回避性愛着障害 絆が稀薄な人たち (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334037758

感想・レビュー・書評

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  • 人と関わるのが苦手で親密な関係になれない、傷つくことを極度に恐れる、感情を押さえつける。
    自分でもなぜそうしてしまうのか分からない特性に、回避性愛着障害、回避型、不安型などの名前をつけて、明瞭に説明してくれていた。

    人がまず一番最初に接する社会は家族と言われるくらい、家族間での関係性はとても重要。その関係性が上手く行かないことによって、人は社会との関わりを恐れたり避けたり、ずれていても気がつかなかったり。

    家族、特に母親が"安全基地"であればこそ、人は恐れずにチャレンジすることが出来るようになる。怪我をして痛かったり、お腹がすいたりしていることを訴えれば応えてくれて満たしてくれる。その安心感。

    でも実際家族に悪気がなくてもその"安全基地"の役目を全う出来ないこともある。
    そんな時に誰が替わりに"安全基地"になるか。親戚、学校の教師、友達…
    それでも"安全基地"を持てないまま大人になってしまった場合は、自分で自分の"安全基地"になるか。

    また周りに回避型や不安型の愛着スタイルを持った人がいたらどう対応したら良いのかという内容が書かれている。


    私もここに書いてある回避型、不安型の愛着スタイルというのがすごくあてはまってしっくりきた。

    衣食住にはそんなに困らず学校も普通に卒業して、周りからも普通の人と見られていても、見えない根深い生きづらさを感じる。

    本当に言われたことをやっているだけなら問題に気づかなかったと思うけど、社会に出て自ら人とコミニュケーションを取りながら仕事を進めたりといったことが想像以上に難しかった。

    DNAとは別の問題でこの特性は遺伝してしまうと思う。自分の子供が出来たら同じ思いはさせたくない。

  • 他者と安定した親密な関係を築けるかどうかは、遺伝的要因よりも環境要因が大きいそうだ。適切な時期に親や他者と安心できる関係を築くことができなかった人は、他者との親密な関係を回避する。昨今の個人主義や少子化は、回避型の人が増えたからだという。回避型の人は結婚を避けがちで、もし結婚しても配偶者や子供と親密で協力的な関係を築けない。読みながら暗澹たる気分になったが、本人の自覚や周りの協力で改善できる部分もあるというのが救いだ。非常に興味深く読んだ。親である人・親になる人には特に、是非理解してほしい内容。

  • 書店で見かけて以来、やけに愛着障害という言葉が気になってしまいとうとう購入。

    愛着について論ずる場合、母親の養育態度や父親の協力姿勢をただ批判しようとする傾向が強いように思う。
    本書においては責任の所在を追求するという立場を取らず、なぜ回避型の愛着タイプを持つ人がその問題を克服できないまま過ごし、どのように解決へむかうのが望ましいのかを提示している。その点でとても好印象だ。ただの評論家に留まらなず、対象となる人々がどうすれば生きやすくなるのかを示唆している点も好ましい。
    また、具体的な事例が数件挙げられているところも良い点だ。「同じ体験をした事例が実際にある」事ほど安心でき、己を肯定される感じを得られることはない。後付けだと言われてしまえばそれまでだが、著名人の人生の中にそれが見出されれば、当事者の不安は少なからず解消されるはずだ。
    ただ、具体的な対策として最終的に挙げられたのは、人との関わりの中で解消していくことしか出来ないという結末。唐突に現実を突きつけられ、そもそもその関係を作ることが難しい人たちはどうすればよいか途方に暮れるだろう。

    以上の内容や章構成、全体的な流れをみると、これは愛着関係を築きにくいその人を取り巻く他者が読むに適した一冊なのだろう。彼らとどのように付き合い、接して行き、良好な関係を築いていく方法の手がかりとして申し分ない。
    なお、回避型愛着障害と言う言葉を聞いて「自分のことかもしれない」と思った場合、読まれる際は決して勘違いしてはいけない。批判されているわけでも、馬鹿にされているわけでもない。客観的な視点を持ち、己の状態を自覚している方に読んでほしい一冊。

  • まず最初に当事者として…

    本書をはじめ岡田先生の著書に唯一決定的に欠けているのは、安全基地となる者の条件、努力、精進を求めるばかりで、本人の自助努力も必要だという点にはほとんど言及されていないことだと思う。すべては安全基地がないせい、安全基地となる者が未熟なせい、といった印象を与えるが、最後はやはり『天は自ら助くる者を助く』ではないだろうか。

    実際には、安全基地になって根気よく支えようとしている元々安定型の人間でも、彼の並外れた不安定さ、こちらの弱点をよく知っているがゆえ一番痛いところを針で突き刺してくるような無自覚の試し行動など、その独特の破壊力によって一時的に不安定にさせられたところへ「君は安全基地にはなれない」と全否定されたりする。100か0かの白黒思考により、それまでの良かったことなど全て無かったことにされてしまう。つまり、人間技ではないレベルの"安全基地"を要求される。こうなると、こちら側の努力や素質の問題ではない。しかし、本人にその自覚はない。偏った認知による激しい思い込みに、こちらは為す術がなくなってしまう。

    結局、愛着障害が重症であればあるほど、安全基地の存在だけで改善できるわけではない。本人の「変わりたい」「救われたい」という意志がなければ、救ってあげることなど誰にも出来ないのだと痛感する。

    読み込めば読み込むほど、納得できる部分と「それは違うだろ」とツッコミを入れたくなるところが明確になってくる。

    愛着の大切さはよくわかるが、何でもかんでも親や環境のせいにしすぎている。愛着障害からくるうつ病、パーソナリティー障害の人がますます自己から逃げるための都合のいい言い訳を提供してしまう恐れがある。

    したがって、この本をはじめ、愛着障害に関する書籍をそのまま鵜呑みにして実践していけば改善すると思い込んではならない。確かに大きなヒントを与えてくれてはいるが、あくまで理想論、一般論でしかない。患者は一人ひとり、まるで違う。
    オーダーメイドの支援、本人の自覚と自助努力が欠かせない。実際にはこんな単純な話ではない。

  • キーワードは「愛着」。
    幼い頃の愛着経験が後生どのように影響してくるか、問題を持っている場合どのように対処していくかが書かれていた。有名な人物の愛着にまつわるエピソードも具体的に書かれており分かりやすい。

  • ほんと、子どもへの接し方ってその後にものすごい影響があるって実感した。大人になってからけっこう私安定したんじゃないか?と思ってて、それはどうやら安定型の旦那とその母と家族になれたことが大きいんだなと再確認。それと、障害児教育っていう、ひたすら相手に合わせるっていう職業に出会えたからだなと思う。巻末には愛着障害のタイプを診断してくれるページもあり、自己分析にも役に立った。これから子育てするのに、本当に読んでよかった。

  • 著者には類書が多いが、宮崎駿や種田山頭火など、
    著名な日本人を例示しつつ、
    どのような愛着障害があるのか、紐解いてゆく。

    やはり、具体例があるとわかりやすいし、
    その最たるものが巻末の調査票だと思う。
    実際に試してみると自己の愛着スタイルがわかって面白い。

  • P34 親しく付き合っていた友達でも、顔を合わさなくなれば、すぐに縁遠くなり、交友も途絶えてしまう。学校や、職場で、親しく口を利く中でも、あくまでその場だけの関係で、プライベートな時間を犠牲にしてまでかかわりをもとうとはしない。

    P61 父親との関係が希薄だったり、父親が抑圧的な存在であったりすると、父親に対して抱く居心地の悪さや恐怖心が、他人に対するそれへと変化して、後々まで尾を引いてしまうのである。

    P123 愛着が不安定な人の場合、セックスを強要するリスクが高くなるとされるが、中でも回避型の人は、最初のデートのときなど、相手にこころの準備ができていないにも関わらず、セックスを迫るという事態が起きやすい。相手の反応や気持ちに目を向けるよりも、自分の欲求に支配されてこうどうするので、そういう行き違いが生じやすいのである。

    P165 回避型のひとにとっては、はたらかないで暮らせることが、ある意味、理想である。外で働くよりも、家の中で好きなことをしていたほうが、本当は気が和むのである。~心のどこかには、こんないやな仕事や生活は放り出して、もっと自由でなんの束縛もない暮らしを夢見る気持ちがある。だから隠遁や遁世への願望もある。

    P183 心のどこかに、今生きているこの姿は仮の姿という意識がある。

    P267 ただ、回避型の人は、基本的に世話や人とのかかわりが苦手で、苦痛を感じやすいという現実も頭に入れておく必要がある。許容範囲を超えた負担がかかっては、愛着システムが活性化されるどころか、強い回避反応が誘発されてしまうことになる。

  • (6) 002:回避性愛着障害~絆が希薄な人たち - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=RwyR8TLM9es

  •  タイトルで直感的に「これは私のための本だ」と思った。
     回避型の愛着障害を抱えている人は、自己開示が苦手という特徴がある。とはいえ愛着は求めていて、そのためには共感的な応答をしてくれる安全基地の存在が必要。少しでも思っていることを発信して主体性を取り戻すよう努めていくと良い。とまとめられる。
     自分の生きづらさが症状として提示されて気持ちが楽になり、今後の生き方も考えられる良書だった。

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著者プロフィール

1960年、香川県生まれ。精神科医、作家。東京大学哲学科中退、京都大学医学部卒業。同大学院で研究に従事するとともに、京都医療少年院、京都府立洛南病院などで、困難な課題を抱えた若者に向かい合う。現在、岡田クリニック院長(枚方市)、大阪心理教育センター顧問。著書に、『愛着崩壊』(角川選書)、『愛着障害』『愛着障害の克服』(以上、光文社新書)、『パーソナリティ障害』(PHP新書)、『母という病』(ポプラ新書)など多数。小笠原慧のペンネームで『DZ』(横溝正史ミステリ大賞受賞、角川文庫)などの小説作品がある。

「2019年 『話を聞きたがらない夫 悩みを聞いてほしい妻 精神科医が教えるコミュニケーションのコツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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