沖縄から貧困がなくならない本当の理由 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 369
レビュー : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334044794

感想・レビュー・書評

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  • 多くの日本人がそうであるように、自分もまた沖縄に対して好印象を持っていた。それは「なんとなく」の好印象で、具体的な知見があったわけではない。あくまでイメージとしての好印象だった。

    本書を読むと、沖縄の実像が浮かび上がってくる。「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」が、筆者の経験と分析によって書かれている。

    人によっては、目を背けたくなるような話かもしれない。事実、本書で書かれる範囲は沖縄に限定されない。日本全体の問題、日本人の心の問題までに話は波及する。本土の人間も、決して無関係ではなく、地続きの問題を抱えていることが分かる。

    それでも、沖縄にどっぷりと浸かった筆者の分析は面白く読んだ。タブーを恐れず、メスを切り込んでいくような文章。終盤ではやや主観的な部分が多いものの、人の在り方まで論じたのは読み物として面白かった。

    なるほど、キーは経済合理性と自尊心だったのか。

    「自分を愛することは、最大の社会貢献」というのは、肝に銘じておきたい。

    (引用・抜粋まで含めた詳細な書評は、書評ブログの方で宜しくお願いします)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E6%B2%96%E7%B8%84%E3%81%8B%E3%82%89%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E3%81%8C%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AE%E7%90%86%E7%94%B1_%E6%A8%8B%E5%8F%A3%E8%80%95%E5%A4%AA

  • 沖縄出身の私にとって,沖縄をめぐる話はどうも自分をえぐられているように思えて素直に読めないところがあります。私自身も私がわからないのに,どうして他者にわかるのだろう,と。もちろん,他者から見た方がわかることもありますが,そもそも「本当の私(あなた)は〇〇だ」と言われること自体に違和感もあります。

    ですので,私はまだ本書をうまく読み込めていないと思います。「自分探し」をされていると思わず,なるべくフラットに読もうと心掛けはしましたが,おそらく上記の理由から,猜疑心を持って読んでしまった部分もあるように思います。そのうえでの感想です。

    本書の主張を大胆に心理学用語で要約するとこうなるでしょうか。

    学習性無力感に陥った沖縄あるいはそこに暮らす人々は,自尊心も低く,それによって多くの(あるいはすべての)社会問題が引き起こされている。自尊心を回復させることが社会問題の解決の肝であり,そのためには共同注視と,それを行う一人一人の取り組みが必要である。

    本書全体を読んで第1-4章の印象も変わりました。第5章がなければ,つまり著者の考えていることが見えなければ,「根本原因」と著者自身で言っているにも関わらず,「沖縄に生じている問題」を「沖縄の問題」にすり替えるように思えたためです。

    おそらく著者は,「沖縄に生じている問題」を「沖縄の問題」にしたいのではなく,その先の社会を考えているように思います。すなわち,より人間が自分の可能性を試せるような,そのような社会をどうやって創造できるか,そのために「沖縄に生じている問題」を「沖縄の問題」として位置づくかのように見せ,その先に行くためのリソースとして考えているのではないかというように感じました。

    もしそうであるとしたら,著者の主張は基本的に賛同しますし,大切なことだとも感じます。著者自身も言うように,今後のポイントは,状況の影響に弱い個人という存在を,共同注視をする存在へと変える状況づくりをいかに行っていくかです。難問ではあると思いますが,「次の私の課題は,「第三のデザイン」を具体的に描き,現実社会で形にすることだ」(p.227)と述べているように,本書はあくまで「開始宣言」。次の著者の「結果報告」はどのようになるか,不安と期待が入り交じりながら待つばかりです。本書がただの啓蒙にならないことを祈っています。
     

  • 同調と自尊心の低さ 根底に
    評 根井雅弘(京都大教授)
    <書評>沖縄から貧困がなくならない本当の理由:北海道新聞 どうしん電子版
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/464667

    【書評】 『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』 樋口耕太郎 | キリスト新聞社ホームページ
    http://www.kirishin.com/book/44613/

    『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』は何の本か? | カルチャー | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
    https://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2020/08/post-94095.php

    『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』 樋口耕太郎 著|【西日本新聞ニュース】
    https://www.nishinippon.co.jp/item/n/642874/

    沖縄から貧困がなくならない本当の理由 樋口耕太郎 | 光文社新書 | 光文社
    https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334044794


  • 沖縄生まれ沖縄育ちの琉球大学生です。

    本書に書かれている内容については共感できることだらけでした。

    特に本書の核心である、
    「沖縄社会が貧困なのは、貧困であることに経済合理性が存在するからだ。」という一文も腑に落ちた。
    また、後半に書かれていた、2010年代頃から沖縄の若者で増える「沖縄嫌い」とSNSの普及時期のリンクにも鳥肌が立った。

    私自身、「まーめー」と呼ばれないようにサジ加減しながら、それでも地元の国立大学には行けるぐらいの勉強をしてきたという過去を持ちます。
    そんな学生生活の中で1番楽しかった、と思えるのは高校3年生の時でした。これまでの12年間の学生生活の中で初めて勉強をやっても良いという「世論」になったからです。

    ここで書かれた沖縄の社会、、心の底から変わって欲しい。変えたい。とそう思います。

  • 私も沖縄出身で大学進学を期に首都圏に行った人間として、「いつかはまた沖縄で暮らしたい」という気持ちと同時に、実は「もう沖縄には帰りたくない」という気持ちが複雑に入り混じっている。

    この内面を非常に的確に言語化されており、霧が晴れる思いだった。そして著者が述べているように、これは単に沖縄の問題ではなく日本で生きるのであれば薄っすらと誰もが感じている違和感の正体なのではないかと思う。率直に言って悔しいほどに核心をついていると強い共感を覚えた。

    私も子どもの頃から「目立たないように」と、勉強やスポーツを敢えて出来ない風にしないと、からかいの中でさえ「デキヤーフージー(出来る風にかっこつけてるヤツ)」とレッテルを貼られるのを、恐怖に感じていた。沖縄を出るまでは、いつでも頑張ることとそれに程よくブレーキをかけることを細心の注意を払って生きてきた様に思う。都会で生活していても嫉妬や妬みは社会生活の中で出会うことも多少はあるが、一瞬、それすらも極端な恐れを感じる事がある。

    社会全体の問題提起という観点からこの本を見てみるのも興味深い。

    私も、いつかは故郷に貢献したいという気持ちはあった。そして貧困についてもなんとか貢献する術がないか考えていた。例えば教育。教育のレベルが上がることが唯一で効果的な施策なのでは、と思っていたがそれだけではないことをこの本を読んで理解した。貧しい子どもがいることは家庭環境の問題でもあるし、それを生み出しているのは産業構造の問題でもある。筆者は文化の問題ではなく社会構造の問題と行っていたが、これはもはや文化の問題だし、日本人であり沖縄人の保守的な意識の問題でこれは変える必要があるのかも含めてとても難しい。

    著者は最後に日本全体の問題にも論を広げたが、逆に沖縄固有の問題もある。島国としての大きさの違いは、時間軸や程度の違いだけではなく、質的な違いももたらすのではないか。書評をいくつか見てみたが、本当に沖縄の特殊な社会環境の問題が伝わっていないのではとも感じた。

    この時代に生きていることで、SNSの広がりや基地問題などこれまでとは違った動きが出てきている。新しい貢献の形もあるかもしれない。すぐには答えは出ないが考え続けたい。

  • 自分が沖縄出身ということもあり今回読書。
    この本を読み終わって感じた事は、今まで自分が感じていた「なんとなくぎこちない沖縄社会、沖縄の人々の性格」をうまく言語化されており、何か心の中にあったモヤモヤが解消されたような気がした。

    これまで沖縄は貧困世帯が多く、なぜその改善のためにもっと援助をしないのかという考え方だったが、この本を読んでただ援助するだけでは、問題の根本解決にはならないほどの深い原因があることがわかった。
    人の関心に関心を寄せること、自尊心をつけること、内容の後半はまさに自分に向けて言っているかの内容で心に響く内容だった。

    もっと沖縄や日本の経済、性質について理解を深めたいと思う。

  • 沖縄の人々の国民性など詳しく書かれていた。例えば、どのような場面であっても一人突出すると嫌われる、や食事や生活面での所要は身内や地元の店舗利用が最優先(例え不味い店でも)等幾つも具体例が挙げられており、なるほどと思いながら読んだが本土でもちょっと田舎に行けばそういうものではないだろうか。
    結局のところ自尊心が低い、ということになるわけだが、ではなぜそうなっているのか歴史的背景はある筈だと思う。県民性とでもいうのかな。そのような県民性はどのようにして生まれ今に至ったのか、それが気になった。

  • インパク知 2・2
    かかった時間 90分以内

    沖縄から貧困がなくならないのは
    ・補助金で甘やかされて努力をしないことに全力を尽くす企業
    ・閉鎖的な人間関係、とくに「できるやつ」を嫌う文化
    ・共同体的な同調圧力のせいでしょーもないサービスや商品を利用し続ける消費者

    というあたりまで、ソースはまあまあ怪しいがそれなりに面白かったのに、後半「愛が全て」とか言い出してややきもち悪かった笑 そっちかーい! みたいな。いや真面目に書いていることはわかるけど。

    筆者の、それって日本の縮図だよね、という主張には納得。
    あと、個人的には自分は、すべての人間をざっくり、「意識高い系」と「そうじゃない人」に分けたらかろうじて?前者だと思うが、そればかりが幸せの形でもないから、筆者が「向上心がない」「努力ができない」とか言っている部分に、基本的には賛成しつつも違和感はあった。

    まあサラサラっと読める、雑誌「ダイム」「ダイヤモンド」みたいな?感じだった。笑笑

  • この本が初著作の著者は1965年生まれの本土出身者で元金融業界、沖縄に39歳の時に赴任、そのまま沖縄に居ついている人物。沖縄のムラ社会的ながんじがらめの人間関係や、学生の主体性無さの原因が、沖縄の人たちが自己愛がないことであるという分析。

    そして、これは沖縄だけではなく日本の問題であるとテーマが拡大。最後は、コロナ感染拡大による社会の変動は、沖縄/日本対するカタリストなりうる、という論述で終わる。

    「利己的な人は自分を愛しすぎるのではなく、愛さなさすぎる」という観察はとても興味深い。

    著者は沖縄に赴任に至った会社では閑職に追われ退職そして離婚。その後、沖縄大学で教鞭をとっている。文章は読みやすく、論述の根拠となるデータの引用元なども記されているが、科学的な調査などがされているわけではなく、あくまで彼の目を通した主観の積み上げ。万人向きではないが、面白かった。


  • *沖縄の特徴なのか、田舎の特徴なのかゴッチャにしている(と書こうとしたけど、最後らへんになんかそれっぽい事を筆者自身が書いているらしい。まだ途中までしか読んでないのでこんな書き方)

    *結局のところ、なんでどの田舎にも共通するような特徴を書いているこれ系の本が売れるかというと、表紙がキャッチーなのと、「リュウキュウ」とか「ウチナーンチュ」等のアイデンティティを想起させる単語が沖縄には根付いているだけだと個人的に思う。

    *1章は良かった。未だに国から補助金を引っ張っているので酒業界は成り立っているという話。

    *↪︎(続き)酒業界の問題点を書いているけど、正直、お金の給付方法が一律給付なのが問題なだけな気がしてならない。

    *補助金とお酒繋がりで言うと、沖縄はサトウキビを黒糖にすると補助金がもらえる(黒麹菌とかの話)。奄美とかはザラメにしないと補助金もらえないという話を思い出した。

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