夏の夜会 (カッパ・ノベルス)

著者 :
  • 光文社
3.06
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本棚登録 : 82
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334074401

感想・レビュー・書評

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  • 小学校時代のクラスメートの結婚式に出席した『見元(みもと)』は、二十数年ぶりに再会した旧友と昔話に花を咲かせていた。やがて話題は皆に嫌われていた担任『井口』の話題へと移る。彼女は四年生の夏休みに、取り壊しが決まっていた旧校舎で殺されたのだという。皆の曖昧な思い出が交錯し、次々と事件の様相を変えていく。徐々に思い出される記憶の先にある事件の真相とは・・・


    ここで語られている事件は登場人物の記憶の中の出来事です。それぞれの不確かな記憶の断片を繋ぎあわされて語られる事件は、その姿を容易に変えてしまいます。日にち、動機、犯人、そして被害者までをも。
    確かに事実と記憶は違います。単純に忘れ去っていたり、誤認していたり、主観がネジ曲げてしまっていることすら。そんな記憶のメカニズムをミステリーの中心に据え話は展開していくわけですが、読んでいるとなんだか自分の記憶も心配になってきてしまいます。
    嫌な思い出ほど忘れ去りたいと思ううちに本当に記憶から消し去ってしまうことがあるとはいえ、ここまでぽっかりと忘れるものかな?と、嫌なことほど忘れられない私としては思う訳ですが、そこはさすがにそうなるだけのものも用意されていました。
    ただ、登場人物名に凝り過ぎです。名前が気になってなかなか内容が入って来なくなってしまいました。

  • ノンシリーズ、物語が二転三転する構図はとても面白い。
    小学校の記憶なんてまったく当てにならない、長い夜にいっき読みしたい

  • 読了、70点。

    主人公見元は祖母の葬儀に合わせて長らく足を向けていなかった地元へ帰る。折りしも小学校の同級生の結婚式に招待され、かつての同級生と友好を暖めることに。
    その席で30年前の事件が話に挙がり、記憶を頼りに推論を進めていくと驚愕の真相へ。

    この小説のテーマは、人間の記憶が如何に曖昧なものか、というもの。
    冒頭で語られるとおり、それはビデオの録画再生のように確固たるものではなく、ちょっとしたことで錯誤されその歪みはどんどん大きくなっていくものだ、という主張を証明するかのような話の展開。
    この主張、個人的には強く共感するところです。

    多くの推理小説が事実を根拠に推理を進めていくスタイルを取っている事を考えると、実は記憶とは曖昧で、次のシーンになると推理した根拠が間違ってますよという展開は非常に挑戦的な試み。
    ただ物語冒頭に、記憶は曖昧なもので、と触れている事で推理があっさりひっくり返されてもアンフェアには感じられませんでしたし、
    また次々に推論がひっくり返される展開そのものは個人的な好みにも合致していて楽しく読めました。

    主人公に投影して読み進めていくと後半になるにつれ、自分自身の土台が根本から揺らぐような感覚を味わえるのも非常に良かったです。

    ちょっと残念だった部分としては、西澤さんの小説ではもはや定番とは言え、登場人物の名前が非常に読み難いこと、
    それとどうにも登場人物たちの人物像が、主人公達の担任の女性教師を除いてイメージし難いことでしょうか?

  • ある程度はそうなのかもしれないけれど、譲れない部分もあるなぁ。全部自分の都合のいい方に記憶を変えられたらもっと自信満々に生きていけるのに。

  • 西澤保彦らしい作品。やっぱり暗黒系

  • 2004年7月4日読了

  • 自分の記憶は無意識に改竄されていたりするのか。論理展開で魅せる作品。

  • 果たして自分の記憶している記憶はどれだけ私によって歪曲された事実なのだろう。
    できることなら忘れてしまいたいことの方が鮮明に覚えていたりする。
    これも事実とは違うのか、考えるときっと眠れなくなるのでこのくらいにしておく(2002.8.8)

  • 記憶とは想像である。なるほど。詳細に思い出そうとする過程も想像。しかし小学生の時の同級生なんて、今会ってもわかりそうにないのに、30年前・・・。

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著者プロフィール

1960年高知県生まれ。米エカード大学創作法専修卒業後、高知大学助手などを経て執筆活動に入る。『聯殺』が第1回鮎川哲也賞の最終候補となり、’95年『解体諸因』でデビュー。近著に、『回想のぬいぐるみ警部』『悪魔を憐れむ』『探偵が腕貫を外すとき』など。

「2017年 『新装版 七回死んだ男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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