美しきイタリア 22の物語 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334043032

感想・レビュー・書評

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  • イタリア22の美しい街と物語
    読みやすく美しい写真が想像力を助けてくれ、イタリアの空気を味わえる
    ベーネベーネ!
    それだけでなく同時にイタリアの歴史と文化の知識を増やしてくれるのも嬉しい
    知れば知るほど奥深いイタリア

    せっかく読んだので備忘録

    南イタリアのバーリ
    ブーツの形をイタリアとしたときのヒール部分の付け根辺り
    この街にあるサン・ニコラ教会の外に立つ聖ニコラ像だが、なんとサンタ・クロースの原型となった人物
    サンタ・クロースの伝説の最も有名な説らしい
    トルコのミラの街の三人娘の話である
    生まれは貴族だが貧乏な隣人
    その隣人は3人の娘がいたが、困窮のあげく、彼女達を身売りさせようと考える
    (ひどい父親だ)
    それを知った聖ニコラは夜、窓から金塊を隣人宅へ投げ入れる
    この時金塊が暖炉にかけた靴下に入ったとか…
    という説だ
    そしてバーリの商人たちがこの聖人の遺骨をトルコのミラから運んで(恐らく盗んで)、サン・ニコラ教会を建てた…とのこと
    すっかり北欧のイメージのサンタ・クロースだが、今のような子供の夢のある話ではなく、なんとも切実な現実的な話だったとは…


    青の洞窟で有名なカプリ島
    とても美しい島だ
    時間は優雅に流れ、気候もよく、高台から四方に海が見える
    ティベリウスはアウグストゥスの跡を継いだローマ皇帝だが、このカプリ島に引きこもってしまう
    10年近くも…
    (確かにそれくらい魅力的な場所だけど、アンタはダメでしょ…それに10年も居たら飽きないのかなぁ、そんな広くない島だし…)
    ちなみに聖書に登場する「神のものは神に、カエサルのものはカエサルに」の「カエサル」はユリウス・カエサルではなく、ティベリウスのことらしい
    ガーン初めて知った!

    シチリア島の東海岸にある街カターニア
    美しい貴族のアガタ
    彼女はキリスト教の熱心な信者
    だが当時の西暦253年頃は、まだキリスト教は公認されておらず、迫害の対象になることも
    そんなアガタを気に入ったシチリアの総督が、信仰をやめさせ、かつ彼女をものにしようとする
    もちろんここはお約束で、彼女の改心も出来ない上、ハートを射止めることにも失敗する
    しつこいこの総督は様々な手を使い、アガタの心を変えようとするが、頑なに信仰と貞節を守る
    とうとう拷問にかけ、乳房を斬り落とす…というヒドイおはなしだ
    これはキリスト教における「殉教」の教えらしい(傲慢な最低男の話しじゃん)
    このアガタが切り落とされた乳房を載せた皿を掲げる絵がなんとも美しく不気味な調和である
    女性の貞操観を願うモノらしいが、現代女性からはクレームがきそうな話である

    他にも、レオナルド・ダ・ヴィンチや、ナポレオン、イタリアのベルサイユと云われる美しいカゼルタ王宮、不気味で奇矯なバゲリーアのパラゴニア宮殿、大学の街ボローニャやアルベロベッロのトゥルッリ、スパッカナポリ…
    有名どころが満載ながら、一つ一つの小噺的な歴史エピソードが添えられており、気軽に楽しめる

    いつかイタリア再訪を夢みて…

  • 今は行けなくても、きっと行く日のために

    22の都市のエピソードを
    歴史的出来事、宗教、文化、偉人や貴族など
    多方面から分かりやすく綴られていて
    写真も多く
    行った気になりながら楽しめた

    その地の歴史を知って
    文化や人々に敬意もった旅ができたら
    旅は、もっと素晴らしいものになると思う

  • EU企画展2022「Ciao!イタリア」で展示していた図書です。

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BB2424108X

  • イタリアの22都市の話を
    歴史エピソードを加えて語っている。
    その語り口が絶妙であり、
    「行ってみたい」と思わせる内容に満足している。

  • 美しい写真と美しい文章が
    両方楽しめるおいしい新書。

    この作品はシリーズの2作目。
    まだ1作目読んでませんけどね。
    でもこれだけ楽しめるので
    前の作品もさぞかし面白いのでしょう。

    4つの章に分けられていて
    それぞれ違ったテーマで語られています。
    あのポンペイを襲った大災害を
    冷静に見据えてその災害に殉じた
    一人の学者のお話も出てきます。

    そして…最後の晩餐ももちろん。
    彼はどうやら、「仕上げない」人で
    有名だったようで、それがために
    有名なプロジェクトに入れず
    悔しい思いをしたようです。

    その作品は珍しく仕上げたのですが
    残念なことに、急がされたがために
    作品の保存状態は
    最悪なものになったのです…

    本当にほっとするひと時を
    提供してくれたように思います。

  • 東2法経図・開架 B1/10/897/K

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著者プロフィール

池上 英洋(いけがみ・ひでひろ):1967年、広島県生まれ。東京藝術大学卒業、同大学院修士課程修了。現在、東京造形大学教授。専門はイタリアンルネサンスを中心とする西洋美術史、文化史。『レオナルド・ダ・ヴィンチ―生涯と芸術のすべて』(筑摩書房)で第4回フォスコ・マライーニ賞を受賞、2007年に開催された「レオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の実像」では日本側の監修者となった。『錬金術の歴史』(創元社)、『「失われた名画」の展覧会』(大和書房)、『西洋美術史入門』、『西洋美術史入門〈実践編〉』、『死と復活――「狂気の母」の図像から読むキリスト教』(筑摩書房)、『レオナルド・ダ・ヴィンチの世界』(東京堂出版)など著書多数。


「2024年 『パリ 華の都の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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