辞書を編む (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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レビュー : 76
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334037383

感想・レビュー・書評

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  • 先日NHKのBSで「ケンボウ先生と山田先生」という、三省堂の二大辞書―『三省堂国語辞典』と『新明解国語辞典』を編纂した二人の国語学者、辞書編纂者の物語が放映された。ぼくはそれまで二人の名前はよく知っていた。見坊さんのことも多くの著書を通じて知っていた。しかし、二人が戦後大学を出てすぐ、金田一京助という(本人はほとんど辞書の編纂に興味がなかった)国語学者のもとで辞書編纂に従事し、その後たもとを分かつことになったことは知らなかった。そして、愛用する『新明解』も見坊さんがからんでいるとばかり思っていたが、見坊さんがずっとかかわってきたのは『三国』の方で、『新明解』は山田忠雄さんが中心となって編纂されてきたのだった。(さっそく本屋へ『三国』第6版を買いに行った)その『三国』は現在第6版が出ていて、今年末には第7版が出るそうだが、その7版の編纂の裏話、苦労を書いたのが本書である。用例採集といえば見坊さんの145万?の用例カードが有名だが公私に関係なく、どんなときでもカードに取るその姿勢は、とてもまねができないし、こんな人と人生をすごした奥さん、家族はたいへんだったろうなあという気がする。(今ならだれも結婚してくれないだろう。むしろ、独身を貫き通すべきだ)飯間さんは、見坊さんまではいかないまでも(むしろ奥さんの視点に助けられたりしている)、日夜カメラをもって、珍しいことばを採集し、電車の中でも雑誌を読み、該当箇所をやぶり折る作業を続ける。(ぼくも中国へ行くとカメラをもってこれはという字を撮り回るから、しばしば妻において行かれる)辞書編纂の過程で、飯間さんが最も力を注いでいるのはやはり語釈で、カピバラという動物の語釈を書くために動物園に行ったり、キャバクラを書くために(人に連れられてではあるが)現場に足を運んだりする。そういう努力も辞書の上ではせいぜい2~3行で書かなければならない。百科項目を国語辞書としてどう記述するかも興味深かった。ぼくがひとつ気になったのは、飯間さんの名前が第6版では表紙になく、裏表紙にしか出ていないということである。第7版では出ていることを期待したい。

  •  飯間浩明 著「辞書を編む」を読みました。

     著者は、「三省堂国語辞典」の辞書編纂者。2013年末に発売予定の第7版の改訂作業をめぐる知られざるエピソードを通じて辞書の魅力を伝えてくれる。

     たまたま新聞で紹介されていたので、手にとってみたのですが、読み出したら止まりませんでした。

     辞書の改訂にこんな人たちの苦労やドラマがあったとは、想像もできませんでした。

     街中での言葉の用例採集など、少なからず言葉に関する仕事についている自分にとって、とても興味をもそそられました。

     また、普段は実用的にしか辞書を扱うことはなかったのですが、この本を読んだことで、辞書の物語を想像してしまいそうです。

     文庫化を待ち望んでいる、三浦しをんの「船を編む」はまだ未読なので、この本を読んだことで、一層読むのが楽しみになりました。

     辞書によってその特色や魅力があることもこの本を通じて改めて考えさせられました。

     そして、もちろん年末発売予定の第7版は絶対買おうと心に決めました。

    • katatumuruさん
      こんにちは~(^^)

      「うなぎ鬼」はタイトルもインパクトがありますが、内容もかなりヘビーで読み終えた後、暗~い気分になってしまいました(-...
      こんにちは~(^^)

      「うなぎ鬼」はタイトルもインパクトがありますが、内容もかなりヘビーで読み終えた後、暗~い気分になってしまいました(-_-)

      キマイラシリーズはバイオレンスものですか。
      何となくこれも凄そうですね。
      夢枕獏さんの書くものだけに容赦がなさそうです^^;

      私もまだ有名な「舟を編む」は読んでないんです。
      図書館で借りて読むので、人気作は人が読まなくなった頃に読む・・・という風になってしまいます。
      2013/08/20
  •  リアル『舟を編む』を読む、ぐらいの軽い気持ちで手にとりましたが、編纂方針の違い、特長に注目すれば、目的に合った国語辞典を選べるということがよく分かり、期待以上に実用的でした。『三国』は中学生にでも分かる説明を心がけているとのこと。第7版発売のあかつきには購入したいものです。

     本書が中学生にとって面白いかどうかは微妙なところですが、『舟を編む』を面白く読めた子にはすすめてみたい。出来上がったものを使っているだけではおそらく気づかない、すべては人の労苦の結実だということに、せめて気づいてくれたらと思います。

  • そもそも「辞書の違い」って知ってますか?
    この本を読むまでは、収録数の違いくらいだと思っていたけど、辞書ごとに「編集方針」があるそうな。著者は「三省堂国語辞典」の編集委員ということで、三省堂国語辞典のできるまでが克明に書かれている。ちなみに、こちらの辞書は「中学生にでも分かる説明」をモットーにしている。なんだか、とっても簡単なような気もするコンセプトではあるが、なかなかに奥が深い!ちなみに、この辞書は「ものを書く人」や「スピーチ」を良くする人が言い回しなどを調べるのに、重宝するらしい。これは久しぶりに辞書を手にしたくなってきたぞ!笑

    文字の専門家が書いた本だけあって、とても読みやすいのに、読み進めるごとに「なるほど!」が随所に散りばめられている。

  • 舟を編むを観て、しばらく経ってから本屋さんで発見。映画にはそんなに出て来なかった語釈の大変さも分かったし、辞書毎の特色なんかもわかりやすかった。今欲しい辞書はもちろん新明解と三国。

  • 辞書をつくることの面白さ、奥深さ、大変さを知ることのできる本。私たちが普段当たり前のようにことばの意味の拠り所として用いている辞書だけど、もちろんそれを作っている人たちがいる。辞書をつくること―ことばの拾い集めること、その中から載せるべきことばをえらぶこと、その意味や定義をわかりやすく記すこと、そして必要に応じてその内容に変更を加えること―の難しさって改めて考えると本当にすごい。たのしい作業にも見えるけれど、やっぱり気の遠くなるような作業に思える。
    わかりやすさを大事にしている三省堂国語辞典の編纂者、飯間さんによる本ということで、文章がとてもわかりやすく、興味を引くものであり、すっと頭に入ってくるものであった。私はまだ三国には触れたことがないけれど、きっと飯間さんのいう通り、わかりやすい辞書なのだろうということが説得力を以てわかる。また開いてみたい。
    ことばっておもしろい。

  • 『三省堂国語辞典』の編集委員が書いた一冊。国語辞典を編集するプロセスに合わせて章を立て、それぞれ実例を挙げながら解説する。昨年12月に出版された『三省堂国語辞典第7版』の編集作業と並行して書かれただけあって、臨場感たっぷりだ。
    著者によれば、辞書の編集とは、1.編集方針を立て、2.用例を採集し、3.取捨選択をして、4.語釈を書く、5.最後に手入れをする、というステップをふむのだそうだ。どのステップも面白いが、中でも語釈を書くところがいい。「右」の語釈を「南を向いた時の西にあたる方」としても「南」の語釈を「日の出る方に向かって右の方」としてしまうと循環論法に陥る。そこで「アナログ時計の文字盤に向かって一時から五時までの表示のある側」という語釈が登場し、さらに「この辞書を開いて読むときの偶数ページのある側」へと進化する。しかし、それでも満足せず、「『一』の字の書き終わりの方。『リ』の字の線の長い方」にまで至る。あくなき探究心と言葉への熱い想いを持つ辞書の編集委員たちに、敬意を表さずにはいられない。
    それにしても、こんな面白い新書が4月に出ていたとは。新書の新刊はだいたい書店でチェックするのが常なんだが、この本は見落としていた。

  • 三省堂国語辞書の編纂委員が書いた「辞書を編む」は面白かった。用例採集は面白かった。カメラを持って町に出て、用例を採集するなんて。知らなかったなあ。この辞書を買ってみようかな。iPhone版もあるようだし。

  • ・飯間さんの三省堂国語辞典と言葉に対する愛情に和む。
    ・辞書の違いは語数くらいだと思っていたけど、方針があることに気づけた。
    ・辞書作りの難しい点がわかる。たとえば、「右」をどう説明するか、「恋」をどう説明するか。時代の変化や、媒体の変化に応じて説明も変わってくるなど。
    ・とりあえず三省堂国語辞典が欲しくなる。

  • 先週6月11日、NHKの「プロフェッショナルー仕事の流儀」でも取り上げられていた飯間さん。
    番組でもワードハンティングや、データの整理、語釈執筆などの様子が紹介されていて、まさに本書での通りだったわけだが。
    『三国』への愛に溢れ、相当饒舌な印象さえ受ける。
    あ、勿論、悪い意味ではなく。

    本書は、辞書編纂の手順に沿って、章が割り当てられている。
    編集方針があって、用例採集、取捨選択、語釈を書き、既存の項目の内容を手入れする。
    語釈を書く苦労を、ある意味面白おかしく紹介するあたりは、さすがだなあ、と思う。
    特に「キャバクラ」のあたりは捧腹絶倒もの。

    一方、考えさせられるのは最終章の「これからの国語辞典」。
    紙辞書の敵は電子辞書にあらず、ウェブ上のフリーの辞典だという。
    紙辞書が淘汰されてしまったり、採算が取れなくなって、高価なものになってしまったりする未来は、ちょっと嫌だ。
    うまく棲み分けをしてもらいたいと望む一方で、こちらもお金を出して辞書を買うという協力をしていかなくては。

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著者プロフィール

日本語学者、辞書編纂者、『三省堂国語辞典』編集委員

「2015年 『辞書編纂者の、日本語を使いこなす技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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