アイロニーはなぜ伝わるのか? (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334044541

感想・レビュー・書評

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  • 話すときに冗談などで何気なく使っているアイロニー。
    なぜ成立するのか、メンタルスペース理論での説明が分かりやすかった。
    紹介される文学作品にも興味をもった。またレトリック全般を知りたくなった。

  • いろいろなアイロニーを知ることができる。

  • アイロニーの例をもとに分析

  • アイロニーは、難しい。けれど面白い。AIが最も苦手とすることの筆頭ではないか?言葉を使って、言葉とは裏腹の意味を伝えて、逆襲したり、溜飲を下げたり。頭を使いますね。
    アイロニーの具体例を知ることができたのも収穫だった。

    ハックルベリーフィンが、自分があたかも殺されたかのように偽装して、家を出て、奴隷ジムに偶然出会い、
    「お前いつからこの島にいるの?」
    「あんたが殺された次の夜から」「あんた、いつからこの島に?」
    「おれが殺された夜からだよ」

    プロレス観ながら
    「父さんが全盛の頃ならハルクホーガンなんて数秒でフォールできた」
    「ホント?ママ?」
    「まあね」
    「もちろん、お父さんが先生の頃は、ハルクホーガンは、まだ幼稚園なんだもの」(フォコニエ)

    シェイクスピア
    シーザーは、ブルータスに殺される。
    ブルータスを非難しないという条件で悼辞を許されたアントニーは、「ブルータスは公明正大な人物だ」と4回繰り返すのだか、内容は逆。「…貧しいものが飢えに泣く時シーザーも涙を流した。野心とはもっと冷酷なものでできているはずだ、だが、ブルータスは彼が野心を抱いていたと言う。そして、そのブルータスは公明正大な人物だ。」

    シャイロック 名判官ダニエルさまの再来だ!
    ポーシャ その商人の苦手と1ポンドはお前のものだ。
    シャイロック 公明正大な名判官ダニエルさま!
    ポーシャ 証文によれば、血は一滴もお前に与えてはいない。したがって証文通りにくい1ポンド受け取るがいい。だか、切り取るときにキリスト教徒の血を一滴でも流せばヴェニスの国法に従い、お前の土地財産は国庫に没収される。
    グラシアーノ ああ、公明正大な裁判官様だ。聞いたか、ユダヤ人。ダニエルさまの再来だ。

    大学先生が、予備校教育の悪口を言う。「予備校は、⚪︎×式の発想しか教えない。」
    反論を、脱構築で。
    大学では⚪︎×では教えないと言っておきながら、予備校は×、大学は⚪︎という正に⚪︎×の、発想で語っている。(大橋洋一)

    ゼウクシスとパラシオス、二人の名画家どちらがリアルな絵を描けるか。
    ゼウクシスは、ブドウの絵を描いて鳥どもが舞台まで飛んできた。パラシオスは、カーテンを描いた。ゼウクシスは、さあ、カーテンを引いて絵を見せよと要求した。
    鳥を欺すより、画家の自分を欺したと言ってゼウクシスは賞を譲った。

  • 東2法経図・6F開架:B1/10/1044/K

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著者プロフィール

きはら よしひこ KIHARA Yoshihiko 大阪大学教授。
著訳書に
『カーペンターズ・ゴシック』
(翻訳、ウィリアム・ギャディス 著、本の友社、2000年、
 新版:国書刊行会、2019年)、
『トマス・ピンチョン 無政府主義的奇跡の宇宙』
(木原善彦 著、京都大学学術出版会、2001年)、
『J.G.バラードの千年王国ユーザーズガイド』
(翻訳、J.G.バラード 著、白揚社、2003年:新装版、2009年)、
『UFOとポストモダン 平凡社新書』
(木原善彦 著、平凡社、2006年)、
『逆光 上・下』
(翻訳、トマス・ピンチョン 著、新潮社、2010年)、
『ピンチョンの『逆光』を読む  空間と時間、光と闇』
(木原善彦 著、世界思想社、2011年)、
『これは小説ではない フィクションの楽しみ』
(翻訳、デイヴィッド・マークソン 著、水声社、2013年)、
『幸福の遺伝子』
(翻訳、リチャード・パワーズ 著、新潮社、2013年)、
『シガレット  エクス・リブリス』
(翻訳、ハリー・マシューズ 著、白水社、2013年)、
『トマス・ピンチョン 現代作家ガイド7』
(麻生享志、木原善彦 編著、彩流社、2014年)、
『ベスト・ストーリーズ1 ぴょんぴょんウサギ球』
(「ヘミングウェイの横顔「さあ、皆さんのご意見はいかがですか?」
 リリアン・ロス 著・木原善彦 訳」所収、若島正 編、早川書房、2015年)、
『民のいない神 エクス・リブリス』
(翻訳、ハリ・クンズル 著、白水社、2015年)、
『オルフェオ』
(翻訳、リチャード・パワーズ 著、新潮社、2015年)、
『ベスト・ストーリーズ2』(「手紙を書く人
 アイザック・バシェヴィス・シンガー 著、木原善彦 訳」所収、
 若島正 編、早川書房、2016年)、
『実験する小説たち  物語るとは別の仕方で』
(本書、木原善彦 著、彩流社、2017年)、
『10:04 エクス・リブリス』
(翻訳、ベン・ラーナー 著、白水社、2017年)、
『JR  JR FAMILY OF COMPANIES』
(翻訳、ウィリアム・ギャディス 著、国書刊行会、2018年)、
『両方になる CREST BOOKS』
(翻訳、アリ・スミス 著、新潮社、2018年)、
『オーバーストーリー』
(翻訳、リチャード・パワーズ 著、新潮社、2019年)、
『アイロニーはなぜ伝わるのか?  光文社新書』
(木原善彦 著、光文社、2020年)、
『秋  CREST BOOKS』
(翻訳、アリ・スミス 著、新潮社、2020年)、
『ウィトゲンシュタインの愛人』
(翻訳、デイヴィッド・マークソン 著、国書刊行会、2020年)など。

「2017年 『実験する小説たち 物語るとは別の仕方で』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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