世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書)

著者 : 山口周
  • 光文社 (2017年7月19日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334039967

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書)の感想・レビュー・書評

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  • 欧米では今、グローバル企業が世界的に著名なアートスクールに幹部候補を送り込んだり、知的専門職が早朝から美術館に通っているという。その具体的な理由、および現在のリーダーに求められる「美意識」について説く。

    忙しい読者のために
    本書における「経営の美意識」の適用範囲
    第1章 論理的・理性的な情報処理スキルの限界
    第2章 巨大な「自己実現欲求の市場」の登場
    第3章 システムの変化が早すぎる世界
    第4章 脳科学と美意識
    第5章 受験エリートと美意響
    第6章 美のモノサシ
    第7章 どう「美意識」を鍛えるか?

  • タイトルはよくある感じで好きじゃないけど、内容はみっちり詰まってて面白かった。サイエンスの世界、すなわち統計学的有意差と再現性と帰納法の世界で生きてきたからデザインとビジョンの世界が分からない。でも今後AIが合理性重視の判断に長けていき法整備も追いつかない中で必要なのは自然法定主義に則った理念の力、デザインの感覚、すなわち美意識。別にアートに拘らなくても、音楽でもスポーツでも美はあるよなと思う。特に音楽とか。あと西洋薬は帰納法的なアプローチだけどこれからは演繹法のアプローチを取る漢方に光が当たっていくのかもしれないなと漠然と思う。マインドフルネスとか内面との対話を重視する世界。

  • ビジネスの世界ではデータも論理的思考も外せない要素なのだけど、直感や人の感情を揺さぶる体験もこれからは必要だよね、という本。
    上の人達がこんな考え方を持ってくれると仕事もスムーズになりそう。
    以前からアメリカ人よりヨーロッパの人の方がデザインやアートに対して理解あるなぁと思っていた謎が少し溶けた気がする。

  • 東2法経図・開架 B1/10/891/K

  • 書名からあまり期待していなかったが、かなり綿密なデータと深い考察がつまった良書でした。サイエンスとクラフトばかりを偏重し、アートが軽視される昨今に不満をもっているので、「美意識」や「アート」の重要性を主張するこの本が広く読まれることを望みます。



  • 本の題名の裏に、真善美が横たわっている。
    この本を読んで、自身の仕事の環境の閉塞感の原因が見えたし、会社がやっているデザイン・シンキングの取り組みなどの意味が分かった。そして、その一歩先を創り出す美意識の必要性も。

    閉塞感の原因が、「言語化できるものは、模倣できる。 」に尽きる。IT業界は、まさにこれに当てはまるし、競争のスピードが非常に速い上に、他業種も参入して来るなどレッドオーシャン化が凄い。今や、分析的・論理的な情報スキルを身につけた人だらけ、「サイエンス重視の意思決定」で、「正解のコモディティ化」が普通になっている。そんな中で、キーワードとして、「自己実現市場の登場」と「ブランドに付随するストーリーと世界観」「世界観とストーリーは決してコピーする事が出来ない」と言った指摘は、勉強になった。

    「センスの悪い顧客が多い地域からの要望で物を作れば、その地域では売れるが、センスの良い顧客の地域で売れない、センスのいい地域の物が入ってきたらそちらが売れて、逆は起こらない、いかに市場の要望に高水準に保つかを意識していかなければ優位に立てない。」

    美意識を鍛える方法として、大きく以下の項目が提示されている。ただ、見るだけ、読むだけではなくどの様に見るか、読むかが指摘されている。

    ・絵画を見る
    ・哲学に親しむ
    ・文学を読む
    ・詩を読む


    著者は、山口周氏、コンサルタントであり、著述家。他の作品は読んだ事が無かったが、この本に書かれている内容は、教養領域の本に書かれている内容が幅広く散りばめられていて、面白い。他の本ではなかなか触れられないポアンカレとか。


    絵画を見る所に、三浦篤氏の『眼差しのレッスン』がお勧め。


  • 今年は「言語/非言語」をテーマにしているのでとても面白かった。ということを前提にモヤモヤと。

    最近最も気になっているのは引用したところで、この前、デザイナーや藝大生とMTGしたときもこの話になった。
    「なんで絵画より言語の方が具体的、とか伝わりやすい。という言説が主流なのか、よくわからない。職業病?」みたいな話に 。

    たしかに、絵画のほうが一般的に言えば抽象的、と思われてるけど、実は情報量は言語なんかよりもはるかに膨大だ。それはテキストデータと画像動画データの容量を比べればすぐわかる。

    この点、「美」を鍛える(引き出す)には、「美」を創造(創作)するプロセスの体験は必要だろうなと感じた。写真にハマってるとよくわかる。面白いもの、美しいものを撮りたい、撮る、でもダメ、頑張ろう、、(以下略。

    サイエンスの知見もクラフトマンシップも総動員、緻密で繊細で気の遠くなるような営みを通じてはじめて、「美」は生まれるのではないだろうか?

    だとしたら体験の接点は多いほうがいいなと。

    ちょうど「言語/非言語」に関してワークショップを企画しているところだったので、なんともモヤモヤと示唆を与えてくれました。

  • いつもながら、とても示唆に富んだ一冊。オウムやDeNAの例を出しながら、美意識なき経営者やエリートたちが突っ走ってしまうことの先にある危険性をわかりやすく解説してくれている。
    戦略コンサルとオウムのシステムの類似性には、ぞっとした。
    アートや哲学から、自分なりの美意識の醸成について考えてみようと思った一冊だった。

  • ・論理的、理性的な情報処理スキルの限界が露呈しつつある。
    ・多くの人が同様のスキルを身につけたことによる「正解のコモディティ化」、差別化の消失。
    ・分析的・論理的な情報処理スキルの「方法論としての限界」。VUCAな世界において論理的、理性的であろうとすれば問題解決能力や創造力が麻痺する「分析麻痺」。
    ・要素還元主義の論理思考アプローチは機能しない。全体を直観的に捉える感性と、「真・善・美」が感じられる打ち手を内省的に創出する構想力や創造力が求められる。
    ・世界中の市場が「自己実現消費」へと向かいつつある。人の承認欲求や自己実現欲求を刺激するような感性や美意識が重要。
    ・システムの変化にルールの制定が追いつかない。クオリティの高い意思決定を継続的に行うためには内在的に「真・善・美」を判断するための「美意識」が求められる。

    ・達成動機が高く、システムにより適応しやすいエリートこそ美意識が必要。システムに適応し、システムの歯車を回している自分を、より高い次元から俯瞰的に眺める、そのようなメタ認知の能力を獲得し、自分の有り様をシステム内の評価とは別のモノサシで評価するためにも美意識が求められる。
    ・「悪」に手を染めないためには、「システムに を相対化すること」しかない。自分なりの「美意識」を持ち、その美意識に照らしてシステムを批判的に見るしかない。一方で、システムから排除されてしまえば社会的な成功を収めることは難しい。重要なのは、システムの要求に適合しながら、システムを批判的に見るということ。なぜならシステムを修正できるのはシステムに適応している人だけだから。エリートは、自らが最適化していることで様々な便益を受けているシステムを、その便益に拐かされずに批判的に相対化する知的態度が求められる。

    ・哲学を学ぶ上で真に重要なのは、その哲学者が生きた時代において支配的だった考え方について、その哲学者がどのように疑いの目を差し向け、考えたかというプロセスや態度。コンテンツではない。哲学を学ぶことで、「無批判にシステムを受け入れる」という「悪」に人生を絡めとられることを防げる。

    ・システムの内部にいて、これに最適化しながらも、システムそのものへの懐疑は失わない。システムの有り様に対して発言力や影響力を発揮できるだけの権力を獲得するためにしたたかに動き回りながら、理想的な社会の実現に向けて、システムの改変を試みる。これが現在のエリートに求められる戦略であり、これを実行するためには「システムを懐疑的に批判するスキル」としての哲学が欠かせない。

    ・リーダーシップと詩には非常に強力な結節点がある。ともに「レトリックが命である」ということ。

  • コンサルタントを経験し組織開発・人材育成を専門とする筆者が、最近の経営に大切な美意識について論じている。経営のタイプを「アート」「サイエンス」「クラフト」に分けているが、「アート」はアカウンタビリティの弱さがあり、イノベーションが阻害されるパターンをわかりやすく説明している。また、「サイエンス」が幅を利かせると、導き出される解答がコモディティ化され、レッドオーシャンに陥りやすい現代の経営問題を指摘し、その為にも「アート」の領域を経営に生かすべきだという主張は面白い。「アート」は審美眼としも考らえ、経営において重要視することを決めるのに美意識が必要で、特に内輪の論理に陥りやすい日本の組織には大切だとしている。問題は、美意識をどうやって養うかだが、歳をとってから養えるものなのか疑問が残る。

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