辞書を編む (光文社新書)

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  • 光文社
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レビュー : 80
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334037383

感想・レビュー・書評

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  • 『三省堂国語辞典』の編集委員が書いた一冊。国語辞典を編集するプロセスに合わせて章を立て、それぞれ実例を挙げながら解説する。昨年12月に出版された『三省堂国語辞典第7版』の編集作業と並行して書かれただけあって、臨場感たっぷりだ。
    著者によれば、辞書の編集とは、1.編集方針を立て、2.用例を採集し、3.取捨選択をして、4.語釈を書く、5.最後に手入れをする、というステップをふむのだそうだ。どのステップも面白いが、中でも語釈を書くところがいい。「右」の語釈を「南を向いた時の西にあたる方」としても「南」の語釈を「日の出る方に向かって右の方」としてしまうと循環論法に陥る。そこで「アナログ時計の文字盤に向かって一時から五時までの表示のある側」という語釈が登場し、さらに「この辞書を開いて読むときの偶数ページのある側」へと進化する。しかし、それでも満足せず、「『一』の字の書き終わりの方。『リ』の字の線の長い方」にまで至る。あくなき探究心と言葉への熱い想いを持つ辞書の編集委員たちに、敬意を表さずにはいられない。
    それにしても、こんな面白い新書が4月に出ていたとは。新書の新刊はだいたい書店でチェックするのが常なんだが、この本は見落としていた。

  • 三省堂国語辞書の編纂委員が書いた「辞書を編む」は面白かった。用例採集は面白かった。カメラを持って町に出て、用例を採集するなんて。知らなかったなあ。この辞書を買ってみようかな。iPhone版もあるようだし。

  • ・飯間さんの三省堂国語辞典と言葉に対する愛情に和む。
    ・辞書の違いは語数くらいだと思っていたけど、方針があることに気づけた。
    ・辞書作りの難しい点がわかる。たとえば、「右」をどう説明するか、「恋」をどう説明するか。時代の変化や、媒体の変化に応じて説明も変わってくるなど。
    ・とりあえず三省堂国語辞典が欲しくなる。

  • 先週6月11日、NHKの「プロフェッショナルー仕事の流儀」でも取り上げられていた飯間さん。
    番組でもワードハンティングや、データの整理、語釈執筆などの様子が紹介されていて、まさに本書での通りだったわけだが。
    『三国』への愛に溢れ、相当饒舌な印象さえ受ける。
    あ、勿論、悪い意味ではなく。

    本書は、辞書編纂の手順に沿って、章が割り当てられている。
    編集方針があって、用例採集、取捨選択、語釈を書き、既存の項目の内容を手入れする。
    語釈を書く苦労を、ある意味面白おかしく紹介するあたりは、さすがだなあ、と思う。
    特に「キャバクラ」のあたりは捧腹絶倒もの。

    一方、考えさせられるのは最終章の「これからの国語辞典」。
    紙辞書の敵は電子辞書にあらず、ウェブ上のフリーの辞典だという。
    紙辞書が淘汰されてしまったり、採算が取れなくなって、高価なものになってしまったりする未来は、ちょっと嫌だ。
    うまく棲み分けをしてもらいたいと望む一方で、こちらもお金を出して辞書を買うという協力をしていかなくては。

  • まず、書評をば。
    読みやすく、辞書編纂への思いが感じられる。愛のある一冊。
    これから先、有難さを頭の隅に感じながら、辞書を引かせて頂きます。

    そして、著者 飯間氏に届けたい。
    作中のパート「紙の辞書はなくなってもいいか」で、紙のよさを示す部分があります。

    僕が書斎からデジタルを排除し、紙の辞書を持っている最大の理由がそこにはありません。お気づきでしょうか。
    スマホ辞書は書斎では邪魔なのです。
    言葉の意味を引くつもりが、逆に通知欄に

  • <目次>
    はじめに
    第1章  編集方針
    第2章  用例採集
    第3章  取捨選択
    第4章  語釈
    第5章  手入れ
    第6章  これからの国語辞典

    <内容>
    『三省堂国語辞典』の編者の一人、飯間さんによる辞典(辞書)の作成をリアルタイムで紹介した本。著者の「実例主義」の話が面白い(第2章)。第6章は、なるほどと思った。ネット上に「ウィキペディア」の辞書版「ウィクショナリー」があるのは知らなかったが、さらに俗語辞典「日本語俗語辞書」があるとは…。本の発行が2013年なので、その後どちらも語数が増えていると思うが、『広辞苑』第7版の発行で、紙の辞書とネット辞書の違いをテレビでもやっていたように、紙は自然と調べている単語以外にも目が行くところだと思う。結果、語彙数が増えていく(ただし、活字に拒否症状のある人はつらいかな?)ことだと思うので、今後も紙の辞書の改訂をし続けてほしいな(私も活中だから⁈)。


    逗子市立図書館

  • 例えば。「愛」は「恋」の上位という認識が一般的な感があるけど、辞書の語釈で考え且つ成り立ちも踏まえると、けしてそんなことはない。

    そんなことを真面目に思案し議論する“辞書編纂者”なる人種のお仕事ドキュメント、辞書が作られる過程の体験談だ。言葉好き、辞書好きとしてはその全てがエキサイティング。

    語釈も宝だが、それを書くための用例こそが、一度失われたら取り返しがつかないとか、語釈は、既にある解説を再構築しても駄目で、自分の経験まで含めて自分の言葉にしなければならないとか。うん、伝わってないと思うけど、面白いんだ!

  • 言語学

  • 飯間さんの誠実な人柄が「読ませる推進力」になり、結果、辞書編纂という作業の面白みが伝わる、とても美味しい読書。
    本書を要約すれば、生きた言葉を平易に説明、という編纂方針に尽きる。
    その具体例が膨らみを持って紹介されるのだが、細かく教えて貰えば貰えるほど興味が湧く。
    こんこんと泉のように。

  •  新聞やテレビから街中まで、ことばを「採集」して、一冊の辞書にまとめあげる辞書編纂者のドキュメンタリー。

     昆虫や草花を集めるようにして、集めた宝物のことば達から選りすぐる。その宝物を磨くように、すんなり腑に落ちる語釈を長い時間かけて考え、現代で使われている「生きたことば」だけの辞書に仕上げていく。

     「ことばだけで世界を再表現したい」と語る著者には少年のような輝いた目が想像できて、読んでるこちらもワクワク。

     文体が美しく(現代日本語として読みやすくて)、ちょっとおかしなエピソードが揃っているので、かなり楽しめました。

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著者プロフィール

飯間浩明(いいま ひろあき)
1967年、香川県出身の日本語学者、辞書編纂者。『三省堂国語辞典』編集委員。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得。代表作に『辞書を編む』があり、その他著作も国語辞典や日本語にまつわるものが多い。

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