鉄の処女―血も凍る「現代思想」の総批評 (カッパ・サイエンス)

著者 : 栗本慎一郎
  • 光文社 (1985年4月発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334060176

鉄の処女―血も凍る「現代思想」の総批評 (カッパ・サイエンス)の感想・レビュー・書評

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  • ニュー・アカデミズムなどの「現代思想」のスターたちを取り上げ、批評した本です。単なる解説ではなく、栗本氏の立場からそれぞれの思想家たちに対する批判がおこなわれています。

    まず取り上げられているのは蓮實重彦氏です。蓮實氏の映画批評は、「ハリウッドにいかなるスターがいて、いかなる生活をしていたかを語ることが、まことにうれしくてたまらない」というような川本三郎氏の映画評論と比較すると、攻撃的で積極的なものだと栗本氏は評価しています。蓮實氏の批評は、映画の中の良いシーンがどのように大衆をとらえたのかを解明するものであり、その意味で人はいつどのようにしてあるメッセージを受け入れようとするのかを解明した大衆社会論になっているというのです。ここでは、映画は文学とともに、近代というシステムを円滑に運行させるための「制度」となっていることが明らかにされることになります。

    これに対して栗本氏は、そうした蓮實氏の映画批評は、現実の人間や社会を解明するのに有効なのかと問いかけています。蓮實氏は、みずからの批評自体が制度に捕らわれるものであることを自覚した上で、あえて「表層」批評をおこなうことを宣言します。しかし映画は、蓮實氏ほど制度に埋没していることに自覚的でない凡庸な大衆も鑑賞することができるジャンルである以上、批評家の遊戯としてしか成り立たないと栗本氏は指摘します。これに対して、遊戯で構わないと言われるかもしれないが、それは裏返しの傲慢ではないのかと栗本氏は追求します。

    こうして、栗本氏の蓮實批判は、知識人論という形をとることになります。栗本氏は、柄谷行人や浅田彰を初め、現代思想の担い手を次々に俎上に上げ、彼らがアポロ的秩序(Aゾーン)とディオニソス的混沌(Bゾーン)のどちらに足場を置いているのかという観点から分類をおこない、システムの外部であるBゾーンからAゾーンを揺るがすことに知識人の役割があることを論じています。

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