世界は宗教で動いてる (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
3.56
  • (26)
  • (70)
  • (75)
  • (12)
  • (3)
本棚登録 : 777
レビュー : 66
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334037482

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 『宗教には、「自分とは何なのか」という問いが、凝縮されている。人間として生まれた誰もが、避けて通ることのできない問いである。

    だからこそ世界のどの文明も、宗教を核にして、その社会のまとまりをつくった。そのつくり方にはいろいろ違いがあるが、人類の知的遺産とはすなわち、宗教のことだと言っていい。

    「宗教のリテラシー」は、だから、複数の文明圏が並びたつ現代世界を生きるわれわれにとって、不可欠のものなのである。』

    新書なので、内容は薄く、新たに学ぶものはなかった。

  • 世界の宗教を体系的に知るための入門書としては最適。
    ただ、タイトルの「動いてる」とは、「過去の歴史」における宗教と世界の関わり方を意味するものであり、
    「現在の社会」において、宗教がどのような世界の動きをもたらしているかについてまでは、深く言及していなかったため、期待外れだった。

  • 題名に宗教とあるが、宗教の入門書か何かだと思って読むと肩透かしを食らう。著者の教義の解説には間違いが多いとして避ける向きも多いようだが(断定口調にもその一因ありか)、本書の主眼は各国の社会や行動様式とその宗教の関係を考えるところにあるのであり、教義の解説にはない。教義を正確に知りたい人はその手の専門書にあたればいい。たった250ページの平易な文章で、アメリカ・イスラム諸国・インド・中国・日本の社会形成に宗教が与えた影響についてあれこれ考える契機が得られるのだから、大変お得な本だと思う。

    一つ気になるのは、他の本でも著者が多く使用する論法。ある社会に古来Aという考え方があって、なおかつ現在はAと矛盾するBが観察されるとき、著者はAが否定されたのでなく、Bが要請されなければならないほどのCという別の考え方があったためだとする。これだとAは如何なる場合でも否定されないのでは、と思えてしまう。

    例えば、中国では祖先崇拝(A)の考えが根強いため、男子をもうけ家系を守ろうとする意識が強いそうだが、現在はこれと矛盾する一人っ子政策(B)が施行されている(今後は緩和方向)。このことについて著者は、祖先崇拝の考えを覆い隠すほど「政治」の力(C)が強いことがその理由だとするのだ。だが本当にそうだろうか?結局は中国人の意識が、市場経済化によって「家族」<「経済」となったのだということに過ぎないのでは?中国人は「実利的」だと他の箇所にも書いてあることだし…。

    とはいえ、これだけの濃密な内容をさらっと軽やかに読めるのは本当にありがたい。視野がガバッと広がること請け合いの一冊。

  • 書き下ろしではなく橋爪先生のセミナーの書き起こしで構成されています。受講生からの質問と回答も掲載されていて、ライブ感を感じられるのはなかなかよいです。
    肝心の内容は、キリスト教•イスラム教•ユダヤ教、さらにヒンズー教から中国の宗教観、最後に日本の宗教まで、それぞれの違いや考え方の解説となっていて、読み手のレベルに合わせて読み進めるうちに知識が(豆知識含め)補足される感じ、でしょうか。
    新書の性格上、広く浅くの解説になっていますが、橋爪先生のお話はわかりやすいので、各宗教の成り立ちや対立点の理解、世界中の揉め事の理由がどこにあるのかのヒントにもなります。興味があれば楽しいです。
    小室直樹先生亡き後、直接のお弟子さんである橋爪先生がこの分野の啓蒙をされることはとてもうれしいです。そんな私情も含め、とても意味のある一冊だと思いました。

  • 読了


  • とっつきやすい。特に私のような初心者には。また、忘れた頃に読みたい。

  • <blockquote>宗教には、「自分とは何なのか」という問いが、凝縮されている。人間として生まれた誰もが、避けて通ることのできない問である。</blockquote>

    日本は宗教的センスがないんだよなぁと改めて思った(無宗教という意味ではなく)。
    世界は唯一神的世界観を根底にできている。
    新自由主義でさえもそういった宗教観が(実は根底に)ある。

    おそらく神との契約において倫理や道徳が守られている。多神教、八百万の神を信仰というより神々と親和して共存している世界観だと、そういったルールが曖昧模糊となってしまう。

    近年の日本はモラルハザードが進んでいるように見えるのだが、その一因はこの宗教観の希薄さがあるのではないだろうか?

  • 近年、とくに宗教社会学の分野で啓蒙的な著書を多く刊行している著者が、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教、儒教、神道といった主な宗教と、それらの宗教を信仰してきた社会とのかかわりについて、わかりやすいことばで語っている本です。

    主として社会人を対象にした著者の講義に基づいているので、ごく基本的な事柄の解説にとどまっています。もっとも、単なる通説の紹介ではなく、著者自身の見解が随所に示されているのですが、『世界がわかる宗教社会学入門』(ちくま文庫)などの著者の他の本にくらべると、通り一遍の説明にとどまっているような印象は否めません。

    もっとも著者の意図は、おそらく日本人がよく知らない、世界のさまざまな国や地域と宗教との関係に、読者の多くが目を向けるきっかけを与えることにあったのかもしれません。そうであれば、本書はその目的を十分に果たしえているといってよいのではないかと思います。

  • 橋爪らしくとても読みやすい。かつ社会学的な見地から宗教の影響を見つめているので、ドライで分かりやすい。いろいろと整理されました。僕の専門がキリスト教なので、キリスト教にたいする細かい部分はちょっと違うんじゃないかな、と思うところもなくはないですが、まあそれも重箱の隅みたいなものでそんなに気にはなりません。仏教、ヒンドゥー教、イスラム、儒教、日本教など、新しい気づきと学びも多くありました。勉強になった。


    17.8.8

全66件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

はしづめ・だいさぶろう 1948年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。社会学者。東京工業大学名誉教授。主な著書に『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『言語派社会学の原理』(洋泉社)、『政治の教室』(講談社学術文庫)、『面白くて眠れなくなる社会学』(PHP研究所)、『橋爪大三郎コレクション1~3』(勁草書房)、『丸山眞男の憂鬱』(講談社選書メチエ)、『政治の哲学』(ちくま新書)など多数。大澤真幸氏との共著に『ふしぎなキリスト教』『げんきな日本論』(ともに講談社現代新書)、『ゆかいな仏教』『続・ゆかいな仏教』(ともにサンガ新書)、『アメリカ』(河出新書)などがある。

「2019年 『小林秀雄の悲哀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

世界は宗教で動いてる (光文社新書)のその他の作品

橋爪大三郎の作品

世界は宗教で動いてる (光文社新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする