バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

  • 光文社 (2017年5月17日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334039899

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)の感想・レビュー・書評

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  • 講演会でお会いしたことがあるのですが、とても気さくでこの本のまんまな お人柄でした。会場は爆笑の渦で盛り上がりました。「職場がサハラ砂漠」で、転んでもただでは起き上がらない不屈な精神の持ち主で、こういう人の助手をすることが出来たら、砂漠だってすごく楽しそう!って思いました。結婚とかしても文字通りどこででも生きて行けそうな頼もしさがありました。話を聴いても本を読んでいても、この人は情熱的でひたむきな、閃きの達人なのだと感じました。

    昆虫&バッタ愛にあふれていて、ただ勇気を、ひたすら前向きにがんばろう!とかではなくて、信じることの大切さを(特に)子どもたちに教えてくれたような気がしました。夢も希望も大事だけど自分の好きなことを信じる=自分を信じる。

    あとがきのおにぎり一つのことについて“幸せのハードルが下がっただけで、こんなにもありがたみを感じるものなのか”…という文にブータン的なものを感じた。自然を相手にしていると様々なもののありがたみを実感するんだろう。便利になり過ぎると幸せのハードルもどんどん上がっていってしまうのかもしれない。バッタ奮闘記だけではない内容に驚きつつ感謝して生きることを改めて教えてもらったような気がしました。

  • 一人のバッタ博士がアフリカでバッタと、いや人生と格闘する話。
    本屋で偶然手に取り読んだ本だが、結果的に2017年上半期一番面白い本となった。

    新書にしては厚めだが、文章・言い回しが面白く、飽きずに笑いながらスイスイ読める。
    スイスイ読んでるうちに、サバクトビバッタの生態からモーリタニアの生活・文化、
    はたまた研究者の苦悩から東北弁の雑学まで、様々ものを垣間見ることができた。

    それだけで十分面白いのだが本書の魅力はそれだけではない。
    筆者はモーリタニア赴任後、いくつもの困難・苦難にぶつかるが、
    工夫と努力と忍耐をもってして、また多くの人との出会いと助けを得ることで、
    それらを乗り越えて成長していく。その姿に感動するし勇気を貰える。

    終盤の「孤独の不安は友やファンが打ち消し、無収入の心配は京都大学が葬り去った」は笑える言い回しなのだが、
    多くの苦悩を乗り越え成長した上で決戦を迎えるところで、不覚にもホロっときてしまった。笑。

    超おすすめの一冊です。バッタにもアフリカにも興味が無くても十分楽しめるはず。

  • 図書館より。

    素晴らしく楽しく読了。読みやすく、なにより面白いわ~。
    バッタは勿論、節足動物全般が苦手だから憧れとか全然湧かないけど(笑)やっぱり人柄か。そのハングリーな気持ちが今に繋がっているんだと思う。スゴいね!
    これからバッタの論文が出るたび気になるんだろうな~。

  • 一本の映画を見終わった気分だ。

    この本を読み終わってから一番に浮かんだ感想が、これだ。
    中盤までは読んでいるのが辛かった。ポスドクで貯金もロクにないのに、給料を払いながら、研究しながら、たまには騙されて痛い目を見たり…。
    モーリタニアまで研究しに行って研究材料が全然取れなかったり。自然相手のフィールドワークにつきものの悩みに苛まれる姿に、読んでいるこちらが「大丈夫かな、生きて日本に帰れるかな」と心配になってしまった。
    しかし、中盤以降は怒涛の如く良い方向に事態が展開していく。
    今や掃いて捨てるほどいるポスドクの維持と根性が、運とチャンスを引き寄せたのだろう。
    とてもエキサイティングなポスドクエッセイ。

  • う~ん、図書館じゃ486(昆虫)に入ってるけど、自伝や仕事あるいは紀行のところに入れるのが正しいのかも。
    バッタのことも書かれてはいるけれど、どちらかというとポスドクが仕事を得るために悪戦苦闘するのがメインのように感じた。
    この頃理系の研究者も面白い文章を書ける人が増えて、良いことだとは思うが、『菌世界紀行』もそうだったけど、もっと研究自体のことについて知りたいのにな。それは前著を読めばいいのかもしれないけど、これが初めて読むこの著者の本という人が多いと思うので。個人的にはその点は残念だった。
    なるべく殺虫剤を使わず、生態を把握し、幼虫のうちに対応して、モーリタニアの緑を守るのが目的だったはず。その件はどうなったのか。
    本としては面白いし、著者の熱意も努力も伝わるし、優秀な人だとは思うけど、面白さに走り過ぎているように思う。
    この本に出てくる当時同じポスドクだった小松貴(『虫のすみか』『アリの巣のお客さん』など)、堀川大樹(『クマムシ博士の「最強生物」学講座』)の方が一般向けに書かれた研究紹介の本としては、ずっとためになったし、著者が師事した松浦健二の『シロアリ』は、私が読んだ一般向けの生き物に関する本の中でここ数年では一番素晴らしかったが、圧倒的にこの本より科学の本としては面白い。
    だから、冒頭に戻るが、科学の本ではなく、青春もの、国際交流ものとして評価したい。ポスドクの人には特に参考になる本だと思う。
    ここまでの情熱を持っているか?退路を断って捨て身の努力をしているか?あらゆるネットワークを駆使して自分を売り込んでいるか?と自分に問い、改めて仕事というものを考え直すきっかけになる。
    著者には、次回は松浦教授に並ぶような本を書いてほしい。
    もしこの文章を読まれた方は是非松浦健二の『シロアリ』(岩波科学ライブラリー)を読んでください。

  • 面白く読みました。日本の研究者(の卵)のかたがたの現状や、日本の国としての国際貢献の意義についても、示唆に富む内容でした。こういったテーマを気軽に手軽に興味深く読ませる良書だと思います。
    口煩くいえば、気軽に手軽に読ませようと意識しているためか、文章が軽すぎて途中で少し飽きてしまったり、笑わせようという努力が濃厚すぎてちょっと食傷気味になってしまったかな…。章のなかで細かくブロック分けされているのも、私の好みからするとやや細切れすぎて集中力が途切れそうになることたびたびでした。この辺りがネックで読了するまで時間がかかりました…。

    しかし、バッタに人生を懸けて夢に突き進む姿には感動しました。頼もしい。

    最終章にある、「憧れた人を超えていくのは」の一文、ここで不覚にも涙ぐみました。著者の今までの道を、この著書を読むことで追体験してきたこの道を、振り返ればこみあげるものがありました。そしてこれからの彼の道に思いを馳せ、もしかしたら私は、彼の読者たちは、日本のファーブルの誕生に立ち会っているのかもしれないと感じます。

  • ファーブルに憧れた少年だった筆者が,昆虫学者として活躍するようになるまでを描いたサクセスストーリー?です。
    研究者としてアフリカのモーリタニアに旅立った筆者。しかしそこでは,想像以上の困難と驚異が待ち受けていたのでした。

    ニコニコ学会βというやつが,まさに「野生の研究者」という言葉を編み出していますが,彼こそその名にふさわしい!
    個人的にバッタにはまったく興味がないし,虫は苦手だし,モーリタニアがどこにあるかもよくわからないのですが,それでもめちゃくちゃ引き込まれました。
    とてもわかりやすい文章,小ネタを挟みつつもバッタに対して,そして研究やフィールドワークに対してとても真摯な方であることが伝わってくるのが最大の魅力と言えましょうか。
    ただ派手なことをしているから有名になったというわけではなく,そこに真摯な目的があることがわかるから大勢のファンがいらっしゃるのだろうと思います。
    「夢を叶える最大の秘訣は,夢を語ること」(p.372),重みがあります。読み終わっても虫が好きにはなりませんでしたが笑,バッタ研究の進展を願っています!

  • 最高だった。最高だった!
    全体を通してコミカルでおちゃめな文章が素晴らしい。
    ストーリーを見ても、不運に見舞われる前半、苦労が報われる後半、ずっと支えてくれる周りの人々などなどよくできている。
    先へ進むにつれて盛り上がっていく構成は見事。
    自虐的で、謙虚で、情熱的で、情に熱い。著者のファンにならざるを得ない一冊です。

  • <内容紹介より>
    バッタの群れは海岸沿いを飛翔し続けていた。夕方、日の光に赤みが増した頃、風向きが変わり、大群が進路を変え、低空飛行で真正面から我々に向かって飛んできた。大群の渦の中に車もろとも巻き込まれる。翅音は悲鳴のように重苦しく大気を震わせ、耳元を不気味な轟音がかすめていく。このときを待っていた。群れの暴走を食い止めるため、今こそ秘密兵器を繰り出すときだ。さっそうと作業着を脱ぎ捨て、緑色の全身タイツに着替え、大群の前に躍り出る。
    「さあ、むさぼり喰うがよい」

    ――――
    秋田県出身の前野少年は、幼少期から昆虫が好きで、ファーブルにあこがれ「昆虫博士」をめざす。
    子どもの頃に読んだ、「大量発生したバッタに、緑色の服を着た観光客が服を食われた」という記事から、自身も同じようにバッタに集られたい、と強く思うようになり、「蝗害」がまだ社会問題でもあるアフリカ、モーリタニアへ。
    ただし、大学院博士課程を修了した「博士」が大量に存在する中、研究で食べていくのは非常に困難なことでした(筆者の憧れでもあるファーブルでさえ、研究ではなく教師として得た収入で生活していた)。

    「ポスドク」として収入(研究補助)が得られるか、任期のない「定職」につくことができるのか、現地の研究所職員とのミゾは埋まるのか、そして「サバクトビバッタ」の生態を暴き蝗害対策を確立することはできるのか……。

    筆者の文章力も高く、アフリカ紀行のエッセイとしても十分に楽しめますし、理系(研休職)を将来の進路として考えている人にとっては研究の方法(とくにフィールドワーク)を知ることもできますし、「自分が本当にやりたいこと」に真剣に取り組む筆者の姿は、自分自身の仕事への姿勢を振り返るきっかけにもなります。

    これからの筆者の研究や論文が順調に進むことを強く期待しますし、またモーリタニアでの活躍を書籍で紹介してもらえることを楽しみにしたいです。

  • す、すいません。
    名前は芸名かと。表紙から芸人さんかと。
    全然違った。全然真面目なヤツでした。

    サバクトビバッタの被害を阻止せんがために、遠くモータリニアという国に降り立つ著者。
    内心、緑の服をバッタに食べ尽くされたいという奇怪な願望を持っているのだが、そんなことはつゆ知らず、現地のババ所長やティジャニ、ハリネズミ二匹と心を交わしてゆく……。

    と、私的にはこのエッセイ?ドキュメンタリー?は三部構成で考えている。
    冒頭〜中盤を過ぎるまでは、バッタには遭遇しないながらも、モータリニアの風景や食事なども踏まえ、ポスドクモードで真面目に描かれる。

    しかし、だ。
    第7章259ページ辺りから、色合いが一転。
    資金が底をつく、という切実な問題にぶつかり、瀕死の状況に陥る。
    ここからの起死回生劇。まさにメイクドラマ。
    反対にここからだけ読むと、多分、筆者がどのような思いでモータリニアに滞在していたかはちゃんと伝わらないような気がする(笑)

    そして、第8章にして大量バッタとの遭遇。
    いやあ、良かったね、良かったね、と思いながら読んで、笑わせてもらった。

    全体を通して、軽い言い回しから笑ってしまうような雰囲気があるのだけど、蝗害は災害と見なされるほど甚大な被害をもたらす。
    実際に目にしたことはないけれど、昔、サザンアイズという漫画で、イナゴの大群に街を襲われる描写があったのをハッと思い出した。

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