愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる

  • 光文社 (2016年11月17日発売)
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感想 : 59
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  • 本 ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334039561

感想・レビュー・書評

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  • うつ病やパニック障害などよく聞く精神疾患の類の原因が「愛着障害」にある場合もあるというもの。
    幼少期に満足に形成されなかった「愛着」がのちに「障害」となってその人の人物像の作り上げてしまう。愛着障害によって出てきた症状(うつ病等)を薬物治療で治すことはできても、根本が治っていないから再発する。

    気分が沈んだ時に「病気」として捉える前に、自分自身がなぜそう感じるのか、という所に目線を向けられるようになりました。私にとっては障害というか「壁」です。それを乗り越えることで過剰な反応をしなくてもよくなれればいいなと思います。
    とても興味深い内容でした。

  • 「症状」が真の問題ではないっていうのは本当にその通りで、そこが精神科の難解さの所以の1つだと思う

    この本の著者みたいに、自分も誰かの世界を広げられる人でありたい

    ✏傷つきやすい傾向を抱えた人は、過去には実際に傷つけられた体験をしていることが多く、さらにはその「自分を傷つけた人」が、本来であれば自分を一番に守ってくれるはずの親であったことも多い。
    また、親が意図的に傷つけてきたというよりも、親にはそのつもりはなかったが、結果的に傷つけてしまったというケースも多い

    ✏愛着障害によって問題行動を起こしたり、発達障害のような症状が現れることがある。
    ここで、親が自分の基準から外れた子を「悪い子」とするだけでなく、医学までもが、親ではなくその子の方を「異常」と診断することは、虐待に加担することにはならないだろうか。

    ✏「心的等価の様式」の状態では、自分が感じていることや考えていることと、外的な事実は、区別されない。
    自分が主観的に感じていることが、そのまま客観的な事実なのである。
    ひどいことをされたと感じたら、それがその人にとっての現実なのである。

  • 生きていく土台である幼少期の安全基地が運悪く不安定だったとしても、これを克服する方法はある。あなたがあなた自身を一番大切にする、身近な人の安全基地になろうと努める、紙に書き出す、子どもを育てる、ペットを飼う、仕事や趣味に没頭する、などが挙げられる。

  • 安全基地。繰り返し出てくるこのキーワードに数々の問題を考える上での着眼点をえることができた。愛着との関わりで考えることも大切だが、自分が安全基地になることで克服できるという発想はまさにコペルニクス的発想でコロンブス的発想でもあった。共感、分析メンタリゼーションなど、繰り返し読んで身に付けていきたいと思えた。

  • 若い頃に恋愛が下手な事に気づいた。
    相手に母親の無償の愛を求めて試し行動をしてしまう。かなりメンヘラになり自分の感情コントロールが出来なくなる。仕事などでは上手く人付き合いも出来るのに、恋愛は自分が魔物のようになることが苦しかった。
    母親との関係には長い間苦しみ、母に原因がある毒親なのだと母親を責めたこともあったが、母親は私への共感力に欠けて期待する変化はなかった。
    母親に対しては諦めたものの、還暦近くなり夫との生活が窮屈になる。子どもは巣立ってから音信不通、毒親にはなりたくないと頑張ったのに自分も毒親になっていたことを気付かされる。

    自分の中の認知の歪みに気づく。
    医療機関でのカウンセリングを受けたところでカウンセラーにさえ治ってる素振りをして取り繕うことを自分がよく知っているので、なんとか自分で克服出来ないだろうか?と考えこの本をオーディブルで拝聴した。読んでもらうことが自分で読むよりも安心する。安定基地のヒントはここにあった。寂しいが人にそれを求めても上手くいかないのなら、本やAIがある。そして「書く」という
    ジャーナリングや散歩やヨガなど一人の安定基地から始めようと思った。

    そして、愛着障害は特殊な人に起きることではなくおそらく世界中の沢山の人がそうであり、某国の暴力的な他責思考の国民性も環境が作ったものだろう。その為に宗教など救い所があるが、日本は無神論者や核家族化が進み安定基地を失い「引きこもり」という防御反応の社会になってきたのではないだろうか?

    恋愛や子育てについて学校では教えない。
    家庭科でこのような心理学の予備知識を与えられるだけでも自助出来るのではないだろうか?

    生涯をかけて愛着問題の本は読んでいこうと思った。

  • 昨年、岡田尊司先生の本に出会い、救われた。
    人と人との関係性に『愛着』や『安全基地』がいかに大切か考えさせられた。
    まだまだ岡田先生の著書を読みたい。

  • 愛着障害について理解が深まる良書。
    具体的にどのような対応をしていけば良いのかが記されているのも良い。

    また、最近、このような本を立て続けに読んで感じたことは、人との関わりに置いて起こるさまざまな問題には、発達障害と愛着障害が絡んでいることが多いのではないかということ。例えば毒親と呼ばれる人たち。

    知らない間に「無理解からくる暴力」の加害者にならないためにも、知識を得ていくことは大切だと思いました。

  • 実践編とあるだけあって、克服するには今後どうするかがタイプ別にあってとても良かった。

    克服していくにあたりこんな傾向がある、安全基地となるまでこんな思いをするだろうという周りの人目線も書かれていてまさに実践編。

    巻末テストで私自身は安定型6割回避と不安が2割ずつほど、パートナーは割合は聞いていないが本文の回避型にばっちり当てはまっていたのでこれから応用していきたい。
    この2年間、傷ついたりしんどいと思った相手の言動が、回避型によるものが大きいようでなんだか腑に落ちたし今後どうしたら良いかも見えてきて少し安心した。

    パートナーに自分も読むから読んでほしいと勧められた三部作だったが、お互いが知って良かった作品である。

    • ponkobooksさん
      こんさん、はじめまして。
      パートナーさんもこの本を読んでいらっしゃるのが、相互理解が深まりそうで、羨ましくもあり、素敵だなと思います。
      こんさん、はじめまして。
      パートナーさんもこの本を読んでいらっしゃるのが、相互理解が深まりそうで、羨ましくもあり、素敵だなと思います。
      2022/04/15
    • ぴっ!さん
      ponkobooksさん
      ありがとうございます。そんな素敵に解釈を言葉にしていただき嬉しく思います。お互い愛着障害というものを知ったばかりで...
      ponkobooksさん
      ありがとうございます。そんな素敵に解釈を言葉にしていただき嬉しく思います。お互い愛着障害というものを知ったばかりで試行錯誤しております
      2022/04/15
  • 「親や家族がその人を良い方向に変えていこうと思うなら、今までの散々な経緯については、いったん頭から拭い去り、もう一度新しい気持ちで本人と向き合う必要がある。過去の失敗や恨みつらみにとらわれていたのでは、どちらも前に進めないのである。  どちらかが先に、それをするしかない。自分が傷つけられたことにとらわれている限り、相手も変わらないのである。」

    家族の繋がり・在り方について勉強になった。
    憎い相手に対し、自分がどこまで譲歩できるか。
    ほんとに人生、楽じゃないな。

  • 大人になりきれなかった大人も、子育てに悩む親も、分かり合えないと悩む人たちに読んでほしい

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著者プロフィール

岡田尊司(おかだ・たかし)
1960年香川県生まれ。精神科医、作家。東京大学文学部哲学科中退。京都大学医学部卒業。同大学院医学研究科修了。医学博士。京都医療少年院勤務などを経て、2013年より岡田クリニック(大阪府枚方市)院長。日本心理教育センター顧問。パーソナリティ障害、発達障害、愛着障害を専門とし、治療とケアの最前線で現代人の心の問題に向き合う。著書『悲しみの子どもたち』(集英社新書)、『愛着障害』『愛着障害の克服』(いずれも光文社新書)、『愛着アプローチ』(角川選書)、『母という病』(ポプラ新書)、『母親を失うということ』(光文社)など多数。

「2022年 『病める母親とその子どもたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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