新型コロナから見えた日本の弱点 国防としての感染症 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334044893

感想・レビュー・書評

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  • ●メルケル氏は、東ベルリンの科学アカデミーで研究者として働いたと言う異例の経歴と物理学の博士号を持つ科学者である。
    ドイツは全国的なロックダウンに踏み切った。
    ● WHOの会見の中で、「中国はよくやっている」と言う趣旨の発言は何度も繰り返した。そして国際社会にとっての危機ではないことを理由に宣言を見送るとした。中国に気を使ったものいいと言い、WHOの役割は終わったと感じた。
    ●2019年のエチオピアへの直接投資流入額25億ドル、この内の60%中国による。テドロスWHO事務局長戦で、中国政府が各国に積極的に働きかけを行った。
    ● CDC (米疾病対策予防センター)は、疫学調査からワクチン開発、パンデミックやバイオテロ次の日まで、感染症対策を包括的に行う情報機関である。ダイヤモンドプリンセス号の時に、日本にもこのような機関があればいいのにと言われた。
    ● WHOは発展途上国で医療行為を行う組織ではなくて、各国の厚労省と仕事をする組織。世界共通のガイドラインを作ったり、各国の保健当局にアドバイスをしたりする仕事。「国境なき医師団」のような仕事をイメージしているのであればがっかりするかもしれない。
    ● 1月中旬から着手した止めるにはあまりにも不自然な進行状況。培養の必要な不活化ワクチンはそんなに早く作れるものではありません。2019年の8月ごろには着手していたのでしょう。え?
    ● BSL4 (バイオセーフティレベル4)施設。日本で2つ目の施設を建設中の長崎大学感染症共同研究拠点。この施設の有無がその国の感染症に対する備えをはかる1つの目安となっている。
    ●危険であっても、ある程度の「感染しにくさ」と「有効の予防や治療手段」を歌い微生物は、生物兵器としては実用性を持たない。エボラやそして新型コロナも、この条件を満たしていない。

  • 2021年14冊目。満足度★★★☆☆ 新型コロナなどの感染症に関して、ウイルス自体の説明というよりも、国際的な外交や国防の観点から、WHOやアメリカ・中国など諸外国と我が国の対応を比較しながら伝えるもの。

  • 感染症対策が単なる医療の問題ではなく国防にもつながる話だと、解説されるとよくわかる。
    薬一つにしても、知らない事実がたくさんあり悶々する。
    読みやすい本だった。

  • 東2法経図・6F開架:B1/10/1081/K

  • <目次>
    序 章  感染症学は植民地経営から始まった
    第1章  新型コロナ・パンデミックの始まり
    第2章  WHOなしでパンデミックは終わるのか
    第3章  PCR信仰と、予言の自己成就
    第4章  国策としてのBSL4ラボを整備せよ
    第5章  パンデミックの予行演習、エボラ出血熱を振り返る
    第6章  数奇なる運命、アビガンの素顔

    2020.09.07 著者ツイートより
    https://twitter.com/rikomrnk/status/1302936920138407939
    2020.10.06 書評
    http://naokis.doorblog.jp/archives/Bio_Security_against_COVID-19.html

    1月28日 WHOと中国がWHO専門家チームの受け入れ合意
    1月30日 WHO、緊急事態(PHEIC)宣言
    2月22日 WHO専門家チーム、1日のみの武漢入り
    2月24日 WHO&中国タスクフォース 合同記者会見
    3月11日 WHO、パンデミック宣言
    4月末  2月の調査は病院や検疫施設の視察だけで、BSL4ラボの視察を含まないことが判明

    https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334044893

  • 感染症対策が単なる一病気への対応ではなく,国防,そしてインテリジェンス活動なのだということがよく理解できる.このような視点を持ち合わせておらず,WHOやCDCにまつわる報道の裏側にあったであろう国家間攻防がようやく透けて見え,国家システムとしての防疫の重要性を認識する.

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著者プロフィール

医師、ジャーナリスト。一橋大学社会学部卒業。同大学大学院社会学研究科修士課程修了後、北海道大学医学部卒業。世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局の新興・再興感染症チームなどを経て、現在、現役の医師として活躍するとともに、医療問題を中心に幅広く執筆中。京都大学大学院医学研究科講師として、サイエンスジャーナリズムの講義も担当している。2014年に流行したエボラ出血熱に関する記事は、読売新聞「回顧論壇2014」で政治学者・遠藤乾氏による論考三選の一本に選ばれた。2017年、子宮頸がんワクチン問題に関する一連の著作活動により、科学雑誌「ネイチャー」などが共催するジョン・マドックス賞を日本人として初めて受賞。本書が初の著書となる。

「2018年 『10万個の子宮』 で使われていた紹介文から引用しています。」

村中璃子の作品

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