地域再生の失敗学 (光文社新書)

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334039158

感想・レビュー・書評

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  • 具体的な失敗事例から失敗しない方法を探る本かと思いきや、成功事例を参考にしながら地域再生のために普遍的な提言が中心となっているため、肩透かし感が半端ない。
    タイトル通りならば、やはり失敗した自治体の名前をあげて状況分析を行い、ではどうすれば成功しえたのかという具体的な政策提言をしなければ、経済学者の後出しじゃんけん、机上の総論でしかない。少なくとも、私は本書のタイトルからそのような内容を期待していたので、残念至極でした。
    ○○失敗学という本の売れ行きが好調なので、ご利益にあやかったのだろうが、出版社には最低限の誠実さを求めたい。

  • 縮小していく日本にあって、日本らしさを失わない社会が、どうすれば残せるかを示す本。「頑張って働く」人に向けて書かれた、気概に満ちた本だ。

    シャッター商店街や、中山間地域、千葉市を動かしている人の考え方も分かり、「普通に」生きている私にも面白かった。
    ごく個人的には、シリコンバレーのスタバ。日本に同じもの作ろうとして、また失敗しちゃうんだろうな~と、予想したりして。軽井沢などでの「リアル空間でのソーシャルネットワーキング」の知見をもっと得られたら、と思う。

  • 過去のばらまき的な地方再生術がなんでうまくいかないのか、と言うことが書いてあり、うまくいくにはこんなアイデアがあるよ、という事が丁寧に書いてある本。著者が複数で視点も多岐にわたり、海外の都市との連携が必要だという話や、人が集まって知恵を出し合うカフェがあると良い等々、具体的なアイデアがたくさん書いてあり、なるほどなーと思った。ただ、特効薬的な話はないので、色んな施策を地域に併せて地味にやっていくしか成功への道は無いんだろうな、と感じた。

  • 失敗学の知見を得るために本書をとったが、行政やコミュニティデザインの視点などから新しい視点を得ることができた。

  • 地域の発展ないしは崩壊の防止において、情緒的でない課題解決思考をもとに書かれた本。各方面の第一人者ごとに章を設けたオムニバス形式なのが面白い。対談のパートはリアルさが面白いがやや愚痴になっているようにも感じる。
    まず、所得をもって地域再生を定義するという視点がよい。ふんわりした情緒的まちおこしから一線を画する。

    マーケティング思考の不足、補助金への依存体質、様々な問題が挙げられる。諸問題の結果、ハコモノや単発イベントに頼る。金にせよアイデアにせよ購買力にせよ外から持ってくるという発想を脱却できない。外へ出ていく金を内部で回すだけでも十分効果がある、その点に気づけない。小さなビジネスの成功を積み重ねる発想に至らず大きな一発に頼る。
    結局行政にできることはよい規制の撤廃などでよい競争環境を作ることなのだが、どうしてもそちらに向かない。
    資産形成を終えたシニア世代の切迫感のなさというのも大きな問題である。一等地の地主であったり議員であったりなまじ地域の中で力はあるのでそちらの声が政治に届きやすい。嗜好が画一的で増えていく量で勝負ができた時代から発想が転換できないのも問題である。しかしこれは地域の課題ではなく日本企業の多くが抱えている問題にも思える。
    結局一番の根底は地域の住民たちの当事者意識の問題のように思える。
    行政の限られたリソースから何を求めるのか、何を諦めるのか、地域の中で小さな成功例をどう積み上げていくのか。「ずっと(自分が生きていた期間の)今まで通りに」「何も犠牲にしない発展」のような発想に明るい未来はない。


    木下氏のパートは現場での知見の積み重ねを感じてとてもリアルで面白い。稼げるまちになることを主軸においてヒントや障壁を語る。
    入山氏のパートは地域を専門にしないイノベーションや戦略の観点からの視点を提供していて面白い。こういった発想こそほしいもの。
    林氏は過疎地域に目を向ける。確かにそうだと思える合理的な解決の道筋を示す。ただしその通りに当事者が考えられるかというと道のりは険しそうだ。
    熊谷氏のパートは特定の一地域のケーススタディを与えてくれる。自治体の階層の中の各行政の役割や地域の特性の捉え方は勉強になる。

  • 第一章から強烈に耳の痛いことが並べられてたけど、地方は現状維持で緩やかに死に近づいていることに気づかないだけなんだろうな。
    まちおこしイベントの経験が豊富ってのはダイエットの経験が豊富と一緒みたいなもんだな。

  • SDGs|目標11 住み続けられる まちづくりを|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/685511

  • 601-I
    閲覧新書

  • 「地方消滅」のレポートに対する一つの回答を示したような本だった。
    これまで長い間掲げられては失敗してきた「地方再生」はどうすれば成功するのか、成功しなかった時の次善策は何か、と言うことを地方行政を民間の目線から見ることの大切さなどから示してあった。
    今行われている街おこしはどれくらい効果があるのか気にはなっていたので、その答えを知れたのは良かった。

  • 一部通用しない部分(これはCOVID-19)のせい
    がありますが一応それのカバー方法は出てきます。

    ただしそれは地方の…にはならないのが残念。
    この本をベースにカバーできる方法を
    というのがベターなところでしょう。

    ある「シンボル的なもの」が時にブームになります。
    一見すると地域貢献に思えるでしょ?
    だけれどもその地域にお金が落ちるかというと
    一番落ちてほしい部分には落ちないのです。

    あとはある種の納税もそう。
    結構極論で「廃れる」言っていましたが
    その提供するサービスが以前取り上げられたことのある
    「アレ(ルールに抵触)な奴」が当たり前だったり
    その地域の色濃いものではなかったりすれば
    ただの節税対策で廃れると思うのです。

    タイトルこれ…失敗例じゃないんだよね。
    どうすればよくできるか、でしょうよ。

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著者プロフィール

1975年生まれ。エコノミスト。明治大学政治経済学部准教授。東京大学経済学部卒業後、同大学院経済学研究科博士課程単位取得。内閣府規制改革推進会議委員などを兼任。主な著書に、『経済学講義』(ちくま新書)、『これからの地域再生』(編著・晶文社)、『マクロ経済学の核心』(光文社新書)、『歴史が教えるマネーの理論』(ダイヤモンド社)などがある。

「2018年 『新版 ダメな議論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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