データ分析の力 因果関係に迫る思考法 (光文社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334039868

感想・レビュー・書評

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  • データ分析手法(計量経済学)の入門書としては最適な一冊。各種データ分析試験の解説と比較を解説している。豊富な実事例を交えて説明しているので読みやすい。

    今後データ分析を部下に依頼する立場にあるマネジャー、もしくはすでに何らかのデータ分析をするor依頼する立場にあるが独学でなんとなく進めている人などに特に読んでもらいたい。データ分析に関するリテラシーがかなり向上すること間違いない。

    注意点としては、AI, Deep Learningなど流行りの機械学習系については言及していないこと。

    以下、本冊で言及している重要なトピック:
    ・因果関係と相関関係
    ・データ取得試験の解説と比較
    --RCT (Randomized Controlled Trial)
    --RDデザイン (Regression Discontinuity Design)
    --集積分析
    --パネルデータ分析
    ・介入グループ(Treatment Group)と比較グループ(Control Group)
    ・内部妥当性(Internal Validity)と外部妥当性(External Validity)
    ・各種バイアスの解説
    --自己選抜バイアス(Self-Selection Bias)
    --出版バイアス(Publication Bias)

  • 経済学者による「因果関係」を正確にみるためのデータの見方の考え方などを平易な言葉で説明。

    ある結果Yに対して原因がXと考えられるとき、どうやったらX→Yの因果関係を示せるか。

    世の中には
     第3変数により相関関係と因果関係を誤解したもの
     因果関係が逆なもの
    といったようなみせかけの「因果関係」があふれている。

    正確に因果関係を見抜くためにはランダム比較実験、RDデザイン、集積分析、複数期間のパネルデータ分析などの手法が必要だがそれぞれにメリット、デメリットがある

    これらの概要とメリット・デメリットを非常に平易な言葉で解説。

    内容は専門的かつ高度だが、平易なことばでかかれているため素人でもなんとなく言いたいことがわかる

    全体としては「「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法」に非常に近く入門書として最適。

    学者でこの手のわかりやすい本を書ける人は少ないだけに貴重だと思う。

    本書の中ではある程度の専門的な内容に対しては「これ以上は本書の内容を超えるので参考文献で勉強しましょう」という記述が結構がでてくる。

    不満に思う人もいるかもしれないがわからないと読者は例外なく不満を持つため、ターゲットを絞り、あえて難しいことは説明しない、という姿勢はとても大切。

  • 統計学の基本的な解説に終始していてわかりやすい。
    逆に易しすぎるのではないかとも思う。

  • 実験に頼らない分析方法がなんとなくわかった。何度か読み返したい。

  • 因果関係に迫る思考法としながらも、
    具体的な分析手法も教えてくれる。

    UBERの需要曲線の事例が面白かった。
    何をするにせよ、目的に対して検証方法やデータが誤っていないかが重要

  • 統計寄りの本。理論的。

    因果関係を導く沢山の試験方法が載せられていて、読んでて面白かった。
    実際に用いられた例が載っているので分かりやすい。

  • この点をさらに強調するため、相関関係があたかも因果関係のごとくに捉えられたが故に起こってしまった具体例を2つ紹介します。
    1つ目は、ペンシルバニア大学の研究者が1999年にNatureという権威ある学術誌に発表した論文です。
    研究者たちは、2歳以下の子供に対して、①寝ている時に電気をつけているか、②近視になっているか、というデータを集めました。その結果、寝ている時に電気をつけている子供ほど近視になっていることがわかりました。
    論文を読んでみると、実は当の研究者たちは「この結果は電気をつけて寝ていることと子供の近視の相関関係を示しているだけで、私たちは因果関係を主張しているわけではない」と丁寧に述べているのですが、この論文を取り上げたメディアが「電気をつけたまま寝かせると子供が近視になる!」と大々的に取り上げてしまいました。その結果、多くの親たちが子育てに際してこの因果関係を信じることになりました。
    ところが、その後にオハイオ大学の研究者が行った研究によって、これは単なる相関関係であることがわかりました。
    彼らの研究によると、①近視を持つ親ほど寝る時に電気をつけていることが多く、②近視の親を持つ子ほど「遺伝的に近視になりやすい」ということでした。

    2つ目の例は、複数の国の政策に実際に影響を与えた例です。
    2005年頃から、マサチューセッツ工科大学のニコラス・ネグロポンテ教授を始めとするグループが、One Laptop per Child(一人一人の子どもにノートパソコンを)という政策を始めました。目的は、世界中の子供たち、特に開発途上国の子供たちにノートパソコンを無償支給することで、教育の質を向上しようというものです。
    当初は、多くの国、国際機関、企業が協賛し、多額の資金を投じてノートパソコンが支給されました。例えばペルーでは総額200送園のお金がこの政策に投じられました。その当時は、ノートパソコンを受けとった学校の子供たちの成績が、それ以外の子供たちの成績よりも高かったため(つまりノートパソコンを受けとることと成績の間に相関関係があったため)「ノートパソコンを無償支給すると成績や考える力が向上する」と信じられていました。
    しかし、2009年に米州開発銀行(IDB)がペルーで行ったランダム化比較試験によって、ノートパソコンの無償支給プログラムが子どもの成績に与える影響はほぼ皆無であることが明らかになりました。後に、この分析結果が一つの根拠となり、各国でこのプログラムからの撤退が始まりました。

    因果関係について理論的な考察をまとめた一人に、ハーバード大学のドナルド・ルービン教授がいます。ここではルービン教授が提唱した「潜在的な結果を用いて因果関係を考える方法」についての直感的な説明をしていきましょう。
    具体的に考えるため、前章で扱った「電力の価格を上げると節電につながるのか?」という問題を考えてみます。ここで私たちが知りたい因果関係は、価格をあげること(X)が消費量(Y)にどのような影響を及ぼすか、という関係です。
    ここで、ある消費者Aさんの家庭における電力消費量を考えてみたいと思います。
    2012年の夏、Aさんの契約する電力会社は大幅な価格の値上げを行いました。価格の上昇を経験したAさんの電力消費量をY1と書くことにします。また、もしも「価格の上昇が起こらなかった場合」にAさんが「消費したであろう」消費量をY0と書くことにしましょう。
    ルービン教授の定義に従えば、価格の上昇(X)がAさんの消費量(Y)にもたらした影響(つまりXからYへの因果関係)は、Y1とY0の差である「介入効果」によって定義できます。
    因果関係を介入効果によって定義すると、2つの点が明確になります。
    1点目は、因果関係は「Aさんが介入を受けた場合の結果(Y1)」と「介入を受けなかった場合の結果(Y0)」の「差」で定義しなければならないということです。
    2点目は、Aさんのデータのみから因果関係を計算することは不可能だということです。2012年の夏、Aさんは価格の上昇という介入を受けています。そのため、Y1のデータは観測不可能です。しかし「介入を受けなかった場合」の結果(Y0)は、「もしも」のデータであり、世のなかに存在しません。よって、ここでY1とY0の差を計算することは不可能なのです。
    逆に、Aさんが実際に介入を受けなかった場合はどうでしょうか?この場合、介入を受けなかった場合の結果(Y0)は観測できます。しかし「介入を受けた場合」の結果(Y1)は、「もしも」のデータとなり、観測できないのです。
    ここで説明した「もしも」の結果のことを「実際には起こらなかった潜在的結果」と呼びます。潜在的には存在し得る結果ではあるが、実際には起こらなかったので、現実世界では観測できないデータという意味です。同じことを事実と反する結果のデータという意味で、「反事実の潜在的結果」もしくは「反実仮想的事実」と呼ぶこともあります。これらの日本語は若干わかりづらいので、本書では「実際には起こらなかった潜在的結果」と表記することにします。

    ルービン教授は、一個人についての介入効果を測定することは不可能だが、複数人の介入効果を平均した値である「平均介入効果」を測定することは可能だと説明しています。ここで鍵となるのは、介入グループと比較グループという考え方です。

  • 超初心者向け。理系の人には不要の本であろう。高校の数学の統計学の章に含まれる内容が「上級なので」と割愛されていてずっこけた。そこまで徹底して数式を避けているので、数式を見ただけで蕁麻疹の出るような人でも、データ解析の何たるかや、その難しさを正しく理解できると思う。
    文章が冗長に感じられ、この段落の記述は余計だろう、などと、読みながらいちいち雑念が入るので、わたし向けではなかった。

  • RCTの弱点は、実施にあたって費用、労力、各機関の協力が必要となること。RCTは、すでに存在するデータを分析するのではなく、「答えたい問いのためにデータを作りにいく」という発想。

  • 東2法経図・6F開架 B1/10/878/K

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