名画で読み解く ロマノフ家 12の物語 (光文社新書)

  • 光文社 (2014年7月17日発売)
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本 ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784334038113

感想・レビュー・書評

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  • 学生の頃、世界史を選択しなかったこともあり、歴史自体も楽しめた。数々のエピソードも加わり、絵画の理解が深まって面白く感じた。
    ロシア、日本と違いすぎる歴史と権力とで凄かった…。

  • ドストエフスキーやトルストイの作品に登場するロシア皇帝がどんな人たちだったのかを窺い知ることが出来て大変面白かった。

    本の表紙にもなっている『皇女タラカーノヴァ』の絵は、将来チャンスがあれば、トレチャコフ美術館で鑑賞してみたいものだ。

    歴代皇帝の中では、エカテリーナ二世のガッツがなんと言っても素晴らしい。ロシアの血は一滴も流れていなくても、ロシアの国益に尽くす女帝として敬愛されるに至るのは素晴らしい。(愛人はわんさかいたようだが。。)

  • ロシアの遍歴、ロマノフ家の苦悩
    ヨーロッパには◯◯家という政治と財力に物言わせ国の行く末さえ変えてしまう歴史に名を刻む家が多い。
    ロシアもそんなヨーロッパの家と関わり交わりながら
    戦い現在に近いものになって行く。

    名家との婚姻は日本人が考えるより遥かに大変なものだっただろう。
    歴史の背景には革命や伝染病もあり、ロマノフ家も翻弄されて行く。

    特に目を引くのは、ロシアと言う極寒の地にありながらナポレオンとの度重なる戦い。
    アレクサンドルはロシアを救うために自尊心を捨てたとあり涙腺が緩んでしまった。

    ロシアでは最高権力者が突然失脚し、夜明けに乱暴にドアを叩く音に怯えたという。
    罷免や財産没収に留まらず苛烈な拷問、シベリア送り、四肢切断などの公開処刑が妻子一族までを巻き込んでと言うのは、本当に恐ロシアと言わせる所以なのだろうと思う。

    かつては親日と言われた大津事件にも触れており、ロシアの乾いた空気と魅力的な国土も感じられる大変読みやすいボリュームの良書。

  • 絵画は芸術的な意義だけでなく歴史を後に伝える意味もあるのだなと、王家の絵を見てつくづく思う。
    人物の絵を見ると、コンプレックスをどこか抱えている感じ、にじみでるノーブルさ、不幸な結婚である表情など、歴史の流れからはわからない、人間の個性や感情が感じられる。

  • ラスプーチン恐るべし!
    表紙画のドラマチックさに心奪われました。
    「皇女タラカーノヴァ」

  • ロマノフ王朝の
    血で血をあらう惨殺っぷりが
    ものすごい!
    親族のほうが ひどい目に会うんだから
    権力なんて持つもんじゃないのか。
    ヨーロッパから見ると
    妖怪チックな ロシアですが
    なんとなく・・・日本人としてメンタルは
    分かる気もするのです

  • 面白かった。先日読んだ「残酷な王と悲しみの王妃2」に重なる部分もあり、興味深かった。
    知っている絵がイリヤ・レーピンくらいしかないのが残念。でも彼の「イワン雷帝と息子」や「公女ソフィア」は圧巻だし、エピソードも凄いので忘れられない絵だ。ロマノフは他のブルボンやハプスブルク、イギリスと違って、よく言えばドラマティック悪く言えばどぎついエピソードが多い。父の息子殺しや偽物の皇位継承者、娼婦上がりの女帝など、一代記が何人も書けそう。
    その中でもピョートル大帝とエカテリーナ1世、エカテリーナ2世は波瀾万丈で面白い。ヨーロッパの王家のように高貴になってしまってからのほうが、ロマノフ王家自体は弱くなったのではないかと思える。

  • レーピンの絵が大好きで、この本を読んでさらにロシア絵画が好きになりました。ロシア語まで勉強し始め、ロシアに行ける日を待つ日々です

  • ロマノフ王朝時代のロシアは-今も同じかもしれないが-怖いと感じる。正直、絵画よりも怖い。掲載されている絵画のうち惹きつけられるものはおおくなかった。むしろロマノフ王朝時代の世界観、暗殺、虚偽の公式発表など、内にいる限り、暮らしていくのも一苦労だ。
    ✔︎皇女タラカーノヴァ
    ✔︎ヴォルガの舟曳き
    本作には掲載されていないが、
    ⚫︎イワン雷帝とその息子(怖い絵に収録)

  • ロマノフ家と言えば、ピョートル大帝か一家全員銃殺されたニコライ二世あたりが有名かなと個人的には思うけれど、流石300年続いた一族、エピソードには事欠かない。
    女帝への道の基礎を作った女傑ソフィア、やたら短命なツァーリたち、とにかく家族仲が悪い、そしてやたら逞しく太ましい女帝たち……いやもう、本当に濃い。

    そんなロマノフ家を様々な絵画を通して追いかけていく一冊。
    勿論ラスプーチンもいますぞ。
    あの嘘かよとツッコミを入れざるを得ないエピソードも勿論紹介されていて、今回もツッコミを入れました。
    人間ではなかったのかもしれん。

    びっくりしたのは、ロマノフ家の話なのに日本人のしかも女性のイコン画家が出てきた件。
    先にも挙げたニコライ2世が日本贔屓だったこと、大津事件の被害者なのも知ってはいたが、日本に来た彼へのお土産として渡すイコン画を日本人女性が手掛けていたことを全く知らなかったので驚いたの何の。
    男性ですら西洋画家を名乗るのも難しかったであろう時代に女性がイコン画とはと。
    彼女の波乱万丈であっただろう人生を思うと、いたたまれなくなるというか……エピソードを見る限り、逞しかったようにも思うが。

    とにかく血生臭いエピソードの多いロマノフ家、「うわあ」と思いながらも興味深く読ませていただきました。
    『怖い絵』など他の著書でも登場した絵も出てくるので、馴染みあるものもあるかも。
    流石中野先生、複雑な歴史でも大変読みやすかったです。

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著者プロフィール

早稲田大学、明治大学、洗足学園大学で非常勤講師。専攻は19世紀ドイツ文学、オペラ、バロック美術。日本ペンクラブ会員。著書に『情熱の女流「昆虫画家」——メーリアン』(講談社)、『恋に死す』(清流出版社)、『かくも罪深きオペラ』『紙幣は語る』(洋泉社)、『オペラで楽しむ名作文学』(さえら書房)など。訳書に『巨匠のデッサンシリーズ——ゴヤ』(岩崎美術社)、『訴えてやる!——ドイツ隣人間訴訟戦争』(未来社)など。

「2003年 『オペラの18世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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