〈オールカラー版〉美術の誘惑 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334038649

感想・レビュー・書評

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  • 美術史家によるジャンルを問わない美術作品に対する思考。

    ひとつひとつのテーマが短かったので、読みやすかった。著者の娘さんが若くして病気で亡くなられていて、その苦悩を癒す力が美術にあるのか、ないのかと書かれていたのが印象的だった。
    刺青は日本の誇れる文化というのはわかる気がするけど、イメージがあるよね。戦争画が実はこぞって画家が描いていたというには驚いた。

  • 924

    この絵は、彼が八丈島への渡航途上、暴風雨に遭って大島に漂着した体験を描いたもので、筋骨隆々たる男の裸体や雄大で明るい海洋の表現が見事だ。和田はこの記念碑的名作によって名声を確立し、官費によるフランス留学を経て文展審査員や東京美術学校図案科教授となる。朝鮮総督府の壁画を描き、日本色彩研究所を設立するなど、長く美術の分野で活躍し、戦後には文化功労者にもなった。しかし、教科書にも載るデビュー作《南風》があまりに有名となったためか、ほかの作品はいずれも見栄えがしない。偉大なる一発屋であったといえよ

  • 新聞のコラムとして掲載されていたものをまとめたものなので幅広く読みやすい

    美術とは少し離れるが、作者の娘さんが22歳で癌で亡くなられたことと白い蝶の話に涙…

  • 美術は、単に優雅な趣味の対象ではなく、社会や文化全般に強く関係する。政治経済と深く関わり、生老病死を彩り、人の欲望や理想を反映する―。西洋でも東洋でも、美術は歴史の局面で重要な役割を果たしてきた。そんな美術の誘惑についての、一期一会の物語、図版125点収録。(袖)

  • 何の気なしに読み始めさらっと読み終わった。美術になじみのない日本人に少しでも接点を、というコンセプトだろうか。かなり偏ったテーマ設定と、東西を横断した作品選びは自由で結構楽しかった。

    しかしパラパラと読み終わって明白なのは、著者のメッセージの力点が、亡くなられた娘さんに対しての思いに還元されているということだ。あとがきは著者の<告白>そのもの。でもそれでいいと思う。結論としてちょっと寂しいところがあっても、安い言葉で申し訳ないが、それも人生ではないかと思う。


    17.5.7

  •  美術は、目で見たときの感覚だけではなく、背景や作者、絵に描かれた真の意味に対する知的好奇心を喚起することにより我々を誘惑すると著者はいう。

     本書はその「美術に対する知的好奇心」を満たしてくれる一冊であり、一枚の絵画がその作品のみで理解するよりも、時代、国、主題、精神性など時空を超えた広大なコンテクストの中で理解していくことにより、より多面的に味わ合うことができることが実感できる。

  • 新聞の連載をまとめたもので、数ページずつの項目ごとに分かれていて読みやすかった。それでいて、美術の鑑賞の際役に立つ知識も身につけられる。

    今回のこの本では、著者の娘さんが亡くなったという悲しい出来事についても言及されており、悲しみや追悼と美術の関係についても考えさせられた。

  • 美術館に行って
    なんとなく ぼやーっ と
    観るのも大好きです

    絵描きさんの エッセイも
    その独特の視点が顕著なものが
    結構好きです

    「絵」が好きな人が語る
    「絵」にまつわる話を読むのも
    大好きです

    自分のペースで
    自分の思うように
    「絵」を楽しむことが
    大好きです

    それにしても
    最近の新書の印刷術は本当に
    進化していますね
    〈オールカラー版〉と銘打つだけのことはあります

  • 2015.7.8 am2:50 読了。
    トピックによる章立てであるため、どこから読んでもよい作りとなっている。
    美術を深く知るという点においては、『モチーフで読む美術史』に及ばないが、あくまで入門として見ていく分には十分楽しめる。図版が小さいが、全てカラー刷りである。有名な西洋画だけではなく、美術史上重要な作品や、東洋の作品にも触れている。美術館へ行くとついつい有名な作品にばかり目が行きがちである。次は同時代の作品など、周囲の絵画にも気を配りつつ、美術を楽しみたい。

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著者プロフィール

宮下 規久朗(みやした・きくろう):美術史家、神戸大学大学院人文学研究科教授。1963年名古屋市生まれ。東京大学文学部美術史学科卒、同大学院修了。『カラヴァッジョーー聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞など受賞。他の著書に、『バロック美術の成立』(山川出版社)、『食べる西洋美術史』、『ウォーホルの芸術』、『美術の力』(以上、光文社新書)、『カラヴァッジョへの旅』(角川選書)、『モチーフで読む美術史』『しぐさで読む美術史』(以上、ちくま文庫)、『ヴェネツィア』(岩波新書)、『闇の美術史』、『聖と俗 分断と架橋の美術史』(以上、岩波書店)、『そのとき、西洋では』(小学館)、『一枚の絵で学ぶ美術史 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》』(ちくまプリマー新書)、『聖母の美術全史』(ちくま新書)、『バロック美術――西欧文化の爛熟』(中公新書)など多数。

「2024年 『日本の裸体芸術 刺青からヌードへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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