古市くん、社会学を学び直しなさい!! (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
3.65
  • (23)
  • (62)
  • (46)
  • (12)
  • (1)
本棚登録 : 626
レビュー : 69
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334039479

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【タイトルに偽りなし。古市君が社会学者たちに、文字通り“あなた、ちゃんと研究しなさい”と指導されます】

    お馴染みの“社会学者”古市氏が、12名の気鋭の社会学者たちに以下の質問を問い、教えを請うやりとりの対話集です。
    ・社会学とは何か
    ・社会学の目的とは何か
    ・社会学は何の役に立つのか

    社会学に明るくない人にもわかりやすい受け答えで語られており、また社会学の定義や目的も様々な研究者により多角的に説明されています。社会学の意義、全体像、社会学が取り扱う領域への理解は、この1冊でも大分深まります。何より、「社会学って何か面白そうだな」と思わせるあたり、そこらの基礎テキストより効果的な入門書かもしれません。出て来る12人の先生のキャラも立っていて、古市君がまさかの素直でおとなしい聞き手とは驚きました笑。社会学が、他と比べて人の個性に影響を受ける学問、という示唆も頷けます。

    「社会学とは何か?」との問いひとつに対しても、先生方の社会学の定義が様々であることから見て、社会学という学問が捉えづらいものであること、そして色々な意味で若く、他と境界線の引きにくい分野であることが窺えました。

    以前から、大きな事件が起こるとテレビに現れる社会学者のコメントは、なんとなく“敢えて斜め上を行く”ような“穿った”視点ばかりだな、と感じていましたが、上野千鶴子先生の「社会学は常識の関節外し、普通の人が当たり前のように信じていることを素直に信じない。常に疑ってかかるから、シニカルになる」という話に、そもそも学問が持つアプローチ特性によるものなのだ、と合点がいきました。また、慶応の小熊先生初め何人かの方が「社会学は政治学や経済学、法学の後の残余項目」と認識されていることも、結果として経済や政治の立場で語れない社会変化が起こると、メディアにとって社会学者は使い勝手が良い(=シャーマン)存在なのだ、と納得です。

    ですが、それより何より面白かったのは、この本の「裏のテーマ」です。
    読んでいて、あー・・と思いましたが、この企画の「社会学の基本を教えてもらう」というのは、表の目的です。
    何のことはない、裏テーマは、古市氏(君)の世間での発言やふるまいに、社会学者の先生方が真っ当な注文を浴びせかけるという、指導の実況中継。「博論なんて本当に書いたほうが良いんですかね・・」と煮え切らない同氏に対して、社会学者たちが「あんた、ちゃんと研究しなさいよ」と手厳しくツッコミを入れる、という構図の面白さです。

    特に佐藤先生、上野先生、仁平先生のツッコミが鋭い・・!皆さん、「真っ当な研究も重ねていないのに、メディアで予言者を気取るな」と言わんばかりのご指導です。まるで研究室を除いているかのような錯覚を覚えました。そして何より驚いたのが、古市氏自体もまえがき、あとがきでそれを認めてしまっています。
    「社会学が面白いことは知っているが、明確に社会学を規定し、流ちょうな説明が出来るわけではない。社会学者という肩書も、通りがいいから使っているに過ぎない。(p.7)」
    「・・・「若者」を肩書にするわけにもいかないので、いつのころからか肩書が社会学者になっていった。初めは抵抗があったものの、代替案が見つからないので今日まで使い続けている(p.308)」
    認めてしまうあたり素直な感じが若干拍子抜けですが、一方で古市氏のポテンシャルやメディアミックスの上手さ、若者の理解者というポジション取り、社会学の広報マンとしての動きなどは、先生方からも一定の評価を得ているようです。だからこそ、ちゃんと研究して真っ当に勝負しなさい、と殆どの教員から諭されており・・・そのやりとりがリアルで、大変面白く読ませていただきました。
    仁平先生に至っては、「社会学者たちを担ぎ出したのも古市氏自身のブランド戦略なのでは・・?」と、これまた鋭いツッコミ。勉強になります。

    本のタイトルは単なるキャッチコピー、くらいに思っていましたが。まさか出版物で本当に指導の一端を垣間見るなんて・・・
    なかなかないという意味でも、一粒で二度おいしい「入門書」です。

  • 日本を代表する12名の社会学者との対談。

    社会学って何ですか?の問いにそれぞれ答えて自らの視点、他の社会学者との違いや古市氏の立ち位置なども織り交ぜた多様な内容。
    社会学にも理論社会学、宗教社会学、計量社会学、教育社会学などがあるらしい。
    気になる方の著書を少しずつ読んでいきたい。

    覚書
    ここにはない可能性に対して「ムラムラ」してしまうことと、日常生活の小さな人間関係の「ムラムラ(村々)」のなかで安心していたいという、その両義性に引き裂かれている

    自分の居心地のいい共同体と文体が手を結びすぎているためにそれとは異なる方向で常識外しをしようとすると文体が過剰に鋭くなってしまう

    嫌がらせは大事 注目を浴びるだけでなく反発を引き出せばそこから自分の意見を展開できる

    社会学は生きている人間が必ず持つ関心に応じている 学界の中で素晴らしい評価を得ることとそれが広い社会的なコンテキストの中でそれなりの意味のあるものとして発信されることが車の両輪のようになってなくちゃいけない

    社会学は生きるのが不器用な人のための学問
    考え続けることによって自由になる 乗り越えていく

    戦後日本型循環モデル 仕事⇒家族⇒教育⇒仕事・・・

    社会という茫漠としたものを少しずつわかりやすく編集して、見取り図を作りたい。その過程での発見はいつもワクワクします。

  • 西洋の社会学の大家ではなく、現代日本の社会学の第一人者と言える研究者を一手に取り扱った入門書という点ではなかなか珍しく、日本の社会学事情を概観するには良書。タイトルほど大御所の社会学者が寄ってたかって古市さんを説教するという訳ではなく(言いそうな人は言ってるけど)、逆に同業者(?)の彼に語る中で、各自の「熱い」問題意識が引き出されている感があり、意外と読み応えがあった。

  • 貧困だとか、犯罪だとかは、
    個人に由来するのではなく
    社会が生み出した現象で、
    社会の一部だと考える論を
    私は強く推しているんだけど、
    それを肯定してくれるように感じた。

    まさに社会学とは、
    みんながなんとなくわかっていたことを
    実証する学問と説明する学者がいたが、
    それを実行してくれたと思う!

    家族社会学 山田先生がいう
    前時代的家族が
    機能する人と機能しない人の格差が生まれる。
    社会では、機能しない家族に生まれた私が悪い自己責任と斬られるけど、
    機能しない人をベースとした社会制度ができればいいなぁと思う。

    社会学者は分析に徹するべきか、
    提言まで行うべきか論について
    様々な意見が出ていたけど、
    提言まで行って欲しい!
     

  • 社会学とは?に対する複数の社会学者の認識を知ることができた
    この本をきっかけに、登場した社会学者の書籍を読んでいきたい

  • 12人の社会学者に「社会学」とは何かを問う。

    社会とは非常にあいまいな概念だが、政治学や経済学ではカバーしきれない部分を社会学が担い、「社会」という抽象的な研究対象を普段とは違った視線で説明することと多くの学者は説明している。

  • 社会学について読んだ初めての本。
    入門書としてどうかは置いといて、社会学の幅広さと曖昧さを知った。

  • 「社会学者」の肩書きで活躍するが批判も多い古市憲寿氏が、「社会学って何ですか?」と日本を代表する様々な社会学者に聞きに行くという趣旨の本。
    話を聞きに行く社会学者は、小熊英二氏、上野千鶴子氏、宮台真司氏、大澤真幸氏、橋爪大三郎氏など錚々たる面々で、まさに日本を代表する社会学者たちである。それぞれに話は非常に面白く、本書の意図どおり社会学の魅力を感じることができた。
    また、題名のとおりに、各社会学者から古市氏に対して辛辣な「指導」があるのも見どころであり、面白く読めた。一方で、古市氏には、聞き手としての才能があるな、とは感じた。

  • 「社会学」を社会学する、という感じ。
    久々の古市くん本。 いやぁ、同世代の社会学「者」でどんどん大物になっていってはるんやなぁ〜。
    橋爪大三郎さんや上野千鶴子さん、宮台真司さんと、ビックネームがズラッと並んでた。

    この本では、「社会学とは?」「社会とは?」をいろんな社会学者に問いかけに行くことで、この曖昧そうな言葉の輪郭を浮き彫りにしていこうとしていた。

    また、「「あり得たかもしれない社会や自分を構想する力」に魅力を感じている」。というのは、何かすごく共感してしまった。  
    僕もひょんな理由からやったけど、大学で社会学を選んで未だによかったなぁと社会人になっても思い続けてるし、年齢を重ねるごとにその大切さが少しわかるようになって来てる気がする。
    そんな時に、もう一度原点に戻り、じっくり社会学や考え方を考える機会をもらえたような気がした。
    これからも折に触れてペラペラめくる教科書のような感じになりそうな一冊。

    本当に変わってる人の集まりや、職人気質っぽい人が多いなと思っていた直感はどうやらあっていたようでした。笑

    でも、それが本当にいいことやし、この変わり者の集まりがそれこそ役所仕事する人ばっかりみたいになれば、社会学が本当に終わったことを意味しているんやなとも思った。
    僕も今日から「社会学者」と名乗れるかしら。笑

  • 期待してなかったけど結構有益。
    社会学かじってないひとにはやや話がわからないと思う箇所もありそうだが。鈴木謙介のとことかおもろかった

全69件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

古市憲寿(ふるいち のりとし)
1985年東京都生まれ。東京大学大学院博士課程在籍。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。株式会社ぽえち代表取締役。専攻は社会学。若者の生態を描出し、クールに擁護した著書『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)で注目される。大学院で若年起業家についての研究を進めるかたわら、マーケティングやIT戦略立案、執筆活動、メディア出演など、精力的に活動する。著書に、『誰も戦争を教えられない』(講談社+α文庫)、『保育園義務教育化』(小学館)、『だから日本はズレている』(新潮新書)、『希望難民ご一行様』(光文社新書)などがある。2018年から小説を書き始めている。小説作に「彼は本当は優しい」(『文學界』2018年4月号)。『平成くん、さようなら』で第160回芥川賞ノミネート、『百の夜は跳ねて』で第161回芥川賞ノミネート。

古市憲寿の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
リンダ グラット...
瀧本 哲史
池井戸 潤
トマ・ピケティ
有効な右矢印 無効な右矢印

古市くん、社会学を学び直しなさい!! (光文社新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×