- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334060664
感想・レビュー・書評
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集合と論理が出てきた時点でいっぱいいっぱいになる自分
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前半はわかりやすかった。後半は消化不良。誰にでも分かる本では無いと事前に書いてある通り。かなり高尚な数論のお話。厳密に議論するとこうなるとの見本。
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20110416Amazonマーケットプレイス
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(2011.01.13読了)(2001.10.12購入)【1月のテーマ(数学を読む)その①】
この本をよっぽど読みたかったらしく、二冊も同じ本を買ってしまいました。
題名からすると、数学における無限の話のようですが、読み始めてみると副題にもありますように「現代数学への招待」ということです。
章立ては以下の通りです。
第1章、虚数とは何か
第2章、三角形の内角の和はホントに二直角か
第3章、1+1はなぜ2なのか
第4章、無限と何か
第1章は、数学で扱う数の話です。
数は天与の体系なのではなく、人間が試行錯誤を繰り返し、手探りながらも創造していったものであるという立場を説明する。整数、有理数、無理数、虚数、複素数。(16頁)
第2章は、非ユークリッド幾何学の話です。
ユークリッド幾何学の平行線公理は、他の公理から導き出せるのかを調べるために、平行線公理を否定して矛盾が出るかを調べたら非ユークリッド幾何学が可能であることがわかってしまい、公理は、人間が作ったものであることがわかった。
第3章は、論理の話です。
数学における論理を記号化し、全数学が集合という概念の上に展開できるということを学ぶことによって、数学が物理的存在とは無関係に独立に構築される、思惟的創造物であることを理解していただく。(16頁)
第4章は、数学における無限概念の話です。
ギリシャ以来の無限概念の歴史を調べ、現代数学の中で、それが「極限」並びに「集合」という形で生きていることを説明する。(17頁)
●数学は純粋でも単純でもない(10頁)
数学という学問は一つの巨大な文化の体系なのである。思惟が生み出した論理の体系であると同時に、錯綜した、歴史という、ある意味では厄介な奥行きを、それも人類史と同じだけの奥行きを備えているばかりに、そう純粋でも単純でもない。
●現代数学へ(12頁)
本書は、中世の暗闇的段階にとどまっている世間一般の数学的知識を、現代数学の基礎が固まった20世紀前半ころの数学のレベルにまで高めよう、という意欲をもって描いた試作、いわゆるエッセーである。
●物理の謎(25頁)
地球が太陽の周りを回っているのも、りんごが木から落ちるのも、すべて万有引力のせいであると聞かされて、納得してしまっている人はそれでもいいが、しかし少し考えてみると、どうして重力なんてものがそもそもあるのか、なぜ距離の2乗に反比例して作用するのか、なぜ重力は真空中を伝わっていくのかと、限りなく疑問がわいてくる。
●負の数(41頁)
虚数iと似たような理由によって、数と認められるのに長い長い時間を要したものがもう一つある。それは負の数である。西洋文化圏では16世紀くらいまでは、方程式の負の根は「偽りの根」、「不条理の根」、「仮想の根」などと呼ばれて排除されていたのである。
●数直線(43頁)
人間は何らかの具体的イメージを頭に描けると、急に理解が進む傾向が強い。だから、直線上に原点0を選び、その一方側を正方向、反対側を負方向とする方法(数直線)が発明されて以来、つまり寒暖計のイメージが導入されて以来、負数は急速に普及したのであった。
●証明(72頁)
我々が使うような意味での「証明」という概念は、古代ギリシャに始まる。中国を含めて、他の文明では、いかに高度な数学を持っていても、ここで言うような証明という考え方は発達しなかった。
●ユークリッド幾何学の平行線公理(75頁)
平行線公理を巡るすったもんだは、その副産物としてユークリッド幾何学の唯一絶対性を根底から覆すような「怪物」を生み出したのである。それは同時に、数学がこの現実世界を忠実に反映しているという考え方が、ひっくり返るときでもあった。
●ニュートン力学(203頁)
ニュートンの力学は当初は天体の運行、潮の干満などにしか適用されていなかったが、次第に数学的に整備され、適用範囲が広がっていった。しまいには、ニュートン力学は宇宙の森羅万象を説明する学問という地位を占めるところまで行ったのである。幾つかの力学的原理から出発し、あと完全に数学によって理論を展開し、物理現象を説明するという方法を開発した功労者はオイラー、ダランベール、ラグランジュ、ラプラスに代表される。
●直線上の点の個数と、平面上の点の個数は等しい(222頁)
1874年、カントルは直線Rの濃度と平面R²の濃度は等しくないことを証明しようという目的で、研究を開始した。当然のように見えてなかなか証明できず、三年が経過してしまった。思いもかけず、Rの濃度とR²の濃度は等しいという、カントルにとっては信じられない結果が証明できたのである。
数学的真理は、絶対的なものであるという信仰が、世界の人々の中にある。この本は、実は、現代の数学は、数学的真理も絶対的なものではない、という立場で扱われているということを述べるために書かれています。
自分の数学に対する信仰を覆されたくない方には、お勧めしません。もし、そのような方がこの本を読んでしまうと、自分の生きるよりどころを失ってしまう可能性があるからです。読む場合は、覚悟してお読みください。
☆足立恒雄の本(既読)
「無限の果てに何があるか」足立恒雄著、光文社、1992.05.30
「フェルマーの大定理が解けた!」足立恒雄著、ブルー・バックス、1995.06.20
☆関連書籍(既読)
「零の発見」吉田洋一著、岩波新書、1939.11.27
「新幾何学思想史」近藤洋逸著、三一書房、1966.06.15
「無限と連続」遠山啓著、岩波新書、1952.05.10
「数について」デーデキント著・河野伊三郎訳、岩波文庫、1961.11.16
(2011年1月30日・記)