように、おそらく完全な辞書もない。とくに「基本語」の語釈の難しさという指摘には、蒙を啓かれた気分になった。たしかに「右」「左」を言葉だけで説明することは、ひどく難しいことだ。
     
     辞書には個性があることは多くの人が知っている。そして、その個性は、じつは書物というモノ(始めがあり、終わりがある=収録できる言葉の数に制限がある)の形態に依存していたのかもしれない(ウィキペディアやウィクショナリー全体に「個性」は感じられない)。言葉というものに自覚的になってもらうためにも、最終章「これからの国語辞典」はぜひ学生さんたちににも読んでもらいたい。

  • 舟を編むを観て、しばらく経ってから本屋さんで発見。映画にはそんなに出て来なかった語釈の大変さも分かったし、辞書毎の特色なんかもわかりやすかった。今欲しい辞書はもちろん新明解と三国。

  • まず、書評をば。
    読みやすく、辞書編纂への思いが感じられる。愛のある一冊。
    これから先、有難さを頭の隅に感じながら、辞書を引かせて頂きます。

    そして、著者 飯間氏に届けたい。
    作中のパート「紙の辞書はなくなってもいいか」で、紙のよさを示す部分があります。

    僕が書斎からデジタルを排除し、紙の辞書を持っている最大の理由がそこにはありません。お気づきでしょうか。
    スマホ辞書は書斎では邪魔なのです。
    言葉の意味を引くつもりが、逆に通知欄に

  • <目次>
    はじめに
    第1章  編集方針
    第2章  用例採集
    第3章  取捨選択
    第4章  語釈
    第5章  手入れ
    第6章  これからの国語辞典

    <内容>
    『三省堂国語辞典』の編者の一人、飯間さんによる辞典(辞書)の作成をリアルタイムで紹介した本。著者の「実例主義」の話が面白い(第2章)。第6章は、なるほどと思った。ネット上に「ウィキペディア」の辞書版「ウィクショナリー」があるのは知らなかったが、さらに俗語辞典「日本語俗語辞書」があるとは…。本の発行が2013年なので、その後どちらも語数が増えていると思うが、『広辞苑』第7版の発行で、紙の辞書とネット辞書の違いをテレビでもやっていたように、紙は自然と調べている単語以外にも目が行くところだと思う。結果、語彙数が増えていく(ただし、活字に拒否症状のある人はつらいかな?)ことだと思うので、今後も紙の辞書の改訂をし続けてほしいな(私も活中だから⁈)。


    逗子市立図書館

  • 例えば。「愛」は「恋」の上位という認識が一般的な感があるけど、辞書の語釈で考え且つ成り立ちも踏まえると、けしてそんなことはない。

    そんなことを真面目に思案し議論する“辞書編纂者”なる人種のお仕事ドキュメント、辞書が作られる過程の体験談だ。言葉好き、辞書好きとしてはその全てがエキサイティング。

    語釈も宝だが、それを書くための用例こそが、一度失われたら取り返しがつかないとか、語釈は、既にある解説を再構築しても駄目で、自分の経験まで含めて自分の言葉にしなければならないとか。うん、伝わってないと思うけど、面白いんだ!

  • 飯間さんの誠実な人柄が「読ませる推進力」になり、結果、辞書編纂という作業の面白みが伝わる、とても美味しい読書。
    本書を要約すれば、生きた言葉を平易に説明、という編纂方針に尽きる。
    その具体例が膨らみを持って紹介されるのだが、細かく教えて貰えば貰えるほど興味が湧く。
    こんこんと泉のように。

  •  新聞やテレビから街中まで、ことばを「採集」して、一冊の辞書にまとめあげる辞書編纂者のドキュメンタリー。

     昆虫や草花を集めるようにして、集めた宝物のことば達から選りすぐる。その宝物を磨くように、すんなり腑に落ちる語釈を長い時間かけて考え、現代で使われている「生きたことば」だけの辞書に仕上げていく。

     「ことばだけで世界を再表現したい」と語る著者には少年のような輝いた目が想像できて、読んでるこちらもワクワク。

     文体が美しく(現代日本語として読みやすくて)、ちょっとおかしなエピソードが揃っているので、かなり楽しめました。

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