世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • / ISBN・EAN: 9784334039967

感想・レビュー・書評

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  • 簡単に手に入る情報ほど頭に残らない
    インターネット、ガイドブック、そして親切で読みやすいビジネス書

    以前読んだ「武器になる哲学」同様、山口氏の書は知識の宝庫でありながら、非常にわかりやすく読みやすい
    コレはサクッと読んで、アッサリ忘れてしまうパターン⁉︎
    それはさすがに勿体無いのでまとめます!

    このタイトルの答えはほぼ
    「はじめに」の次の章、「忙しい読者のために」でなんとも親切に網羅されている

    美意識を鍛える必要がある理由

    ①論理的・理性的な情報処理スキルの限界が露呈しつつある
    ■差別化の消失…情報処理のスキルが向上し、他人と同じ正解を出してしまう
    ■方法論としての限界…過度な分析・論理思考が問題解決能力や創造力の麻痺をもたらす

    ○感性や直感を大切にする…ソニーのウォークマン、スティーブ・ジョブズ
    ○経営トップに「アート」を据え、左右の両翼を「サイエンス」と「クラフト」で固めて、パワーバランスを均衡させる
    ○エリートには大きな権力が与えられるため哲学的思考が必要

    ②世界中の市場が「自己実現的消費」へと向かいつつある
    人の承認欲求や自己実現欲求を刺激するような感性や美意識が重要になる

    ○デザインとテクノロジーはコピーできてしまう
    (言語化できると言う事は、全てコピーできると言う事)
    ○一方でストーリーや世界観はコピーできない
    「これがクールなのだ」ということを提案していける創造的経営が必要(例:アップル)

    ③システムの変化にルールの制定が追いつかない状況が発生している
    現在のように変化の早い世界においては、ルールの整備はシステムの変化に引きずられる形で、後後追いでなされることになるため、自分なりの美意識に照らし合わせた判断が必要

    ○ライブドア、DeNAの不祥事
    ○ジョンソン・エンド・ジョンソンの「我が信条」…株主より社員を優先(拍手)

    ■その他

    ○偏差値は高いが美意識は低い→オウム真理教
    ○悪とは、システムを無批判に受け入れること→
    アイヒマン
    ○「美意識」前面に出して成功→マツダ
    ○哲学から得られる3つの学び
     ①コンテンツ(哲学者の主張)からの学び
     ②プロセス(気づきの思考の過程)からの学び
     ③モード(世界や社会への向き合い方や姿勢)からの学び
    (ここではアナクシマンドロスが例に
    カルロス・ロヴェッリ 読んでおいて良かったぁ)
    ○生産性や効率性ではなく「真・善・美」という内部のモノサシに照らして自らの有り様を考えていくべし


    数字に強くなれ
    という時代ではなくなった
    次のステップへの移行期だ

    結論より裏付け知識がたまらなく面白い
    何故あの企業は業績が良いのか、また逆も然り
    そして過去の歴史や哲学、古典文学まで幅広い教材がこの世に溢れていることを改めて教えていただけた

    たくさんの良書を読みアートに触れよう
    そして哲学に親しもう
    意外な副産物が生まれそうだ
    良い刺激となった

  • エリートとは、優秀な能力をもつ選ばれし者のことを言います。
    社会の先頭に立って、国や大企業を引っ張るような人。
    スポーツや芸術などの世界にもエリートはいるが、本書では「経営における」とあるので企業の幹部を指している。
    「世界の」エリートとも明記しているので、グローバル企業の経営者にスポットを当てている。

    美意識 とは (真・善・美)の感覚と説明されているが、次のようなことだと受け止めた。
    ・一目見た瞬間に美しさを捉える感性
    ・法やルールに縛られない個人的基準による善の判断力

    近年(昔から?)多発している一流企業のデータ改ざんや隠ぺいなどの不正は、確かに美意識の欠如によるものとも言える。
    不正を追及されたエリート(?)たちからよく聞く言い訳は「不適切だったが違法ではない」というものだ。
    情けないことに、違法でなければ、セクハラ、パワハラ、その他モロモロ何でも正当化してしまうのだ。

    バイオテクノロジーや人工知能など科学技術の進歩に法整備が間に合っていない現在、法規制を判断の拠り所としている経営者は時代の変化についていけない。
    法令に従う事が目的になってはいけない。法令の有無に関係無く、自分たちで自分たちの行動が正しいと判断できるモノサシを持つ必要がある。

    これからの時代、物質主義は後退しファッション要素を取り込んだ精神的な充実を求める声が一段と強まる。
    このように自己実現要求の市場に変化している世界では、美しさを捉える感性を身につけていない経営者は勝負できない。

    日本にやってくる外国人の多くが、日本庭園など「日本の美意識」に感銘を受けていることを考えると、日本は美意識を鍛える土壌は豊富だといえる。

    エリートは得てして「すぐに役立つ知識」ばかりを追い求める傾向がある。
    偏差値は高いけど美意識が低い人に共通しているのは「文学を読んでいない」こと。
    つまり、美意識(真・善・美)を鍛えるために最も有効なのは「文学を読む」こと。 … 因果関係に疑問はあるがまあ納得。

    エリート候補の皆さま、我々凡人の持っている美意識が理解できる程度には美意識を鍛えてくださいね!

  • 慶応大学の哲学科を卒業し、美術史学専攻修士課程を経て、ボストンコンサルティングでコンサルタントをした著者が、「美意識」の重要性を説く。ここで「美意識」のもとになるのは「アート」であったり「哲学」であったりするので、著者が学生時代に学んだものを、エリートにとって重要なものである、と位置づけたものでもある。いわゆる、著者からすると手前みそになるのかもしれないが、それはそれで正しいのであれば問題ない。基礎があるので、かえって安心感がある。

    経営において、「アート」や「哲学」を重視すべきだ、というのは本書が最初ではない。Appleをテクノロジーとリベラルアーツの交差点に立つ会社と言ったスティーブ・ジョブズの成功を見れば、それについてそのレベルの差はありつつも真っ向から異論をはさむものもいないだろう。本書の中でも紹介されているが、ダニエル・ピンクの『ハイ・コンセプト』をかつて読んだが、「6つの感性」- デザイン、物語、調和、共感、遊び心、生きがい、を重視せよと主張され、これからは経営学修士(MBA)よりも、美術学修士(MFA)が重要になると書かれていた。そして、そのころの自分は、いまいちその内容が腹に落ちずに、そのままの感想をレビューに書いたこともある種の違和感とともに覚えている。改めて思うに、ビジネスにおいて「論理」だけではダメ、もう少し言うと、いまや論理は誰もが提供できるものであり、それが差別化要因にならない、ということだとしたら、おそらくそれは正しい。そして、ダニエル・ピンクを呼んだときの自分の考えは今となってはやはり遅れていたのだろうかと思う。

    ビジネスと哲学の関係については意外にも近年の成功者の中にいくつも事例があって、例えばペイパルマフィアの首領格のピーター・ティールが哲学を専攻し、さらにペイパルの後にリンクトインを立ち上げたリード・ホフマンとも哲学科で会ったという。ピーター・ティールも、経営には哲学が必要だと主張することにかけては第一人者だ。なにしろ多くの経営者をさておき、何より仏哲学者のルネ・ジラールにもっとも多くの影響を受けたとまでいう。ピーター・ティールの事例は、もしかしたら著者の主張の正しさをもっともよく示しているのかもしれない。

    実際に、PEST、4P、5Force、STPなどの知識を皆が持つようになり、「正解のコモディティ化」が起きている時代において、VUCAと呼ばれる不確実性の時代の中で価値を出すためには感性と共感が必要になる、と言われると、その通りかもしれないと納得する。今となれば『ハイ・コンセプト』が主張しようとしていたことはある意味では当たり前のように感じる。

    著者は、人材の型をわかりやすく「サイエンス」と「クラフト」と「アート」に分けて、経営におけるアートをあえて重要視することの大切さを説明する。この三つをそれぞれ得意とするものが普通に戦ったときには、常に「アート」は負けてしまうという。「アート」を信じるものにとって、ビジネスにおけるアカウンタビリティが足かせになるし、いつにおいてもクラフトマンシップが提供する高品質は大事なことだ。しかし、イノベーションが起きるときには、たいてい論理的ではなく超論理的な意思決定が行われるものだ。著者は、経営者が持つべきミッションやパッションに基づく「直感」や「感性」をまとめて「美意識」と呼んでいる。経営の中で、いかに「アート」を経営に取り込むのかが課題であり、それがこの本のタイトルが意味するところと言ってよい。

    視点を変えて、PDCAにおいて、PlanをCEOが、DoをCOOが、CheckをCFOがやると考えると、CEOがアート型で、COOがクラフト型、CFOがサイエンス型というフォーメーションが理想的だと著者は言う。今CEOにこそアートが求められている。つまり、絵を描くことがリーダーに求められているのだ。「いいものはいい。説明や理由は不要だ」という姿勢はいわばリーダーシップの問題とも言える。その観点から「美意識」の問題は極めてMBA的でない形でのリーダーシップの問題なのである。MBA的能力のコモディティ化によって、そこに不足する「美意識」が求められている。なぜなら、それはコピーできないものだし、一回限りの決断の問題でもあるからだ。

    著者は、経営という営みの本質は「選択と捨象」である、という。そのために、本質を理解するための能力が経営者には必要となる。本質を見極める、ということは、アートとデザインにも共通して言えることである。どこまで本当かは知らないが、多くの企業経営者がコンサルタントではなく、デザイナーやクリエーターを相談相手にしているという。経営においては、「選ぶ」だけではなく、同時に「捨てる」という判断と行為が重要なのである。それは、「美意識」の問題ともいえるのである。

    さらに進めて、脳科学と美意識とした章においては、アントニオ・ダマシオのソマティック・マーカー仮説を紹介し、高度な意思決定においては直感に多くを依存していることを脳科学まで持ち出して示している。アントニオ・ダマシオがビジネス書に出てくるのかと驚いたが、以前、『武器になる哲学』という著作でもダマシオを紹介していたので、著者お気に入りの研究者の一人であり、ロジックであることは間違いない。

    また、日本の問題として、受験エリートがよい大学に入って大企業に就職してビジネスを動かすという状況について、「受験エリート」の集団に美意識が不足している、と指摘する。少し単純化し過ぎではないかとも感じたが、あの事件を起こしたオウム真理幹部の人たちを受験エリートだとして、
    「彼らにとって、受験というのは決して言われるように辛くて苦しいものではなかったのでしょう。勉強すればするだけ偏差値が上がり、そして偏差値によって階層が決まるというわかりやすいシステムは、彼らにとっても心地よいものだったはずです」
    あえてオウムを出すまでもなく、このことは慶応大学出身でもある著者もそう感じていたことだと思う。自分自身の受験体験を顧みても、そこにある種の心地よさがあったということに自覚的なので、受験を経験して上手にくぐり抜けた多くの人がある程度の共通感として持つものではないだろうか。

    著者はアイヒマンの例を出しているが、是非を問う前にまず命令に従うという人間の馴致性の高さについては言うまでもない。そういったシステムを無批判に受け入れることに抗う能力としても哲学が必要となるという。「美意識」を持つということはシステムを批判的に見ることである。「哲学を学ぶことで、「無批判にシステムを受け入れる」という「悪」に、人生を絡めとられることを防げる」と著者は言う。

    どこまで本当なのかわからないが、多くの欧州の名門校では哲学が必修になっているらしく、著者はこのことに非常に肯定的である(そして、その反面として日本の教育について懐疑的である)。もちろん、哲学のように正解がない中で、思考のプロセスを言語化する能力は非常に重要であると感じる。また、これが日本の教育に絶対的に欠けている部分でもある。

    今の企業や組織を考えたとき、システムに精通しているエリートが、システムを批判的に相対化して修正していくことが必要で、そのために「美意識」が必要だという論理になる。エリートは自分が所属するシステムに最適化されて多くの便益を得ているために、システムを改変するためのインセンティブがない。その中で改変していくことは批判的な姿勢と「美意識」が必要になるということ。

    「システムの内部にいて、これに最適化しながらも、システムそのものへの懐疑は失わない。そして、システムの有り様に対して発言力や影響力を発揮できるだけの権力を獲得するためにしたたかに動き回りながら、理想的な社会の実現に向けて、システムの改変を試みる。
    これが現在のエリートに求められている戦略であり、この戦略を実行するためには、「システムを懐疑的に批判するスキル」としての哲学が欠かせない、ということです」

    日本において、豊臣秀吉が利休を重用したのは、彼が政治における「美意識」の役割をよく知っていたのではという指摘はとても面白いと思う。その意味で日本の「美意識」は、日本の長所として伸ばしていくところだとも言える。そして、日本が美意識に優れた国であるというパーセプションをグローバルな文脈で持たせることは競争的にも望まれるところである。

    「詩人をマネージャーにするべき」とハーマンは言ったらしいが、それが共通認識となるのはいつのことだろうか。


    ---
    今、高校生の娘が美大に行きたいと言っている。まさかこういう考えを持ってのことだとは思わないが、良い選択なのではないかと思ったりもする。


    ----
    『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』(山口周著)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4046023910
    『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』(ダニエル・ピンク著)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4837956661

  • これからの時代は、「美意識」という内部のモノサシを持つことが大切だ!というのが著者の主張ですが、その考察がめちゃくちゃ面白かったです。
    著者の論旨が正しいのかどうかはわかりませんが、その考え方や物の見方は、とても面白く、参考になりました。
    ぜひぜひ読んでみてください。

  • 「直感」と「感性」の時代⁈
    論理的•理性的なスキルに、
    更に美意識をプラスさせる!こと
    【「美意識」を全面に出して成功したマツダの戦略】
    がとてもわかりやすかったです。
    論理的思考が苦手な私としては、
    せめて、直感や感性を磨きたいですが、
    それには、
    自己認識=セルフアウェアネスも必要のようなので、毎朝のヨーガ(瞑想)を楽しんで続けながら、
    「真•善•美」を意識していきたいです♪






  • パブリック・スピーカー(?)である山口周さんの本。
    エリートでもグローバル企業の幹部でも会社の経営者でもない私には、本書の取っ掛りから自分にはこの本は向いていないかも、と思いました。

    けれどまずは結論から述べられている読みやすさに加え、ウォークマンの製品化のエピソードやスティーブ・ジョブズ氏のiMacの5色のカラーでの販売の意思決定、そのような「論理」と「直感」のバランス、アートとサイエンスのバランスがいかに大切かということをとても分かりやすく解説してありました。
    そして、リーダーシップにおける言葉の力の大切さについても述べられていて、その力はまさにアート、即ち文学や詩によって育まれることも非常に納得でき興味深かったです。
    「真・善・美」の判断においては、経営だけにとどまらず、その美意識が生きていく上での豊かさ、正しさ、美しさに繋がるものだと感じました。
    著者が最後に「物質主義・経済至上主義による疎外が続いた暗黒の19~20世紀が終わり、新たな人間性=ヒューマニズム回復の時代が来た」と述べられていますが、この本が2017年に書かれ、その後コロナ禍が訪れまさに世界がそのように変化していることを実感している今、この人の先を見すえる視点がなんて鋭いのだろうと感心せずには居られませんでした。

  • アートをビジネスにどう活かせるか、っていうところを勉強したくて手に取ったので知りたいところドンピシャだった! うれしいな〜!
    美意識というのは身なりを美しくするという意味ではなく、言い換えるなら「直感力」や「美しいものを美しいと感じる琴線」のこと。論理、理性、サイエンスだけでものごとを判断していると意思決定が遅れたり、コンプライアンス上の問題に引っかかったりすることがある。VUCA(という言葉の意味を最近やっと正しく知った)時代に判断のよりどころとするべきは美意識で、それはアートに接することで磨かれる、という話。
    山口周氏の著書には哲学に関する本もあり、そのあたりも読んでみたいなあと思っているんだけど、この本に書かれている哲学の話もすごくおもしろかった。
    「なぜなら、真に重要なのは、その哲学者が生きた時代において支配的だった考え方について、その哲学者がどのように疑いの目を差し向け、考えたかというプロセスや態度だからです」(本文から引用)
    という文章のあとで、「これはつまりロックンロールだということです」「知的反逆」なんて書いてあるからテンションが上がった! 哲学ってロックンロールなんだって! 超楽しい!

    【読んだ目的・理由】アートをビジネスに活かす方法を掴みたかった/山口周氏の本を読みたかった
    【入手経路】買った
    【詳細評価】☆4.6
    【一番好きな表現】
    しかし、私は「デザイン」と「経営」には、本質的な共通点があると思っています。(中略)
    では両者に共通する「本質」とは何か?
    一言で言えば「エッセンスをすくいとって、後は切り捨てる」ということです。そのエッセンスを視覚的に表現すればデザインになり、そのエッセンスを文章で表現すればコピーになり、そのエッセンスを経営の文脈で表現すればビジョンや戦略ということになります。(本文から引用)

  • この本が届くべき人の所に届いて欲しいと切に思う。世間が上司がメディアが外が何を言ってても、私は、あなたは何を美しいと思うか、何を正しいと思うか、何を善いと思うか。外でなく内側にあるもので判断をしていくために自己認識を上げ自分なりのモノサシを持つべきと本書は言う。私は家族や友人をまずは大事にすべきだと思うし、お金や数字を増やすだけでは幸せにはなれない思う。自分がダサいと思うことはしたくない。ダサいことをすればダサい人が周りに集まる。 自分がカッコいい、最高だと心から思うものをもっと自分の中に増やしていこう。

  • タイトルはよくある感じで好きじゃないけど、内容はみっちり詰まってて面白かった。サイエンスの世界、すなわち統計学的有意差と再現性と帰納法の世界で生きてきたからデザインとビジョンの世界が分からない。でも今後AIが合理性重視の判断に長けていき法整備も追いつかない中で必要なのは自然法定主義に則った理念の力、デザインの感覚、すなわち美意識。別にアートに拘らなくても、音楽でもスポーツでも美はあるよなと思う。特に音楽とか。あと西洋薬は帰納法的なアプローチだけどこれからは演繹法のアプローチを取る漢方に光が当たっていくのかもしれないなと漠然と思う。マインドフルネスとか内面との対話を重視する世界。

  • なぜ美意識を鍛えるのか?
    アート鑑賞の利点を力説している作品か?と思って読んでみましたがそうではなかったです。話の提唱や切り口に独自性があり、ありきたりの内容ではなかったので、わくわくしながら読了できました。作者の教養の広さと分かり易い説明にも感銘を受けました。

    印象的だった事は、論理性と感性の高いレベルでのバランス、また美意識が派生して倫理的美意識が犯罪からも身を守る。判断力には論理性だけでなく感情も不可欠である可能性について。

    私は社会が発展している時は、人々に精神的余裕が生まれることで文化面も併せて発展するものだと思っていたが、実は逆で、高レベルの感性を持ち合わせた指導者が感性レベルの統治をしたからこそ社会が発展した、その指導者が芸術を好んだからこそ、さらに芸術も発展したのかもしれないと考えを改めさせられました。

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著者プロフィール

1970年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻、同大学院文学研究科美学美術史学修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループ、コーン・フェリー等で企業戦略策定、文化政策立案、組織開発等に従事した後に独立。現在は「人文科学と経営科学の交差点で知的成果を生み出す」をテーマに、独立研究者、著作家、パブリックスピーカーとして活動。現在、株式会社ライプニッツ代表、世界経済フォーラムGlobal Future Councilメンバーなどの他、複数企業の社外取締役、戦略・組織アドバイザーを務める。

「2023年 『新装版 外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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