知の越境法 「質問力」を磨く (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334043599

感想・レビュー・書評

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  • 池上さんが、自らのキャリアを振り返り、いろいろな分野で能動的に知識を身に着け、経験を積んできたことが役に立ったとアドバイスされている一冊。確かに、会社で意にそぐわない仕事をすることになっても、前向きに取り組んでいけば、あとで必ず何かの役に立つ。また、いろんな人とつきあったり、さまざまな分野の本も読むことは、自然と自分ができることの幅を広げてくれる。
    池上さんがおっしゃる越境というのは、好奇心と勇気がベースに必要となるものと思いますが、それらは年をとってくると、徐々に失いがちなものでもありますね。人生100年といわれますが、いつまでも好奇心と勇気を持って、越境していきたいものです。

  • この1冊だけで、幅広い話題にふれることができ、これもまた「知の越境」の1つかもしれないと思う。
    印象に残ったエッセンスは以下。
    ・アウトプットを意識したインプット
    ・日本は1つのことをやり通すことがいいという思想があるが、それが選択肢を狭めている可能性がある
    ・すぐに役立つものは、すぐに役立たなくなる
    ・質問を抑え込むのは、本人の成長の機会ばかりでなく、周りの人も賢くなる機会を奪う
    ・人をだしに使う質問法
    ・越境の醍醐味(無知の知、未知を知り停滞を破る、共通点を見出す、多数の視点を持つ/自分を相対化)
    特に越境の醍醐味に関して、分野の狭間に橋を架ける発想や、トヨタとメルセデスの話で信頼関係の重要性と売りたいものの周りを演出するという視点は、ぜひ取り入れていきたい。
    直接的に「質問力を磨く」ハウツー本ではないが、質問力を磨くためのマインドは少しわかった気がする。また、何より今の自分のおかれた環境からすると、励まされたのでよかった。

  • 池上さんはNHKに入社してからたくさん受け身の異動してきたそうです。
    その都度必死の独学で乗り越えてきました。

    人生では、さまざまな場面で高い壁に行く手を拒まれることがありますが、真正面の壁を超えるのではなく、真横に移動することで、壁のない道が見つかることもあり、池上さんはそれを「越境」と名付けました。

    また人生の越境ばかりではく、「知の越境」というのもあるはずで、専門分野に閉じこもることなく、さまざまなジャンルにとびこんでいき、いわゆる「専門家」ではない視点から、新しい発見も生まれるはずです、と池上さん。

    個人的には「越境のための質問力を磨く」がすごく良くて、また改めて読みたいです。

  • <目次>
    はじめに
    第1章  「越境する人間」の時代
    第2章  私はこうして越境してきた
    第3章  リベラルアーツは越境を誘う
    第4章  異境へ、未知の人へ
    第5章  「越境」の醍醐味
    第6章  越境のために質問力を磨く
    終章   越境=左遷論

    <内容>
    専門分野のプロは多くいるが、ちょっと越境すると「私は専門外」となってしまう。しかし池上氏は、NHKの記者からキャスター、「こどもニュース」と必然的に越境してきたが、そのたびに自らに課題を課して、自らを磨いてきた結果、現在のような活躍に繋がっている。その過程の話と、「リベラルアーツ」=「越境者」の観点から、スペシャリストよりもゼネラリストをめざせ、と説く。役に立つフレーズが多くちりばめられている、役に立つ本である。

  • 左遷など、自らが望まない境遇に置かれても、前向きに取り組む姿勢には脱帽する。それによって、ジェネラリストとしての経験を積んだという。

    著者は、NHK入社後、地方勤務を経て、東京の社会部で10年勤務した後、「首都圏ニュース」をキャスターとして5年、「週刊こどもニュース」を11年担当した。解説委員になることを希望したが叶わず、専門性がない反面、幅広く何でも知っているおり、基本からわかりやすく解説することが自分の強みと気づいた。本を書く仕事が少しずつ来るようになったことから、54歳でNHKを退職した。

  • ●目の前の高い壁を乗り超えるのは大変でも、自分の横にある壁は、簡単に飛び越えることができるかもしれません。前の壁を越えるのではなく、隣りに越境してみよう。
    ●「良い質問」だと思うのは、予想外の質問によって、自分の中で新たな着想や見解、自己分析が生まれるとき。
    ●どの本必ずと言っていいほど引用される文献があることに気がつきます。短期間で課題を見つけるには、やはり定番の本に当たるのが近道。
    ●共和国とは選挙で選ばれた人が政治をする体制。北朝鮮も中国も、共和国を名乗っている⁈
    ●インフレとは世の中に出回っている商品に対して、お金の量が多くなり過ぎること。世の中の商品の値段の総合計と、世の中に出回っているお金の総合計は同じになる。
    ●ノーベル賞の科学者は、大体発見から受賞するまで30年から40年かかります。アイピーエス細胞は例外的に5年程度で事象に至っております。ノーベル賞は生前に渡すことになっているから、長生きも大事な用件の1つです。
    ●MITのリベラルアーツ。今最先端の事は4年程度で陳腐化します。すぐに陳腐化することを教えても仕方ありません。新しいものを作り出す、その猫の力をつけるのがあってベラーズです。すぐに役立つのは、すぐに役立たなくなります。
    ●政治家は次の国の未来を考える、政治屋は次の選挙のことを考える。といいます。
    ●愚かな質問は無い、あるのは愚かな答えだけどだ。知りたい事は何でも聞くべきですし、それで相手のレベルが分かります。

  • 質問力を磨く、というより自分の関心の枠を広げるあるいは自分の関心と事物を結びつけてしまう能力を磨く本。

    内容はかなり池上さんのキャリアを改めて振り返るものになっていて、ノウハウ的なものではない。でも、それがいい。体験性は良い本の条件だと思う。

    しばしば政権に対する皮肉があるのもいい。自分は、おもねる言説も、叩くのが目的化した言説も入ってこない。けど、意味がある文脈で、何気なく皮肉が書いてるとスッと受け入れられる。

    心に残ったのは、複雑なものを簡単にするのでは意味がなくて、複雑なものを複雑なままでわかりやすくする、といった記述。あと、本を読むのは「いつか」役に立つという記述。もどかしいけど、真理なんかな。

  •  新聞、TVをはじめとして、インターネットが生活に欠かせないものとなったいま、メディアの重要性が問われていると思う。扇動的なtwitter、ポピュリズムが動かす直感的な体制批判、格差が原動力となる隣の芝は青く見える的な不満。その中で、池上さんは頑張られていると思う。本来はメディアが担わなければいけない役割を池上さんが担っていると思う。
     池上さんはもともと新聞記者になりたかったそうだ。ただ、時代のいたずらもあってNHKに入社。NHKでは記者やディレクター業をこなしながらニュースキャスターを担当するようになる。これが池上さんにとっての大きな越境の一つになる。週刊こどもニュースを担当することで、広く他局にも知られるようになったようだ。その後、NHKを退社してフリーランスになるが、このときの経験が、いろいろな人に声をかけてもらう縁になっているようだ。
     池上さんの人生は越境の人生だったという。その池上さんが、「日本はいろいろな意味で越境のしにくい国だと思う」という。学生、社会人、そして定年後。それぞれのステージの生き方に「幅」がないように思うそうだ。多様性がないともいえるかもしれない。そのため、池上さんはリベラルアーツを大切にしようという。日本のリベラルアーツ教育は、何度か恣意的な波に洗われたという。このままではいけないという危機感も、池上さんの世界の様子を伝える姿勢の原動力になっているのだろう。
     今の時代は、世界が複雑化し、物事の白黒が簡単には付けられなくなってきているだけに、人は複雑なことを考えたくなってきている時代だろう。世界紛争、貿易問題、格差社会、そして国家の覇権。複雑な課題群ばかりだ。だからこそ、自分の頭で考えて意見を持つことが大切になる。越境することで多様な視点を持つこと、そして越境することで自分を相対化すること。これが停滞を破る突破口となる。そんなメッセージが伝わってくる。

  • 池上さんが、いかに学んできたのか、自伝的な内容を中心とした本。
    これはこれで読み応えがあって面白いのだけど、「質問力」は全体の1/6もないかな。質問の考え方について解説があるわけでもないので注意。

    異分野に身をおく時に、学び、糧にするポイント4つ
    ・無知の知。知らないということを知る
    ・知らないことを知って、停滞を破る(行動する)
    ・既知のものとの共通点を見出す
    ・自分を相対化する。多数の視点を持つ。

    「愚かな質問はない、あるのは愚かな答えだけだ」(だから積極的に質問を)との言葉が紹介されていたけど、出所はどこだろう。
    良い質問ができなければならない、という価値観の意見や本ばかりみてきたので新鮮だった。

    質問力として紹介されてる事例は、相当に相手との距離感を読む力を要求されるもののような気がする。

    ・遠慮しない。ぬけぬけとした質問
    ・臨機応変に。事前の準備に固執せず、深掘りできそうな時はつっこむ
    ・アイスブレイク大事。相手との距離感を詰めるには45度の位置に座る
    ・馬鹿な質問、初歩の質問をする。
    相手の反応で、相手の程度が分かる。
    ・人をダシに使う。「視聴者に分かるように〜」、「うちのカミさんが〜」みたいな。
    ・相手への尊敬
    ・想定外の質問をする。警戒心を解いたり、アイスブレイク的に。

  • テーマは「越境」。自らの半生やリベラル・アーツの重要性などを、脱線を交えつつ語っている。

    ビジネスパーソン向けということだが、まさに色々な分野にも応用できる考え方が書かれている。ネットでも、自らの好きなジャンルに固執してそこに閉じこもり、ほとんど精神病の様相を呈しているアニメファンの人をよく見かける。好きな気持ちをバネに「越境」すれば、もっと楽しいことがいっぱいあるだろうに、何とももったいないと思う。

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著者プロフィール

池上 彰(いけがみ あきら)
1950年、長野県生まれのジャーナリスト。東京工業大学特命教授、京都造形芸術大学客員教授、名城大学教授、信州大学・愛知学院大学特任教授、特定非営利活動法人日本ニュース時事能力検定協会理事を兼任する。
慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年から2005年までNHKで記者として勤める。以降、フリーランスのジャーナリストとして活動。ニュース番組で人気になった。2012年から2016年までは東京工業大学リベラルアーツセンター専任教授を勤め、定年退職後も学生教育に関わっている。

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