辞書を編む (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334037383

感想・レビュー・書評

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  • 内幕ものは、どんな世界のものも面白い。国語辞書編纂の舞台裏も、その、言葉への真摯な姿に、同じものを見ていても違うものが見えていることが感じられて、興味深い。言葉の海は、深いなぁ。最近手にしていなかった国語辞書、開いてみよう。新しいものも手にしてみたいし、読み比べもしてみたい。

  • 映画と原作の後は、実際の編纂の現場を見てみよう。これがなかなか面白い。ちなみに我が家の国語辞典は「三国第7版」です。

  • S図書館
    ノイタミナ「舟を編む」辞書作成監修
    2018年NHKプロフェッショナルに出演
    辞書編纂は、気の遠くなるようなお仕事だが、やりがいがありそうだ
    言葉は生きているから面白い

    《抜粋》
    第1章編集方針
    三省堂国語辞典の7版の改訂作業
    6万から9万個程度の小型辞書は少人数の体勢 三国と他の辞書を区別する大事なものは、
    1実例に基づいた項目を立てる
    2中学生にでもわかる説明を心がける
    例、甘熟
    新聞や文学作品に出てこないなら辞書には載せない考え方を基盤主義と呼んでおきましょう
    元々は造語かもしれないが、一貫性のものではなく、それなりに広がりを見せて定着している辞書は「今そこにある日本語」を載せるべきこう言った考えを実例主義と呼んでおきましょう
    三国はこの意味で実現主義

    国語辞書の編集方針には
    1実例主義か規範主義か
    2平易な説明か専門的な説明か
    3簡単に記すか詳しく記すか
    4現代語に絞るか古語などを含めるか
    5語数を多くするか少なくとどめるか
    一回目の会議は上記の方針決め

    47三省堂国語辞典を生み出したのは見坊豪紀ひでとし
    集めた用例145万語
    著者は1ヶ月に頑張って500普通は400語、単純計算で1年に5000語くらい
    見坊氏は 約10倍

    第2章用例採集
    ガチャポンの写真を撮ろうと止められ、新規開店のタレントショップで止められ、調査で撮影していると言った
    新幹線でのこと、座背に雑誌を置いていたら盗まれ、雑誌に赤丸で印があったからゴミでなくいるものだと思われたらしく違う座席にあった
    ブルーレイでテレビを録画
    アニメを見ていて、一時停止するから妻や娘に嫌われないように進める
    イメージスキャナ、紙データはスキャンする

    第3章 取捨選択
    集めた言葉は3年で1万数千語
    これを3500語決めた
    割り切って、提案者が○としたら○
    提案者が△としてれば✕と、作業スピード加速していった
    ここから話し合い、結果4000語越えた

    第4章語釈
    編集委員の人たち+外部執筆者、日本語の研究者の協力を得て全部で6人
    一人当たりの執筆項目が約400
    飯間氏は自分で探した分をすることで1300語程度

    第5章手入れ
    第6章これからの国語辞典
    2012年に三国がアプリで発売

  • ■印象に残ったフレーズ
    本当に必要なことばを集めるためには、まず、あらゆることばを、「おもしろい」と思うこと。未知のことばはもちろん、当然知っていることばでも、改めて別の面から眺めてみて、価値を再発見する。そういう姿勢が不可欠です。

  • 『読者の皆さん。国語辞典は、作り手の姿が見えにくく、無機的な印象をもたれやすい書物・ツールです。私の話によって、辞書とは意外に人間的でおもしろいものだということを感じていただければ幸いです。』(あとがきより)
    とあるとおり、辞書は意外にはおもしろいものだと感じた

    そもそも著者の本を読むきっかけはNHKラジオ第1の「すっぴんインタビュー・アンコール」を聴いたからなのだが、まさしく本書はこのインタビューで話していた「言葉の収集」を含む辞書の編纂の話である

    そもそも辞書はどうやって作るのか。
    あくまで著者が編纂している「三省堂国語辞典」の例ではあるが、
    1 編集方針
    2 用例採集(言葉の実際の使用例を集める)
    3 取捨選択
    4 語釈(語句の説明・解釈)
    5 手入れ
    という流れで作られている
    そして、その都度「あーでもない、こーでもない」と一般人から見ればどうでもいいと思える(がしかし辞書としては非常に大事な)ことを議論する姿はおもわず笑える
    みんなで弁当を食べながら、「釘煮」が載っているか辞書をめくったり、「フラワー揚げ」を載せるかどうか議論したりする様子が、特におもしろかった

    【引用】
    『三国』(三省堂国語辞典)は、この意味で実例主義なのです。ことばを換えて言えば、世の中に定着した言葉はなるべく載せ、いまの日本語がどうなっているかを辞書に反映させようとします。「現代日本語を鏡のように映し出す」と表現してもいいでしょう。 (P31)
    たとえば、『岩波国語辞典』第7版は、約6万5000語を収録し、比較的語数が少ないものです。でも、純文学作品などをよく読む人にとっては頼りになる辞書です。(中略)
    (『三国』第六版は、岩波国語辞典のような純文学作品に出てくるような用語より)むしろ、どちらかと言えば、新聞や雑誌の他、一般書などを多く読む利用者を想定して、収録語を選んでいます。 (P44)
    本当に必要なことばを集めるためには、まず、あらゆることばを「おもしろい」と思うこと。未知の言葉はもちろん、当然知っていることばでも、あらためて別の面から眺めてみて、価値を再発見する。そういう姿勢が不可欠です。 (P105)
    もし、こう(国語辞典は一生ものだ)考える人が多いとすれば、残念です。辞書の改訂、とりわけ、手入れの作業について、もう少し一般の理解を得る努力が必要です。私としては、ご愛用の一冊は手元においていただくとしても、それ以外に最新の手入れを施した辞書もあわせて使っていただきたいというのが正直なところです。 (P223)
    まず、「そのことばが正しいか間違いか、判断を求めたい人」にとっては、『岩波国語辞典』『明鏡国語辞典』が向いています。(中略)また、「そのことばが、いつ頃から使われているかを知りたい人」にとっては、『新潮現代国語辞典』が向いています。(中略)あるいは、「そのことばについて、その辞書なりの解釈を知りたい人」にとっては、何と言っても『新明解国語辞典』が向いています。 (P230)

  • ・飯間さんの三省堂国語辞典と言葉に対する愛情に和む。
    ・辞書の違いは語数くらいだと思っていたけど、方針があることに気づけた。
    ・辞書作りの難しい点がわかる。たとえば、「右」をどう説明するか、「恋」をどう説明するか。時代の変化や、媒体の変化に応じて説明も変わってくるなど。
    ・とりあえず三省堂国語辞典が欲しくなる。

  • 先週6月11日、NHKの「プロフェッショナルー仕事の流儀」でも取り上げられていた飯間さん。
    番組でもワードハンティングや、データの整理、語釈執筆などの様子が紹介されていて、まさに本書での通りだったわけだが。
    『三国』への愛に溢れ、相当饒舌な印象さえ受ける。
    あ、勿論、悪い意味ではなく。

    本書は、辞書編纂の手順に沿って、章が割り当てられている。
    編集方針があって、用例採集、取捨選択、語釈を書き、既存の項目の内容を手入れする。
    語釈を書く苦労を、ある意味面白おかしく紹介するあたりは、さすがだなあ、と思う。
    特に「キャバクラ」のあたりは捧腹絶倒もの。

    一方、考えさせられるのは最終章の「これからの国語辞典」。
    紙辞書の敵は電子辞書にあらず、ウェブ上のフリーの辞典だという。
    紙辞書が淘汰されてしまったり、採算が取れなくなって、高価なものになってしまったりする未来は、ちょっと嫌だ。
    うまく棲み分けをしてもらいたいと望む一方で、こちらもお金を出して辞書を買うという協力をしていかなくては。

  • まず、書評をば。
    読みやすく、辞書編纂への思いが感じられる。愛のある一冊。
    これから先、有難さを頭の隅に感じながら、辞書を引かせて頂きます。

    そして、著者 飯間氏に届けたい。
    作中のパート「紙の辞書はなくなってもいいか」で、紙のよさを示す部分があります。

    僕が書斎からデジタルを排除し、紙の辞書を持っている最大の理由がそこにはありません。お気づきでしょうか。
    スマホ辞書は書斎では邪魔なのです。
    言葉の意味を引くつもりが、逆に通知欄に

  • 例えば。「愛」は「恋」の上位という認識が一般的な感があるけど、辞書の語釈で考え且つ成り立ちも踏まえると、けしてそんなことはない。

    そんなことを真面目に思案し議論する“辞書編纂者”なる人種のお仕事ドキュメント、辞書が作られる過程の体験談だ。言葉好き、辞書好きとしてはその全てがエキサイティング。

    語釈も宝だが、それを書くための用例こそが、一度失われたら取り返しがつかないとか、語釈は、既にある解説を再構築しても駄目で、自分の経験まで含めて自分の言葉にしなければならないとか。うん、伝わってないと思うけど、面白いんだ!

  • 言語学

著者プロフィール

香川県生まれ。国語辞典編纂者。『三省堂国語辞典』編集委員。新聞・雑誌・書籍・インターネット・街の中など、あらゆる所から現代語の用例を採集する日々を送る。著書に『辞書を編む』(光文社)、『辞書に載る言葉はどこから探してくるのか?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『辞書には載らなかった不採用語辞典』(PHPエディターズ・グループ)、『辞書編纂者の、日本語を使いこなす技術』(PHP研究所)、「日本語をつかまえろ!」シリーズ(金井真紀・絵 毎日新聞出版)など。

「2023年 『けいごって しってる?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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