小説の言葉尻をとらえてみた (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334043162

感想・レビュー・書評

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  • 言葉は生き物で、小説は時代を写す鏡。

    国語辞典編纂者の著書が小説、しかも最近の本の中から、移りゆく言葉の用例採集をいていく。後書きに曰く、『物語を楽しむための小説の中で「ことばを発見する」という楽しみ』が伝わってくる。

    よく「誤用」とされる語句があるが、著書は単に誤用と決めつけることなく、これは言葉の変化であると、古い小説や新聞などと併用して調べ、解説していく。作家の愛用句や斬新な表現が今後辞書に載っていく可能性など、考察の方向も様々。

    言葉好き、辞書好きならワクワクできると思う。

  • 著者が物語の世界に入っている設定が受け付けなかった。

  • 辞書の用例を採集しながら、小説の気になった言葉を掘り下げていく。小説の読み方としても、日本語解説としても、異色。面白かった。
    安易に「誤用」と言わないスタンスがいい。聞きなれない言葉が、実は昔よく使われていたり。何気ない言葉が、実は新しいものだったり。奥が深い。
    比較的新しい小説で、既読の作品が多いのもうれしかった。

  • 「小説の言葉尻をとらえてみた」は現代の小説十数作品から、現代的な使い方の単語を抜き出し、単語の成り立ちや歴史を紹介する本です。

  • 言葉とは変化するものであり、辞書その他にないからと言って、単純に誤りとしない筆者の立場は正しい。とはいうものの、おれ妹では文庫版で修正が入ったようですが…

  • 本書では、15冊の小説が取り上げられている。
    私が読んだことのあるものは、その内の6冊だが、もちろん読んだ作品についても、本書で取り上げられている言葉の用法など思い出せない。
    (なんなら、ストーリーも思い出せなかったりするのだから仕方ない)
    ただ、本作で「伊坂作品の特徴の一つですよ」と書かれている『これはあれだ』については、「ああ、そうかもしれない」と思う。

    本書で著者が各シーン内に入り込んで登場人物たちの会話に耳を傾ける手法は私は気にならない。
    自分の読書も、まさにこれと同じように、中に入り込んで登場人物たちの動きをそばで(私の場合は透明人間となって)見ているからだ。
    しかし、何作かでは著者が登場人物に話しかけてしまっているので、そのやり方は好きではない。
    全編を通して黒子でいて欲しかった。

    国語辞典編纂者である著者は、15作品の言葉の使い方に難癖をつけているわけではない。
    私も難癖をつけるつもりはなく、この方は言葉のプロだから重々わかっていながらわざと使っているのだろうなと思うのだが、本書で気になったところがある。
    統一されていなくて部分的に「さ抜きことば」「い抜きことば」が有り、「いい加減」という言葉をマイナス的意味合いで使っているところだ。

    普段私は「いい加減」「適当に」をマイナスの意味合いで使いつつも、心の中では「これらの言葉は本来はマイナスの意味じゃないんだよな。でも今はマイナスの意味合いで使うのが世間一般的に定着してしまっている言葉」と認識している。
    他に、個人的に(内心で)抵抗があるのは「全然」の後に否定形が来ない使われ方と「的を得る」という間違い。
    流石に今まで読んできた小説で「的を得る」なんて書かれているものにお目にかかったことはないと思うが、巷では溢れている。
    娘が弓道とアーチェリーをやっていたということもあって、私は「的は射るものだ!」という意識が強く、「的を得る」という誤用に強い拒否反応を示す。
    しかし、憤る私に対して当の娘は、「しょうがないよ。もうそういう言い方が定着してきちゃったんだから、その言葉もだんだん正しいことになっていくんだよ」というようなことを言う。
    まあ、そういうものかもしれない。
    私だって間違った言葉使いを山ほどしているだろうし、言葉は変化し続けるものなのだから。
    (でも「的を得る」だけは許せないんだよなぁ)

    また、本書で「綿飴」は東の方、「綿菓子」は西の方の言葉だと書いてあり、興味深かった。
    他にもいくつか地域での違いが書いてあり、自分は明らかに東の方の人なんだなとわかった(先祖に西の人もいるが)。
    でもそれは本書を読んで気付かされたことであって、私には当たり前に「綿飴」は「綿飴」だったのだ。(かといって綿菓子と言われて、それが綿飴のことだということはわかるし、今まで違和感もなかった。ただ、これが地域の違いだということは考えたこともなかった)
    だから、本書で書かれているように、作家さんの出身地が作用する面もあるのだろう。
    その地域の言葉の用法が、その作家さんにとっては当たり前のことであり、作家さん自身がそれを方言と思っていない場合もあるのだろうと思う。
    以前読んだ小説に「弁当を使う」という言葉が出てきて調べたことがあるが、方言なのかどうかまではわからなかった。
    私の勝手な印象としては、やや古くさい言い回しのような気がして、高校生のセリフとしてはどうなのよ?と思ったのだが、もしかしたらあれも方言なのだろうか?
    高校生が普通に「弁当を使う」と話している地域もあるのだろうか?

    などと、本書からだいぶ離れたが、言葉について色々と考えた。

  • ことばを観察することのおもしろさ 辞典編纂者の著書ならではの視点が良い 小説の物語世界の中に著者が入り込む、という形式が残念ながら合わなかった

  • 辞書編纂者による、「言葉探し」という視点からの、新しくて面白い「小説」の読み方。
    言語感覚を磨きたい人に、うってつけの方法。

  • 辞書編集者が小説の中から気になる言葉を拾う。この言葉は他でも使われているのか、いつの時代から使われているのか、この地方でこの言い方をするのかなど、言われなければ気にも止めずに流していることを深堀りしている本。面白かった!

  • 「ご苦労様でございました」は正しい使い方だったというのが一番の驚き。

    いや、確かに上司に向かって「お疲れ様です」の上位語法がないなぁと思ったけど、よくよく考えたら間違ってないよねぇ…と感心した。

    日本語もまだまだ知らないことだらけだ。

  • 小説を、小説の中で使われる言葉について、辞書的に、過去の用例的に、方言的に、色々な方面から考えながら読んでみた本。

    その視点は確かになかったなぁとふんふんと読んだ。


    余談だけど、本を読む時に手近に辞書を置いておきたい派なんだけど、出先では流石に出来ない悩みを抱えていたのだが、さくさくと辞書アプリを引いている著者を見て、そんな手が……となった。

  • 小説の中には辞書の専門家が気にする言葉がたくさんある。

  •  読んだことのある作品や気になる作家さんのところを中心に飛ばし読み。

  • (2018/4/14読了)
    タイトルから軽い感じの本なのかなと思ってたけど、かなり真面目な本でした。たしかに、作者が言葉の専門家だからね。
    読んだ本も何冊かある。流し読みしてるのか、そのまま受け入れているのでしょう。私はそこには引っかからなかった。改めて、根源や成り立ち、変化を知るとなかなか面白いね。
    本として成立させるために、作品の中に入り込む形をとっているのが、私にはウザく感じた。この、ウザくも作者に聞かれたら何か言われそう。

    (内容)
    筋を追っていくだけが小説の楽しみ方ではない。そこで語られた日本語に注目すると、作者が必ずしも意図しない部分で、読者は、ことばの思いがけない面白さに気づくだろう。『三省堂国語辞典』編集委員である著者のガイドによって、物語の世界を旅し、そこに隠れている珍しい日本語、興味深い日本語を「用例採集」してみよう。エンタメ、ホラー、時代物、ライトノベル…。「旅先」となる物語のジャンルはさまざまだ。それらの物語世界に暮らす登場人物や、語り手の何気ない一言を味わいながら、辞書編纂者の目で謎を見出し、解き明かしていく。ことば尻を捉えているようでありながら、次第に読者をことばの魅力の中へと引き込む、異色の小説探検。

    (目次)
    プロローグ
    第1章 桐島、部活やめるってよ(朝井リョウ)
    第2章 風が強く吹いている(三浦しをん)
    第3章 残穢(小野不由美)
    第4章 オレたちバブル入行組(池井戸潤)
    第5章 チッチと子(石田衣良)
    第6章 桜ほうさら(宮部みゆき)
    第7章 横道世之介(吉田修一)
    第8章 猫を抱いて象と泳ぐ(小川洋子)
    第9章 マチネの終わりに(平野啓一郎)
    第10章 俺の妹がこんなに可愛いわけがない(伏見つかさ)
    第11章 八日目の蟬(角田光代)
    第12章 阪急電車(有川浩)
    第13章 グラスホッパー(伊坂幸太郎)
    第14章 ギケイキ 千年の流転(町田康)
    第15章 チョコレートコスモス(恩田陸)
    エピローグ

  • 語彙は変遷する、簡略化へと。

  • 「で」の使い方に大共感。て、この言い方メモされそうw引っかかる事無くはなかったけどねー 内容重視で無視だったかなw ツイッターアカウントフォローしちゃいました☆

  • 面白かった。
    言葉の採集という意味では
    なんか変な使い方、と思うものも
    興味深い使用例になっちゃって。
    合わせて様々な用例が出てくるのも
    感心したし、興味深かった。
    三分の一は読んだことあったけど、
    そんなこと全く意識して読まなかった。
    言葉オタ的愛情にほっこり。

  • 使われている言葉に焦点を当てるという視点がとても面白い。また、ひとつひとつの言葉について過去にどの小説で使われていたかが引用されていて、サラッと書かれていて読みやすいが相当な調査を元に書かれていることが伺える。

  •  学生時代の日本語学の演習のような気分になれる。

  • ふだん何気なく読み飛ばしている小説の言葉づかいの面白さを感じさせてくれる。それにしてもさりげなく用例の確認をしているが、膨大な資料に当たっているわけで、感嘆する。それが苦ではない方がこういう仕事をされるのだなと思うと、ちょっと羨ましい。

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著者プロフィール

飯間浩明(いいま ひろあき)
1967年、香川県出身の日本語学者、辞書編纂者。『三省堂国語辞典』編集委員。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得。代表作に『辞書を編む』があり、その他著作も国語辞典や日本語にまつわるものが多い。

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