消えゆく沖縄 移住生活20年の光と影 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334039530

感想・レビュー・書評

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  • 沖縄の基地問題はかつての鳩山首相の「最低でも県外」という言葉以降、よりクローズアップされるようになった。県土の多くを外国軍隊の基地が占め、時に不良兵士による事件が起こる。沖縄が最重要問題として解決に努力するのは当然だ。

    しかし、沖縄、特に現在の知事の対応を見ていると、もうちょっとうまいやり方があるのではと、思ってしまう。反政府発言ばかりじゃなく、政府をおだてて、補助金をもらい、それを県民の福祉や教育、就業率向上に充てるとか。原発やゴミ処理施設の誘致と同じように考えることもアリなのでは。そんな考えは本土の失礼極まりない勝手な妄想なのだろうか。

    本書の著者は本土で生まれ育った後、1996年より沖縄移住。客観的でバランスのある沖縄論を展開する。結局、沖縄の共同体が狭く、それぞれが違う意見をあげにくいことが一番の問題だ。最優先は基地問題で、どんな問題も基地のせいにされ、それを反論する雰囲気も作られない。教育や福祉、少子高齢、雇用、経済よりも「基地」となってしまう。

    沖縄問題解決の 一案として、「基地だけの沖縄」から脱却することも検討すべきでは。

  • 何冊も沖縄本を書いている大阪生まれの沖縄2世の筆者が自分事として再度見つめ直した内容です。
    特に第三章の先輩移住者ごうさんについて語った話は感動的。とはいえ、政治や行政について考察した章は、沖縄人に成りきれない筆者の沖縄への媚というか片思いが見え隠れしている様でどうも居心地悪い。
    1箇所校正ミスがありました。P66「農例市場」→「農連市場」

  • 2022年の夏、沖縄旅行をした。気ままな一人旅。もともと海好きで、わりとどこでも働ける職種なのもあり、沖縄で働きたいなぁと思うこともある。ただ、沖縄出身で東京に出てきている人は、皆沖縄には帰らないと言っている。本の感想でなくなってしまったが、この本を読んでも、観光客が見る沖縄と、住んでいる人が見る沖縄は違うんだろうなと感じ取れた。今いる場所で必死に生きようと思った。

  • 沖縄から失われていく文化、原風景、緑、そんで信仰。
    沖縄が好きで沖縄に誇りを持ってるはずの僕らは意外と何もしらなくて、そもそもここでいう「沖縄」って何だろう。簡単に括れないほどの色んな沖縄があって、でも全部が沖縄の問題で。
    基地も安保も離島苦も御嶽も。
    もうちょっと偉そうに語れるように考えよう。
    それすらありきたりだけど。

  • 沖縄の戦後からの歴史を踏まえて、現在も残る問題を書いたもの。
    ただ一方的な沖縄からの意見だけでなく、県民側の問題点なども書かれているのが興味深かった。
    左翼的な考えを持っているが、そこまで強く思想を出していなかったのが高評価であった。

  • 大阪生まれの沖縄人二世である著者の仲村氏は1996年に那覇に移住する。「沖縄ブーム」の走り頃であり、著者が描いた著作はブームにのり人気作品となる。しかし、その裏では米兵による少女暴行事件をきっかけに、日米地位協定の見直しなどと反基地運動が高まりをみせる。そして普天間基地返還、辺野古移設へと基地問題が動き出す。そんな20年間にいったい沖縄で何が起きていたのか?考える一冊。

  • 読んでて辛いこと辛いこと。良く言えば観光客を増やして現金の落ちる場所になったけども、元々あった良いものや信仰を初めとした地場の古いものを蔑ろにする場所に変容してる模様。挙げ句の果てに基地移設で(意図的に)分断される島。それは西欧列強のやり口やで。植民地支配そのもの。Bar土は行くチャンスあったし同じ著者の本で存在は知ってたけど一回も行くことできず。それも縁か。

    オバア烈伝の頃とは全く違うトーンの最近の作品の方がリアリティあって読みがいある(これは重すぎるし哀しすぎるけど)。

  • 2016年11月読了。「沖縄人二世」と言われる人でさえ、沖縄をめぐる考え方が揺らいでいる。況や縁もゆかりもない外部の人間においておや。とはいえ沖縄はこれからもウォッチを継続していきたい。

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著者プロフィール

作家、沖縄大学客員教授。1958年、大阪市生まれのウチナーンチュ2
世。96年、那覇市に移住。著書に『沖縄学』『ほんとうは怖い沖縄』など。

「2016年 『沖縄 オトナの社会見学 R18』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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