- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334044039
感想・レビュー・書評
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オビの煽り文句「『好き』✖️『好き』で選んではいけない」というのはややミスリーディング。「好き」と「憧れ」を混同するな、「好き」による継続は才能を凌駕するが、「憧れ」では一旦環境が変わると潰しが効かないから、なるべく「好き」なものに出くわすセレンディピティを高めるよう動け、というのが著者の主張。シンプルだが良書。息子に是非読ませたい。
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まさに、山口ワールド。
冒頭からグイグイ引き込まれて、気が付けば読み終えていたような一冊です。
「転職ノウハウ本がほとんど扱っていない、自分らしい幸せな職業人生を歩むための「考え方」や「習慣」を主に扱っている」(p.30)の記述からも伝わるように、読者の血(知)となり肉となるような考え方をしっかりと学ぶことができる一冊です。
登場するエピソードや、引用されている文献なども実に的確で理解がますます深まります。
出会えてよかったと思える一冊でした。
現在のところ、今年一番インパクトのあった本となりました。
付箋は、35枚付きました。 -
種本は高橋俊介氏の著作だと思う。この本から入った方は高橋俊介氏の著作も読んでみてほしい。
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転職についての本であるけれど、転職以外にも応用できるような深い内容が多くがとても勉強になった。
冒頭に書いてある言葉「重要なのは著書が『何を言っているか』よりも『どのように考えたか』という点です」 が示すように、内容を鵜呑みにして暗記するのではなく、なぜそのように考えるか深く考察することが重要で、この本からはさまざまな学びがあった。
その中で一つ心に残ったことをここに記録しておく。
「ロジカルシンキングは大事だけれど、適切な状況下でロジカルシンキングを捨てることがコアに求められる」
全て言語化してロジカルに考えがちであるが、それにこだわりすぎるとうまくいかないこも多い。
職業柄職場での悩み相談を聞くことが多く、職員同士のいざこざの仲裁をすることがあるが、大抵の場合はコミュニケーションエラー、特に言語化にこだわる人が言語化しきれない内容または人に対してイライラしているケースが多い。
ある程度相手の意図を汲んで溜飲を下げることも必要。かといって、何でもかんでも我慢すれば言い訳ではなく、絶妙なバランスでロジカルシンキングとそうでない場合とを切り替えることが大事なのだろう。 -
楠木建先生との対談「仕事ができるとはどういうことか」が面白かったので、借りてみた。予想通り面白かったし、共感できた。
仕事選びを予定調和させることはできない。
自分をオープンに保ち、いろんなことを試し、しっくりくるものに落ち着くしかない。
スタンフォード大学の教育学・心理学の教授であるジョン・クランボルツは米国のビジネスマン数百人を対象に調査を行い、キャリア形成のきっかけは、80%が「偶然」であるということを明らかにしました。
リスクをとらずにぶどうの房がもがれるのをただ眺めていた人たちは、後になって、「あのぶどうはきっと酸っぱいに違いない」と話し合って自分を慰めたりします。
こういった人たちが囚われる羨望と嫉妬と劣等感が複雑に入り混じった感情を、デンマークの思想家セーレン・キルケゴールはルサンチマンと名付けました。
ニーチェは著書の中で、ルサンチマンを持つ人々は非常に受身で自ら変化を主導しない(できない)ため、「他人と同じである」ことに最大の価値を見出す、つまり他人と同じであることを「道徳的」と見なすようになると述べています。
例えば、筆者の生業であるマネジメント・コンサルティングという仕事について考察してみると、世間一般的にはロジカル・シンキングの能力が大変重要と見なされています。
確かにロジカル・シンキングの能力はもちろん必要なのですが、それは必要条件のごく一部に過ぎず、コアに求められるのは、適切な状況下でロジカル・シンキングを捨てられるということなのです。コンサルティング業界で活躍している人は、このバランス感覚が絶妙なんですね。
さらに重ねて指摘すれば、職種のタイトルではなく、そもそもの仕事内容が「好き」という場合、長い期間にわたって継続的に努力できる、という強みがあります。これがなぜ強みになるかというと、長期的な努力は才能を帳消しにするからです。
それでは、キャリア形成につながるような「いい偶然」を引き起こすためにはどのような要件が求められるでしょうか?
…五つのポイントを挙げてみましょう。
・好奇心=自分の専門分野だけでなく、いろいろな分野に視野を広げ、関心を持つことでキャリアの機会が増える
・粘り強さ=最初はうまくいかなくても粘り強く続けることで、偶然の出来事、出会いが起こり、新たな展開の可能性が増える
・柔軟性=状況は常に変化する。一度決めたことでも状況に応じて柔軟に対応することでチャンスを掴むことができる
・楽観性=意に染まない異動や逆境なども、自分が成長する機会になるかもしれないとポジティブに捉えることでキャリアを広げられる
・リスクテーク=未知なことへのチャレンジには、失敗やうまくいかないことが起きるのは当たり前。積極的にリスクをとることでチャンスを得られる
私は、この基礎的な戦闘力を「プロセッシング」と「ストック」の二つに分けて考える必要があると思っています。
プロセッシングとは「入力された情報を何らかの形で処理して出力する能力」を、ストックとは「自分の中に蓄積された付加価値の源泉となる知識やノウハウ」を意味しています。例えば、典型的にはロジカル・シンキングが前者に当たり、経営のケース・スタディに関する知識は後者に当たります。
訓練を積まなければ楽器を自由に操ることはできない。一方で、訓練を積めば積むほど不自由性をも同時に獲得せざるを得ない、というパラドックスが存在するのです。
これと同じことがビジネスの領域にも言えます。会社に依存しないで生きていけるような「自由さ」を獲得するためには、人生の一時期に逆に隷属的に仕事に支配されることで、「自由に生きるための力」を獲得しておく必要があります。
私の経験で言えば、それは間違いなく20~30代の前半の時期です。この時期にどれほど密度の濃い職業人生を送れるかで、それ以後、どれくらいの自由度を持ちうるかが変わってくると思います。 -
仕事選び、ということで転職に絡んだ話が中心となっているが、読んでいて分かるな、と思うことが多かった。特にいい人であることを否定しなかったり、逃げの転職もある程度認めている点は理由も含めて同意できた。
転職を現時点で考えていなくても、これからの時代を見据えてどのように動けば良いか、そのヒントを知るのに良いのではないかと、感じた。 -
クランボルツ教授「キャリア形成の「80%は偶然」というのはとてもしっくりくるし、そのセレンディピティに出会うために、努力を重ねていきたい
巷のキャリア本のように、「専門性を身につけろ」と安易に示すのではなくて、自分が何をしたいのか、何をするのが幸せなのかを問いかけてくる良著 -
仕事選び、転職に新たな視点をもらえる本。
著者のようなハイキャリアでは1mmもないのだけれど、考え方の面で参考になるところがたくさんあり、たくさんメモしました。
ところどころに挟まれている偉人たちの名言がいい。
特に、広告とかによって転職というとキャリアアップ、収入アップというイメージが多いが、何を失うかを考える、というのはなるほどな、と思いました。
転職したからって絶対いい環境、いい収入につながるとは限らない。慣れた業務や築いた関係性を失うことでもある。
プラスだけでなく、マイナスも考慮した上でどうしたらいいのか、自分がどうしたいのか、考えて行く必要がある。