死に至る病 あなたを蝕む愛着障害の脅威 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 387
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334044367

作品紹介・あらすじ

2019年10月Twitterで注目!

死に至る病とは絶望のことである、と、かつて哲学者キルケゴールは書いた。
絶望とは、神を信じられないことを意味した。
だが今日、死に至る病の正体は、「親の愛さえも信じられない」こと、
つまり「愛着障害」に他ならない――。

豊かになったはずの社会で、生きづらさを抱える人が増え続けるのはなぜか。
心も身体も苦しく、死んでしまいたいと思う人が増え続けている理由は。
現代に突如現れた、治療困難な数々の障害の背景にある、共通の原因とは。
「愛されず、愛せなくなった」社会、「世話をしなくなった」社会で、
生きる意味を見出す術はあるのか。

ベストセラー『愛着障害』の著者が、渾身の思いを込めて、
今、我々が直面する「生存を支える仕組みそのものの危機」を訴える。

感想・レビュー・書評

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  • 生きづらさを抱える人が増え続ける現代社会に巣食う病理。それは「愛着障害」という新たな「死に至る病」だ。「愛着障害」とは一体どのような障害で、何が原因であるのか、またその病を治癒し、回復可能なのかを著す。とても興味深い1冊でした。この「愛着障害」とは動物であるヒトの生態と合理的な現代社会との齟齬によって引き起こされるのでは?と思いました。要するに「愛着障害」とは人が人の世話をする仕組みに何かしらのエラーが生じた状態であり、これは人との関わりの中でしか克服できないものだと云う。所謂「コミュ障」と言って対人が苦手な人が増えてるのも、「愛着障害」から派生されたものに違いない。此処に書かれてること殆どが自分に当てはまり、とても勉強になりました。

  • 東京大学から、京都大学 医学部のバケモン。
    キルケゴールは、死に至る病を“絶望”としたが、著者は“愛着障害”とした。
    生物学的な幸福は、エンドルフィン系、ドーパミン系、オキシトシン系から成っており、それらの相互補完の話が面白い。
    作家等の有名人の実例(正確かどうかは定かではないが)も面白かった。
    子供がいる人、持つ予定の人には、刺激的な内容だと思った。でも、病根の疑いが分かるだけで、具体的な接し方、養育方法は教えてくれないのは、世間一般のそれと同じ。それは個別具体で、答えなんてないからなんでしょう。

  • 岡田氏の著作を読めばADHDに最も効果的なものは外的要因の改善であり、すぐに薬物に頼ることが適切でないことは理解できた。しかし医師や教師にひとつひとつのケースと時間をかけて向き合うことができるほどの余裕がないのも事実であろう。 時間をかけて本人の話を聞き、丁寧に紐解いて、適切な対処をすれば改善される可能性が高いと分かっていても、そこまで面倒が見きれていない現状が酷くもどかしいと感じた。

  • ■「数学不安」という専門用語がある。数学ができるかどうかには数量処理や作動記憶といった認知的能力のほかに問題を解く際の不安が関わっている。この不安が「数学不安」。
    ・数学不安が強いと解けないのではという不安や恐怖に圧倒され、肝心の問題に集中することができず実力以下の成績しか取れない
    ・数学不安は単に数学が得意か苦手かということだけでなく就職や職業における成功を左右する
    ・数学不安が強い人は解けないのではないかという悪い結果ばかりを考えてしまい自分の足を引っ張ってしまう
    ・最近の研究で、この数学不安が愛着安定性と関係していることが明らかとなった
    ■人を幸福にする生物学的な三つの仕組み
    ①おなか一杯食べたり異性的な興奮の絶頂で生じるもの。
    ・エンドルフィンなどの内因性麻薬(脳内麻薬)が放出されることによって生じる快感
    ・生理的な充足と深く関係し我々が生きることに最低限の喜びを与えてくれる
    ⓶報酬系と呼ばれる仕組みでドーパミンという神経伝達物質を介して働いている。
    ・ドーパミンの放出が起きるのは通常困難な目的を達成したとき
    ・この報酬系はしばしば悪用される。面倒な努力抜きでドーパミンの放出だけ引き起こし短絡的な満足を与えてしまえば強烈な快感を手軽に得られる。その代表が麻薬、アルコールのような嗜癖性のある物質もギャンブルのような病みつきになる行為もドーパミンの短絡的な放出を引き起こすことで依存を生じさせる
    ③愛着の仕組み
    ・オキシトシンの働きに負っている
    ・愛する者の顔を見たり愛するものとふれあうとき安らぎに満ちた喜びが沸き起こる
    ■共感性の二つの側面
    ①気持ちを共有し同調する「情緒的共感性」
    ②相手の気持ちや意図を正確に理解する「認知的共感性」
    ・愛着障害の克服においてより重要と考えられるのが認知的共感(メンタライゼーション〔相手の視点で相手の気持ちや意図理解する能力〕と呼ばれる)
    ■世話をすることによって愛着は育まれ、それは喜びになり、生きる意味になる。それが唯一この世界を意味の喪失から防ぐ方法に思える。

  • 「死に至る病 あなたを蝕む愛着障害の脅威」
    岡田尊司(著)

    2019 9/30 初版 (株)光文社
    2019 10/20 第ニ刷

    2020 1/11 読了

    愛着障害-オキシトシン系の異常-によって引き起こされる心身の不調を親子の関係から解き明かした本書。

    著者の現代の医療に対する警鐘をもって
    現代社会のあり方に異議を唱えています。

    ぼくも仕事柄、いろんな方々のお悩みにお応えする上で
    親子の関係の重要性は理解してはいますが

    ここまで広く複雑な「病」に対して
    愛着障害の可能性と重要性の高さは理解出来ていませんでした。

    大変興味深くさっそく
    著者岡田氏の小説家ペンネーム「小笠原慧」の作品「あなたの人生、逆転させます」をポチりました。

  • この著者の言っていることを鵜呑みにするのであれば、昔はこういう病気は稀だったが、今や人類、特に先進国のほとんどがこの問題に悩まされていることになります。
    親との関係だけに焦点を当てるなら、個人的に昔のほうが親も死にやすくて、子供も多く放任主義になりがちで、長男次男とかでも親の態度はかなり違いそう。

    愛着障害の要因に、統計的に仕方ないのかもしれないですが、母親ばかりがクローズアップされる点も少し疑問でした。

    全体的に、今の社会の仕組みでどうしていくかというよりも、懐古主義的な印象で、
    人生で親もしくは子との関係で1ミリも悩み苦しまない人なんてそれこそレアケースなように感じました。

    愛着とは結局世話を焼く仕組みだから、
    愛着の安定にペットを買うといいというのは
    結構当てはまりそうな気がして勉強になりました。



  • 自身をADHDやHSP、愛着障害等と決めつけて過去の失敗を肯定し安心するのではなく、今の自分を理解し受け入れてから未来の自分を変えるために何をすべきか考え、実践することが大切だと思いました。

  • 親のことを考えると穏やかな気持ちになる、無条件に安心する、っていう人が世の中にはいるんだなぁ。これはちょっと私にはわからない感情だな。

  • 「なるほどな」と思う事が多いが、時代にそぐわないかもしれない。

  •  うつや発達障害など、近年増えてきた事例の原因ではないかとされる「愛着障害」の仕組みや症状などを例を交えて説明している。
     「親の愛がないと発達障害になる」のような非科学的な説明ではなく、オキシトシンというホルモンの働きによるものだと、わかりやすく伝えている。
     詳しい治療法は載っていないため、治療法については別の本が必要だろう。
     人を幸福にするためには3つの生物学的な作用があり、一つは満腹になったり、性的な興奮時に分泌されるエンドルフィン、二つ目は困難な目的を達成したときに出るドーパミン、三つ目は愛する者(人間やペットでもいいらしい)と触れ合う時にでるオキシトシン。愛着障害になるとオキシトシンに対する感受性が悪くなるために、他の2つで快感を得る他なくなり、例えば過食や性欲を満たしエンドルフィンで満たすか、もしくはひたすら努力してドーパミンで満たすかしかなくなるそうだ。
     この仕組みは非常にわかりやすく、納得の行くものだった。
     しかし、元にするデータが昔のもので、いわゆる「男は仕事、女は育児」が当然である時代のデータがメインのためか、愛着障害の原因の親が母親しかいないかのように書かれており、例えば母親と別れた父親が子供を一人で育てた場合、十分ケアすれば愛着障害は起こらないのか、それとも母親というものがいない限りは絶対に愛着障害は起きてしまうのか、そこには特に触れられていなかった。本書の説明からすると、男親だろうと女親だろうと関係なく、適切に養育できれば愛着障害は起きないような気はするが。

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著者プロフィール

一九六〇年香川県生まれ。精神科医。医学博士。作家。東京大学文学部哲学科中退。京都大学医学部卒。同大学院にて研究に従事するとともに、パーソナリティ障害や発達障害治療の最前線で活躍。山形大学客員教授として、研究者、教員の社会的スキルの改善やメンタルヘルスの問題にも取り組む。現在、岡田クリニック院長(大阪府枚方市)、日本心理教育センター顧問。『アスペルガー症候群』『境界性パーソナリティ障害』『人はなぜ眠れないのか』『あなたの中の異常心理』『うつと気分障害』『発達障害と呼ばないで』『過敏で傷つきやすい人たち』(すべて幻冬舎新書)など著書多数。小説家・小笠原慧としても活動し、作品に、横溝正史賞を受賞した『DZ』『風の音が聞こえませんか』(ともに角川文庫)などがある。

「2020年 『自閉スペクトラム症』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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