メタバースとは何か ネット上の「もう一つの世界」 (光文社新書)

  • 光文社 (2022年1月19日発売)
3.56
  • (38)
  • (96)
  • (86)
  • (21)
  • (6)
本棚登録 : 1094
感想 : 116
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784334045845

作品紹介・あらすじ

「現実とは少し異なる理で作られ、自分にとって都合がいい快適な世界」――本書ではこれをメタバースと呼ぶ。だから、ゲームやSNS、VRと親和性が高く、これらの延長戦上にメタバースを構築しようとしている企業が多いが、メタバースにゲーム性が必須というわけではない。(本文より)
世界に冠たるテックジャイアントの一角、フェイスブックがその社名を「メタ(Meta)」(正式にはメタ・プラットフォームズ)に変更したことで、一般にも広く知っれるようになったメタバース。それはいったい何か?我我の生活をどう変えるのか?そこにあるビジネスチャンスとは?フェイスブックを含むGAFAM各社の動向、日本企業の取り組みなどを紹介しながら、その可能性を探る。

みんなの感想まとめ

メタバースの概念を深く探求する本書は、現実とは異なる理論に基づく快適な世界を描いています。ゲームやSNSとの親和性があり、個々のニーズに応じたカスタマイズが可能なこの空間は、多様性を受け入れる新たな形...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「メタバース」を学習するために読んだ本、2冊目。

    メタバースとは、ゲームやアニメの世界観をベースにする「現実とは少し異なる理で作られ、自分にとって都合がいい快適な世界」である。

    メタバースは、コミュニケーションだけでなく生活全般をフィルターバブルに包んでくれる。メタバースにより、個々にカスタマイズされた快適な空間を作ることで、多様性を達成することが可能なのではないか、という。

    確かに、多様性を受け入れるということは、他人の地獄と向き合うことだ。「汚い」と切り捨てたくなる他人の愚行を認めないで多様性を語る資格はないんじゃないか、とも思う。
    かといって、汚いと思うものにまともに付き合いたくないのもまた事実。

    だからこそ、フィルターバブルに包まれた世界というのは、ますます求められていくんじゃないかな、と思う。

  • 【まとめ】
    メタバース…「インターネットにおける仮想世界」

    VRは体験をデジタルコピーする技術だ。まだ発展の過渡期にあり、未熟な技術であるため、「VRで握手したから、もう本物のアイドルのイベントには行かなくていいや」とか「VRで見たので、旅行はやめよう」とはなっていない。 しかし、5年後、10年後にVRでの体験の価値が、現実でのそれを上回る可能性は十分にある。現在、VR体験は視覚と聴覚に偏っているが、視覚情報の大幅な進歩に加えて、触覚や嗅覚、味覚まで加えた体験が研究されている。

    であれば、VRの次はAR(Augmented Reality:拡張現実)だと話が広がっていくのも理解できる。現実を模倣するのであれば、何もないところから疑似現実を立ち上げるのではなく、現実と仮想を混ぜてしまえばよい。作り手としてはより効率的に疑似現実を作ることができ、受け手としてはより現実と地続きの形でその疑似現実を消費することができる。

    体験をデジタル化する技術には、もう一つの別の潮流がある。 冒頭で述べた「ソードアート・オンライン」や「レディ・プレイヤー1」がそうだ。現実に似せる(疑似現実)のではなく、現実とは違うもう一つの別の世界を作ろうという方向性である。
    単なる体験の枠を超えて、生活の大部分を「そっちの世界」へ移してしまいたいという構想。まさに、現実とは違うもう一つの世界である。「現実とは少し異なる理で作られ、自分にとって都合がいい快適な世界」――本書ではこれをメタバースと呼ぶ。
    メタバースは仮想現実なので、現実ばなれ(リアルばなれ)した「都合のいい世界」を作ることができる。私はこれがメタバースの本質だろうと考える。メタバースの定義を議論するときに、VRか否か、アバターのあるなしなどがよく俎上に載るが、これらは「都合のいい世界」を作るための要素技術だ。

    SNSはフィルタリングにフィルタリングを重ね、慎重に設計されたグループの中に利用者を囲い込むサービスだ。同じ価値観の人間のみからなる世界は快適なため、つい長い時間を過ごしてしまう。
    SNSがもっと人に使われるサービスになるためには、もっと世界として完成され、ほとんどの時間をSNS内で過ごせるようになる必要がある。生理的な欲求の部分は最後まで現実世界に残り続けるだろうが、それ以外はすべて「そこ」にいられるようなサービスには巨大なビジネスチャンスがある。

    そしてこの分野に、日本ならではの成功の形があると思うのだ。 メタバースは現実の模倣ではない。辛くてつまらない現実から、いいところだけを抜き出した、もう一つの世界である。それはこれまで欧米が主導してきた疑似現実とは位相が異なる。Virtual Realityを仮想現実と訳しなじんだ日本だからこそ、作れるメタバースがあるはずだ。


    ゲーム内でのアイテム販売、コンサートの実施、イベントなど、フォートナイトは未熟ながらも、本書の定義での「もう一つの世界:メタバース」として機能し始めている。リアルの代替物や下位互換品ではなく、リアルではできないこと、リアル以上に楽しいことを提供し、「自分が活躍できる、楽しめるもう一つの場所」として機能し始めている。

    メタバースの目的地は「リアルを超えてもう少し居心地のいい場所」にある。まだ遠い目標だが、ここ数年で各企業は「さほど長くない期間で実現可能」と踏んだのだ。
    もしも多くの人が体感している通り、リアルの政治や社会が機能不全を起こし、格差が拡大・固定化され、個人主義の浸透が各種の配慮の必要性を生むことでコミュニケーションコストを高騰させ、逆に個人が生きづらい世の中が到来しているのであれば、リアルなどという最初から持てる者だけが勝つことを約束されたゲームから降りて、仮想現実で生きていくのはあり得る選択肢である。


    ●メタバース普及の背景
    ・ゲームの発展と合わせた演算速度、描画機能、解像度の向上、インターフェイスのリアル化
    ・リアルでなくても構わないという人が増えた
    ・リモートの一般化


    ●大手企業のメタバースの導入
    メタバースはインターネットの代わりではないが、ウェブやSNSの代わりにはなり得る。2000年代、インターネットの情報流通のほとんどはウェブでなされ、そこで王者として君臨していたのはグーグルだった。何かが流通するとき、その全体を俯瞰し、管理する立場にある者や企業は大きな利潤を得る。そう考えるならば、ウェブでうまくやったグーグルも、SNSで名を成したフェイスブックも、情報流通の端末をブランド化することに成功したアップルも、メタバースの商機を見逃すことはできない。

    ・Facebook
    社名をMetaに変更。メタバースへの参入にもっとも意欲的。
    フェイスブックはGAFAMの中では最も他社サービスに依存している企業だ。それゆえ、どんな外圧や新規勢力の台頭にも揺らがない、確固たるプラットフォームが欲しいのである。彼らはメタバースにそれを見いだしたように読める。メタバースにxRを不可欠なものと位置づけて、今までフェイスブックの弱みであったリアルと強くリンクする製品を売って自社の代替不可能性を底上げしつつ、メタバースの覇権を狙う。GAFAMの中で最もメタバースを渇望するポジションにいることもあり、ここ数年はメタバースの実装をリードする立場に立つだろう。

    ・Google
    グーグルも自分のビジネスをメタバースに移行したい理由を持つ企業である。
    彼らの主要な収入源は、広告である。広告収入が100%近くを占めるフェイスブックに比べればバランスはよいものの、それでも7割を広告に頼っている。フラットなインターネットが終焉を迎えつつあり、コミュニケーション上のフリクションを嫌った利用者がますますフィルターバブルの中に深く閉じこもるようになると、フラットなインターネットの覇者であるグーグルには面白いことばかりではない。グーグルはメタバースもミラーワールドも選べる位置にいるので選択肢は広いが、リアルビジネスにも深く食い込んでいる企業でもあるため、そのメリットを引き出しつつメタバースの果実ももぎ取りたい。 したがって、それはメタバースよりは、リアルに寄ったAR、つまりミラーワールドを志向するだろう。
    そのため、GoogleはGoogleグラスというスマートグラスを開発しており、リアルの風景に情報を重ねて表示するAR機能を搭載している。

  • メタバースとは何か

    1.購読動機
    Facebookの社名変更があり、彼らが執着する「メタバース」の世界に関心が向かったからです。

    2.メタバースとは何か
    その昔、「セカンドライフ」なるものがありました。今もその世界は存在します。

    そして、いま、ハード、ソフトそしてコンテンツを創造できる世界は確実に精緻に、相当の計算力をこなす時代となりました。

    メタバースとは
    ①現在の世界のルールとは別のルール
    ②個人にとって居心地のよい
    ③向こう側(仮想)の世界
    です。

    3.SNSに興じる理由
    SNSとは志向が似ている人の集まり世界です。
    フィルターバブル。
    ゆえに、個人にとって居心地がよい世界です。

    たとえば、このブクログも、本好きのSNSととらえることもできます。

    SNSは、居心地が良い世界、しかし、そこに興じる時間は、まだまだ少ないです。

    それは、完成されていないからです。

    4.SNSが発展すると、、、
    人間の時間は24時間です。
    この時間をいかにしてGAFAは支配したいのか?
    その答えのひとつが「メタバース」です。

    食事、排泄以外は、メタバースで暮らす、仕事する、報酬ももらえる、そんな世界です。

    現実世界は、自由に責任が伴ない、降りたくなるシーンもあります。
    この人間のリアルをコントロールした仮想の世界、それがメタバースです。

    5.読み終えて
    「知らないことは怖い。
     知ることでそれはなくなる。」

    著書の冒頭の言葉です。
    メタバースとは何か。知ることで、楽しみ、学びが広がります。



  • 他の方も書いているが、とにかく筆者のメタバースに対する熱い思いが綴られている一冊。

    技術面の話がほぼ出てこないので、メタバースがなんとなく来ているな…ただ実態がよく分からない、という初学者向けの本かと思う。

    メタバースとは仮想現実(=自分にとってもう一つの都合の良い世界を作ること)なので、ポケモンGOのようなAR(拡張現実)とはまた意味合いが異なるとのこと。

    現実とは異なるもう一つの世界で経済活動や恋愛、娯楽など様々な要素が成り立つようになったとき、私たちはどちらの世界を選ぶのかとても気になる。


  • メタバースとは何か?という問いの回答よりも、執筆時点でのゲーム分野での活用事例が豊富です。
    筆者のその分野での見識の深さがうかがえます。

  • わかりやすくかつ読みやすい良書。著者の自虐ネタがいい味を出している。

  • 書籍タイトル通り、メタバースって何かわからない人(私)向け。私の年齢だと、メタバースの恩恵を受ける頃には、あの世にいるかもしれないが、メタバースで生かされてるかもしれない(笑)。

    読み終わって、メタバースの世界も悪くないと感じた。というのも、個人的に、リアル世界も色んな分野で、行き詰まりを見せていると思うから。環境問題、人種問題、格差問題など、リアルでは解決できないことが山積み。

    だったら、メタバースで理想に近い世界が作れるかもしれない。例えば、自分は男に生まれてきたけど心は女性で生きづらければ、メタバースで女性のアバターを使えばいい。住む場所もメタバースなら関係なく、実際に行けないところも瞬時に行けるだろう。高齢者や障害者も自由に不都合なく活動できる。

    でも人間であることには変わらないし、メタバースの世界でも、人間の本質は変わらないだろうから、結局は最後に「リアルな」問題で悩むことになりそうだ。

    メタバースって何かを知るのも面白かったが、自分だったらどう感じるだろう?人間って、幸福って何だろう?と改めて考えさせられる一冊でした。

  • 著者のオタクとしての文章と専門家としての文章が絶妙に混ざっていてとても楽しく読めた。専門知識がほとんどないから難しいな…と思ったところに、ゲームやアニメなど個人的には親しみやすい例えが出てくるので、すごく理解しやすかった。

    メタバースは専門家でもまだ掴みどころのない部分が多いみたいだから、これからの展開も楽しみ。

    オキュラスがもっと手軽楽しめるゲームに進化したらもっとビートセイバーをプレイしたい。

  • Kindle Unlimitedにて読了。
    メタバースとは、もう一つの世界のこと。要はVRでしょって雑な理解をしてたけど、現実との関わり具合で、デジタルツインとか、ミラーワールドというのもあるらしい。
    リアルのフリクション(まさつ)を無くした快適な世界へようこそということなんですが、個人的にはまだ不気味さを感じます。まあ、試してないからなんともだけど。コミュ障なので、自分と耳障りの良いことしか言わないAIだけの世界、アンダーワールドにはちょっと興味あったんですが、期間限定公開だったので、いまはないみたいですね。残念。
    VRゴーグルもオキュラスクエスト2が今は定番ですが、まだまだ進化の余地はあるようなので、一般人はまだ様子見でよいかな。次に発売されるVRゴーグルは注目かも知れません。

  • 基礎知識がなかったので読み終わってもちょっと消化不良

    自分の好きなもの、自分が心地よいものに囲まれた仮想世界は今後どのように発展してくんだろうか?
    自由になるのか不自由になるのか

  • 2022/04/11
    漠然と語られているメタバースについて、その概念から、今後の展望まで割と分かりやすく書かれている本で、読んでいてとても勉強になりました。
    何となくでしか聞いたことなかったもの、今までそんなに気にしてなかった世の中の変化について、仮想空間や仮想現実というものが一体何なのかということを解説してくれるので、この手の分野について概要を掴みたかったり、イメージをもう少し具体的に持ちたかったりする人にはオススメなのではないかと思います。
    自由と平等は双方に押し進めていくといつかぶつかり合う概念であり、人間の理想とする部分をインターネットの世界が実現して来て、人間の生活は過去と比べてとても便利になり、それは今度仮想空間や仮想現実という形で私たちの世界を、より理想的な形にしてもう一つ生み出そうとしています。
    メタバースについても色々な解釈がある中で、「自分達の理想を叶えてくれる空間」が存在することは、現実で少数派になって不遇な思いをしている人にとってはチャンスを掴める世の中ができる訳だし、新しいビジネスの可能性や、新しい取り組みの可能性も色々と視野が広がるのではないかと思いました。
    日本の技術力が、GAFAMの席巻している現在の世の中に、何かしらの影響を与え、人間の生活をさらに豊かにするような未来にメタバースという考えがどう関わってくるのか楽しみですし、自分達はこれからこうしたものを活用してどんなことができるのかについてももっと勉強していかなくてはならないなと思わされた一冊です。

  • メタバース 黎明期から発展の過程が 分かりやすく説明されている
    仮想現実 &ネットゲームとの 親和性 現ゲームソフトを例に語られている
    ビッグテックGAFAMと 対峙する メタバースの必要性

  • 初心者でも凄く分かりやすい。成り立ちから、今の現状とこれからの展開についての予想。

    固定化された格差のリセット。これは多くの人が行動を起こす動機として潜在している。例えばトランプ旋風、異世界転生モノも共通。

    VRとミラーワールド。
    物理法則に支配されたリアルの世界では、人間が生身で空を飛ぶ事は無理がある。でも、メタバースでは可能。リアルより人生の幅が広がる可能性すらある。現実からの逃避補完ではなく、今より良い世界を作るための手段として活用したい。

    多様性を受け入れるとは他人の地獄と向き合うことです。綺麗なものではなくすごく嫌な部分はあるけれど、それでもあなたのそんなところを認めるよ。少なくとも干渉しないと言うのが多様性の本質。

  • メタバースというものについて分かった気になれる本。そもそも仮想現実にもファンタジー寄りと現実寄りのものがあることを本書で知った。これから一般人にも浸透してくるんだろうか。facebookが「メタ」に社名変更してると思うと、こういうの読んでおくのもいいかもしれない。

  • キンドルで読了。メタバースをざっとおさらいする内容。自由と平等の食い合わせは悪い。フィルターのバブル。などの言葉が印象的。世の中の方向性として人はリアルの疲弊してるのでメタバースに向かっていくという方向性は分かる。あとは技術的ハードルがどこまでクリアできるか。

  • メタバースを説明できるほどに理解が深まる訳ではないものの、苦手な分野の知識を幅広く吸収できた一冊。取り分けゲーム業界の遷移、GAFAMのメタバースへの取り組み姿勢の予想については説得力がある。

  • 上っ面だけしか知らなかったメタバースについて、理解を深めることができた。
    フィルターバブルの中に一人閉じこもって心地いい世界の中にずっと浸って生活する、というのは怖いな。けれど、それこそがリアルな世界の理をベースとした考え方なのだろうか。
    ゲームの歴史については全く知らなかったし人生で縁もなかったが、このようなメタバースの興隆に繋げて説明してもらえるとすっと入ってきて面白かった。

  • ゲームには夢がある。

  • Amazon prime readingで読了。

    ・メタバース/ ミラーワールド(デジタルツイン)
    ・SNSより更に先に進めて生活を包摂するメタバース
    ・フィルターバブルがより強固に効き、居心地の良い世界

    メタバースの活用法などいまいちイメージできてなかったが、サブカルチャーメインであるものの事例豊富でメタバースのイメージが変わった。

  • 最近よく耳にするメタバースについて、概念的な話、実現したときの影響、各社(主にGAFAM)の取組状況などが分かりやすく説明されていた。
    SNSでは居心地の良い人達だけをフォローすることでフィルターバブル化が成されているが、メタバースになると他人をフォローするまでもなく自己完結してしまうという意見はなるほどと思った。
    また、仮想世界の中では容姿、ステータスなどがリセットされて一度は平等になれるかもしれないが、その中で新たな格差が生まれるのだろうなと想像した。

全92件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

中央大学国際情報学部教授

「2021年 『デジタル/コミュニケーション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岡嶋裕史の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×