電通とFIFA サッカーに群がる男たち (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
3.49
  • (5)
  • (18)
  • (20)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 166
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334039035

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今回、五輪に関する贈収賄が事件として注目を集めていたので読み直しました。スポーツビジネスに興味を持つ人にはFIFAや電通がサッカーに限らず、スポーツビジネスの世界でどのような影響力をもち、どのような役割を果たしてたかを知ることはもしかしたら必修科目ではないかと思います。

  • 東京五輪に関連して電通の存在がクローズアップされる中でタイトルを目にして面白そうだなと思い、本書を手に取った。
    本書には電通やFIFAの他にアディダスが重要な存在として登場する。アディダスは電通と共同出資でISLという会社を立ち上げスポーツビジネスに切り込んできた。電通が嫌う汚れ仕事(お金配り)の部分を担ってきたのがアディダスである。このアディダスおよびISLの体質がIOCやFIFAの腐敗体質および放映権の高騰を助長してきたものといえる。本書ではこれらの組織における腐敗を描いてはいるものの、やはり取材が難しいのだろう、表層的な一面を描くのみで、その裏で本当に何が行われていたのかというジャーナリスティックな部分に踏み込むには至らない(特に電通に関する記述については電通側の発言を鵜呑みにした記載となっている印象がある)。とはいえ80年代以降のスポーツビジネスの急拡大の背景を知るには面白い本だと思った。高橋治之の一代記としても面白く読める。

  • FIFAへの賄賂で放映権獲得や大会誘致した各国。電通、高橋 治之氏の話。インタビューベースであるため、内容の正確性や、各インタビューイーのバイアスありという点は注意。

    ・2002年W杯日本誘致に向けた戦い
    電通は子会社にFIFAとのW杯誘致に関するロビー活動を行うための資金を渡した。
    具体的には、電通は10%の株を残してスポーツ子会社ISLを売却したものの、売却益のうち8億円はISLに渡した。この8億円は、2002W杯招致のためのFIFAへの“ロビー費用"。電通は手を汚したくないため、ISLに任せた。
    のような記載がある。ロビー活動と賄賂の違いが調べても出てこない。グレーゾーンなのかな。

    ・興味深い点メモ
    坂崎は、自分がスポーツビジネスから離れた理由をこう話した。 「個人が知恵を絞ってやるという世界ではなくなってきた。スポーツのビジネスが組織対組織、大金を払って権利を押さえるという仕事になってしまった。その権利を押さえる金額がどんどん大きくなっている。それで一体、誰が幸せになるの?」  

    ・笑った
    「マラドーナと当時のマネージャーの話は金と女のことばっかりだった。女いないかって。そんな手配はこちらではできないからね。ただ、ワールドユースの直後にマラドーナにコマーシャルをつけてあげたことはあった」  

    高橋治之氏は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の理事長。

  • 軽い気持ちで読んだ、スポーツビジネスの楽屋噺みたいな本です。
    サッカーを観るのは割と好きだし、スキャンダル的なことも含めて、ネット記事を拾い読みするのも徒然に愉しんでいるので。

    確かに、好きな人には面白いんです。

    戦後から1990年代、いや、2000年代、というか現在にいたるまで。
    サッカービジネス、ワールドカップというビジネス、放映権商売。
    オリンピックも含めて、「衛星中継ビジネス」とでも言いますか。
    コレは、ほんとにビッグバンというか、ほぼゼロから始まって、巨大な娯楽になり、当然、巨大なビジネスになって、巨額のカネが動いています。
    当然そこにはどろどろした人間ドラマもあるわけでしょう。

    つまりは、正論から言うと、コネとカネと情実と賄賂が飛び交う、ぐっちゃぐちゃの不正だらけの「アウトレイジ」な世界なわけです。

    そこに「日本」という視点を持ち込んで、電通という会社の「イケイケ時代」に、いかにワイルドで力強くてワルな「志士」たちが個人の力でビジネスを作って行ったか、というおはなし。

    取材元が電通なり電通OBを含みますから、批判という訳でもなくて、微妙な温度の低空飛行を続けるあたりが、妙味と言えば妙味。

    ただ、英雄譚、冒険物語、というエンターテイメントで言うと。

    結局は高度成長からバブルという時代に乗った人々の群像という感じで、そこに「理想」や「思想」と言った起爆剤が無い物語、という感もありました。

    もうちょっと、ビジネスというゲームに魅せられた人間模様、という切り口で書いてくれると面白かったのか。

    ただまあ、ほんと、どれだけ不正があっても「スポーツ」という筋書きの無いドラマの生中継っていうのは、テレビと言う装置の至高のソフトであるんだよなあ、と、改めて思いました。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/689664

  • 日本のスポーツの美談や美学とは全く違う世界なので、その時点でアレルギーを起こす人もいるかもしれません。
    事実としてそういう世界があるということが、長い取材の賜物として分かりやすく書かれている本だと思います。

  • キナ臭いスポーツビジネスの話

  • うわー。悪人ばっかり。

    とも言えますし、

    歴史って必然なんだなぁ、、、。

    とも言えます。

    スポーツには、明るい面と暗黒面が両方ある、とよく言われます。中でもサッカーは、中田選手が移籍するときの本などからも、その「半端ない」感が強いスポーツです。

    こんな題名で今、出版して大丈夫なの?と思いますが、中身は至って中立的です。誰が悪いとも決めつけず、当事者への取材と、事実を元にかかれています。

    なのに、まるでよくできた物語のように、登場人物がみな「エッジのたった」ひとたちなので、歴史小説を読むかのような感覚になれます。

    思惑はどうあれ、マラドーナが世界ユースのアルゼンチン代表として日本でプレーしていたことが、日本のサッカーが飛躍する大きなきっかけになっていたことがわかります。

    黙って待っていて、自然にそんな機会ができるわけではありません。

    「偶然」のような出来事を、現実にしたひとたち、一人一人の背景が、本当にドラマチックに感じられるはずです。

    それにしても、あんなに日本のサッカーに貢献してくれた、ジーコさんに、何の協力もしなかったこと。それも、「返事をせず態度を明らかにしない」対応だったことが、恥ずかしくなります。日本人らしい、といえばそのとおりなのですが・・・。

  • (後で書きます。参考文献リストあり)

  • 電通がいたからここまで栄えたとも思うんだけど...

全19件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1968年3月13日、京都市生まれ。ノンフィクション作家。
早稲田大学法学部卒業後、小学館に入社。『週刊ポスト』編集部などを経て、1999年末に退社。
スポーツを中心に人物ノンフィクションを手掛け、各メディアで幅広く活躍する。著書に『W杯に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇―』(新潮文庫)、
『偶然完全 勝新太郎伝』(講談社)、『維新漂流 中田宏は何を見たのか』(集英社インターナショナル)、『ザ・キングファーザー』、
『ドライチ』『ドラガイ』(カンゼン)、『球童 伊良部秀輝伝』(講談社 ミズノスポーツライター賞優秀賞)、『真説・長州力 1951-2015』(集英社インターナショナル)
『電通とFIFA サッカーに群がる男たち』(光文社新書)など。

「2019年 『ドラヨン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田崎健太の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×