- 本 ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334074258
感想・レビュー・書評
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とても面白かった。桜がテーマのおかげで、生々しさがある話でも儚さや夢心地の雰囲気が漂っている。以下、今回印象に残った作品。菅浩江『桜湯道成寺』冒頭から面白い作品だった。老婆の独り語りという体で、終わりに向かってじわじわと凄みが増していく。五代ゆう『阿弥陀仏よや、をいをい』今昔物語の源太夫の話から。一番気に入った作品。傷口から血ではなく桜の花が流れ出てくる幻視が、もう…。坂口安吾『桜の森の満開の下』想像するだけで、花酔いしそう。ふわぁ。石川淳『山桜』私が物を書く人なら、こんな風に書けたら、と思うだろう。
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桜ってのも、ファンタジークソオタクの大好きなモティーフだよな~~~~~~~~~~~~確かに。
速瀬れいの「約束の日」も、森奈津子先生の「シロツメクサ、アカツメクサ」もどちらも姉妹(ぽい)百合だった…。しかも死ネタだった……。
怖…こわい…。
でも桜ってのがやっぱり死と繋がってる気がするんだよなあ…。だからかな…。 -
井上雅彦氏監修アンソロジー。書き下ろしと再録作品が半分位の割合で収録されています。
能、歌舞伎、西行桜に道成寺。妖しくも美しく、人を狂わせる存在として描かれている桜。
花見客で賑わう公園の桜と、ここに描かれている桜は全くの別物です。きらびやかな物が
溢れる現代では桜に狂わされるというのにピンと来ない、かも。けれどあまりにも見事に
咲いているのを目にしたら、この下に何か(誰か)が埋まって…なんて想像したくもなる。 -
新作とスタンダード作品とを収録した≪綺賓館≫シリーズの3冊目。今回は「桜」及び「花」をテーマとしている。
書き下ろしの新作に……そして時にはスタンダード作品と言われているものですら、梶井基次郎の「桜の樹の下には」の影響が見て取れるのは非常に興味深い。「桜」テーマでのもう一つの名作、坂口安吾の「桜の森の満開の下」も収録。
……毎年見るものでありながら、桜の美しさにどことなく落ち着かなくなってしまうのは、美しさの中に“妖しさ”が存在しているが故なのだと改めて気付かされる。
「花見んと 群れつつ人の来るのみぞ あたら桜の咎にやありける 西行」 -
タイトルに惹かれたものの、最初の編が退屈で、速読で無理矢理読んだ。「春泥歌」が一番「異形」らしくて面白い。「舞花」も。他「シロツメクサ、アカツメクサ」「阿弥陀仏よや、をいをい」等が面白い
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正しい題名「櫻憑き」
(収録作品)桜湯道成寺(菅浩江)/阿弥陀仏よや、をいをい(五代ゆう)/花や今宵の…(森真沙子)/約束の日(速瀬れい)/ある武士の死(菊地秀行)/闇桜(竹河聖)/花十夜(井上雅彦)/人花(城昌幸)/花をうめる(新美南吉)/シロツメクサ、アカツメクサ(森奈津子)/花畠(吉行淳之介)/舞花(藤田雅矢)/桜の森の満開の下(坂口安吾)/花の下(倉橋由美子)/春の実体 憂鬱なる花見(萩原朔太郎)/春泥歌(赤江瀑)/山桜(石川淳)/十六桜(小泉八雲)/桜の樹の下には(梶井基次郎) -
…春って、エロいわ…
目当ては安吾の「桜の花の満開の下」だったのですが。
安吾はもちろん素敵でしたが、外にも予想外に良作が沢山入ってて、非常に面白かったです
特に百合ものは、いい。森奈津子のシロツメクサ、アカツメクサ、人を喰う花、城昌幸の人花も良かった。新美南吉の花を埋めるもノスタルジックでたまらん。菅浩江の桜湯道成寺も、ほの暗くうつくしい。
アンソロジーってあまり読んだことがなかったけれど、こんなにいいものだったとは…
そもそもテーマが桜、という、かなり興味をそそられるものだったというのもあるとは思うけど
予想外の喜びといえば、梶井基次郎!
桜の花の下には死体が埋まっている…。あまりにも有名です。この人が初出だったとは。古典モノだと思っていた。
読み返したかったので、何と運がいいことかと。
機会があったら「檸檬」も読み返したい…
不満なのは装丁。何この蛍光ピンク…もっと和風っぽくまとめてほしかった -
オリジナル&スタンダード
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井上雅彦「花十夜」が一番好き。ショートショートと言うのが、やはり力の見せどころか。
スタンダードに、坂口安吾「桜の森の満開の下」があるのはやっぱりか、という感じ。でもやっぱりこれは名作。これほどにまで桜を恐ろしいと感じられる物語はそうそうない。
全体的に、かなり良かった。けどやっぱり和風だし、装丁もっとおとなしい方がよかったんじゃ……(笑)。
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