バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

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レビュー : 304
  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334039899

感想・レビュー・書評

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  • 講演会でお会いしたことがあるのですが、とても気さくでこの本のまんまな お人柄でした。会場は爆笑の渦で盛り上がりました。「職場がサハラ砂漠」で、転んでもただでは起き上がらない不屈な精神の持ち主で、こういう人の助手をすることが出来たら、砂漠だってすごく楽しそう!って思いました。結婚とかしても文字通りどこででも生きて行けそうな頼もしさがありました。話を聴いても本を読んでいても、この人は情熱的でひたむきな、閃きの達人なのだと感じました。

    昆虫&バッタ愛にあふれていて、ただ勇気を、ひたすら前向きにがんばろう!とかではなくて、信じることの大切さを(特に)子どもたちに教えてくれたような気がしました。夢も希望も大事だけど自分の好きなことを信じる=自分を信じる。

    あとがきのおにぎり一つのことについて“幸せのハードルが下がっただけで、こんなにもありがたみを感じるものなのか”…という文にブータン的なものを感じた。自然を相手にしていると様々なもののありがたみを実感するんだろう。便利になり過ぎると幸せのハードルもどんどん上がっていってしまうのかもしれない。バッタ奮闘記だけではない内容に驚きつつ感謝して生きることを改めて教えてもらったような気がしました。

  • 発売されてからずっと気になっていた本書。
    書店で見かけるたび、表紙のバッタ人間はリアルなイラストだと思い込んでいたのですが、ちゃんと手に取ってよくよく見てみたら著者ご本人の写真だったのですね…!
    著者のユーモアと並々ならぬバッタへの熱意がみなぎっているカバーです。

    大発生すると農業に大きな被害をもたらすサバクトビバッタ。
    このバッタの生の姿をフィールドで研究すべく、単身モーリタニアへ飛び込んだ著者の奮闘が、たくさんの笑いを交えながら綴られています。
    期待に反してなかなかバッタの群れに恵まれなくても、無収入の憂き目にあっても、くじけずバッタを追い求める著者の姿にパワーをもらいました。

    著者は自分をPRするセンスが抜群だと思いました。
    彼の人柄とユーモア、それに努力と度胸が多くの人の心を捕らえたのだな、と思います。
    そして応援してくれる人たちを裏切らない活躍を発信していけるところもすごい!
    「自分はやれる!」という強い信念は実現させることができるのだと、大きな勇気を与えてくれる1冊でした。

    余談ですが…
    モーリタニアでの食事に惹かれてしまいました。
    豪快に調理されるヤギ肉、特に割った骨の髄液を混ぜ込んで炊いたごはんがたまらなく美味しそう…じゅるる。

  • 一人のバッタ博士がアフリカでバッタと、いや人生と格闘する話。
    本屋で偶然手に取り読んだ本だが、結果的に2017年上半期一番面白い本となった。

    新書にしては厚めだが、文章・言い回しが面白く、飽きずに笑いながらスイスイ読める。
    スイスイ読んでるうちに、サバクトビバッタの生態からモーリタニアの生活・文化、
    はたまた研究者の苦悩から東北弁の雑学まで、様々ものを垣間見ることができた。

    それだけで十分面白いのだが本書の魅力はそれだけではない。
    筆者はモーリタニア赴任後、いくつもの困難・苦難にぶつかるが、
    工夫と努力と忍耐をもってして、また多くの人との出会いと助けを得ることで、
    それらを乗り越えて成長していく。その姿に感動するし勇気を貰える。

    終盤の「孤独の不安は友やファンが打ち消し、無収入の心配は京都大学が葬り去った」は笑える言い回しなのだが、
    多くの苦悩を乗り越え成長した上で決戦を迎えるところで、不覚にもホロっときてしまった。笑。

    超おすすめの一冊です。バッタにもアフリカにも興味が無くても十分楽しめるはず。

  • 職なし金なし将来の保証なしの若者が一念発起で向かったのはアフリカの地モーリタニアだった。サバクトビバッタの生態とその食害と全力で向き合ったバッタ研究者の軌跡を描いたドタバタ奮闘記。

    ブログを読んでいるような砕けた表現で、肩を張らずに読み進められます。準備の時点でバッタに重きを置きすぎた結果なのか、現地で早々に言葉の壁に阻まれたり、漆黒の砂漠で迷子になったり…と著者の無鉄砲で前のめりな姿勢にハラハラさせられっぱなし。自身のトホホな体験談を盛り込みつつ、不器用ながらも健気に研究対象であるサバクトビバッタを追う著者の姿勢に気付けば読者も巻き込まれていきます。
    ポスドクの課題や実態も綴られ考えさせられる面も多くありました。昆虫学者でご飯を食べていけるまでの道のりはあまりに険しく途方に暮れそうに…。それらを悲壮感なく、むしろ著者であればそのバイタリティで明後日の方向から壁を乗り越えてくれそうな力強さすら感じるのが不思議。

    逞しく、まっすぐで、メディアを上手に活用する案外ちゃっかりした著者。これからも熱くしぶとく研究に専念して、バッタ博士として突き進んでほしいと思います。
    そしてぜひいずれ続編を!

  • <内容紹介より>
    バッタの群れは海岸沿いを飛翔し続けていた。夕方、日の光に赤みが増した頃、風向きが変わり、大群が進路を変え、低空飛行で真正面から我々に向かって飛んできた。大群の渦の中に車もろとも巻き込まれる。翅音は悲鳴のように重苦しく大気を震わせ、耳元を不気味な轟音がかすめていく。このときを待っていた。群れの暴走を食い止めるため、今こそ秘密兵器を繰り出すときだ。さっそうと作業着を脱ぎ捨て、緑色の全身タイツに着替え、大群の前に躍り出る。
    「さあ、むさぼり喰うがよい」

    ――――
    秋田県出身の前野少年は、幼少期から昆虫が好きで、ファーブルにあこがれ「昆虫博士」をめざす。
    子どもの頃に読んだ、「大量発生したバッタに、緑色の服を着た観光客が服を食われた」という記事から、自身も同じようにバッタに集られたい、と強く思うようになり、「蝗害」がまだ社会問題でもあるアフリカ、モーリタニアへ。
    ただし、大学院博士課程を修了した「博士」が大量に存在する中、研究で食べていくのは非常に困難なことでした(筆者の憧れでもあるファーブルでさえ、研究ではなく教師として得た収入で生活していた)。

    「ポスドク」として収入(研究補助)が得られるか、任期のない「定職」につくことができるのか、現地の研究所職員とのミゾは埋まるのか、そして「サバクトビバッタ」の生態を暴き蝗害対策を確立することはできるのか……。

    筆者の文章力も高く、アフリカ紀行のエッセイとしても十分に楽しめますし、理系(研究職)を将来の進路として考えている人にとっては研究の方法(とくにフィールドワーク)を知ることもできますし、「自分が本当にやりたいこと」に真剣に取り組む筆者の姿は、自分自身の仕事への姿勢を振り返るきっかけにもなります。

    これからの筆者の研究や論文が順調に進むことを強く期待しますし、またモーリタニアでの活躍を書籍で紹介してもらえることを楽しみにしたいです。

  • 最後の最後まで、たくさんの笑いと勇気をもらいました。
    著者のキャラクターは言うまでもなく、テジャニやババ所長など魅力溢れる方々との交流も面白かったです。
    また、自分の好きをとことん追求し、人や世の中を良くしたい!という強い信念を持っておられるポスドクの方々がこんなにもサバイバルで生活する(仕事を得る)ことが大変だとは知りませんでした。
    著者の、苦悩しながらもいつでも前向きな姿や、ババ所長の人(著者)への接し方、考え方には学ぶものがありました。

    いまでも思い出して笑ってしまうところは、
    ・フランス語を全く覚える気がないなか、テジャニとの意思疎通が数ヶ月で完璧になり周りが不思議がったこと
    ・白眉プロジェクトでの著者の行動
    ・サソリに刺されたあとのババ所長のお祈り

    感動したところは、
    ・ババ所長が語るモータリア人の考え方。
    "助けが必要な人がいれば必ず手を差し伸べる"
    ・ババ所長によるコータローへの気遣い。
    研究所を変えたり、クリスマスのお祝いをしたり。

    あと、最後のノミのエピソードで、アフリカ生活は私には無理だ…と思いました。(ものすごく行きたいんだけど…!)

  • う~ん、図書館じゃ486(昆虫)に入ってるけど、自伝や仕事あるいは紀行のところに入れるのが正しいのかも。
    バッタのことも書かれてはいるけれど、どちらかというとポスドクが仕事を得るために悪戦苦闘するのがメインのように感じた。
    この頃理系の研究者も面白い文章を書ける人が増えて、良いことだとは思うが、『菌世界紀行』もそうだったけど、もっと研究自体のことについて知りたいのにな。それは前著を読めばいいのかもしれないけど、これが初めて読むこの著者の本という人が多いと思うので。個人的にはその点は残念だった。
    なるべく殺虫剤を使わず、生態を把握し、幼虫のうちに対応して、モーリタニアの緑を守るのが目的だったはず。その件はどうなったのか。
    本としては面白いし、著者の熱意も努力も伝わるし、優秀な人だとは思うけど、面白さに走り過ぎているように思う。
    この本に出てくる当時同じポスドクだった小松貴(『虫のすみか』『アリの巣のお客さん』など)、堀川大樹(『クマムシ博士の「最強生物」学講座』)の方が一般向けに書かれた研究紹介の本としては、ずっとためになったし、著者が師事した松浦健二の『シロアリ』は、私が読んだ一般向けの生き物に関する本の中でここ数年では一番素晴らしかったが、圧倒的にこの本より科学の本としては面白い。
    だから、冒頭に戻るが、科学の本ではなく、青春もの、国際交流ものとして評価したい。ポスドクの人には特に参考になる本だと思う。
    ここまでの情熱を持っているか?退路を断って捨て身の努力をしているか?あらゆるネットワークを駆使して自分を売り込んでいるか?と自分に問い、改めて仕事というものを考え直すきっかけになる。
    著者には、次回は松浦教授に並ぶような本を書いてほしい。
    もしこの文章を読まれた方は是非松浦健二の『シロアリ』(岩波科学ライブラリー)を読んでください。

  • 図書館より。

    素晴らしく楽しく読了。読みやすく、なにより面白いわ~。
    バッタは勿論、節足動物全般が苦手だから憧れとか全然湧かないけど(笑)やっぱり人柄か。そのハングリーな気持ちが今に繋がっているんだと思う。スゴいね!
    これからバッタの論文が出るたび気になるんだろうな~。

  • 一本の映画を見終わった気分だ。

    この本を読み終わってから一番に浮かんだ感想が、これだ。
    中盤までは読んでいるのが辛かった。ポスドクで貯金もロクにないのに、給料を払いながら、研究しながら、たまには騙されて痛い目を見たり…。
    モーリタニアまで研究しに行って研究材料が全然取れなかったり。自然相手のフィールドワークにつきものの悩みに苛まれる姿に、読んでいるこちらが「大丈夫かな、生きて日本に帰れるかな」と心配になってしまった。
    しかし、中盤以降は怒涛の如く良い方向に事態が展開していく。
    今や掃いて捨てるほどいるポスドクの維持と根性が、運とチャンスを引き寄せたのだろう。
    とてもエキサイティングなポスドクエッセイ。

  • 幼いころに興味を抱いたことを研究し、社会に貢献したいと懸命に努力を重ねているポスドクの方々が沢山います。
    しかし運よく職につけたとしても多くが5年程度の有期雇用で、差し迫った将来の生活不安を抱えています。
    本著者の前野さんもまだ注目されるような成果は出せていないようです。
    バッタ博士として生きていくには一筋縄ではいかない。
    バイタリティあふれ、衣食住+研究費の工面を常に考えて行動している姿はなかなか真似できません。
    「憧れた人を超えていくのは、憧れを抱いた者の使命だ。」という言葉が前野さんの活力の源になっていると感じました。

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