風化水脈: 新宿鮫8 (カッパ・ノベルス)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (484ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334074616

感想・レビュー・書評

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  • どうだったろう。
    こちらも記憶にないな。
    第八弾。

    • 松子さん
      ふひひ、記憶にないけど、星3つ!(^^)
      どんちゃん、コメントありがとう
      ふひひ、記憶にないけど、星3つ!(^^)
      どんちゃん、コメントありがとう
      2024/03/04
  •  馴れ合いを嫌って単独で動き、気づかれないうちに犯人に迫り逮捕してしまう警察官が新宿署にいる。その名と捜査法から、人は彼を「新宿鮫」と呼ぶ。
     キャリア警察官でありながら、上層部と対立したことが原因でずっと新宿署の警部に留め置かれている孤高の刑事・鮫島の活躍を描く警察サスペンス。シリーズ8作目。鮫島と真壁の因縁の行方を描く。再読。

          * * * * *

     シリーズ中で最も好きな作品。
     新宿の裏社会の勢力図の他、歴史(後に『ブラタモリ』でも扱われる内容)や風俗についてもわかりやすく触れられていて興味深い。しかも、読者を退屈させないように説明臭くない構成にするなど、よく考えられている。

     また、宿命の敵・仙田を脇役として使うことで、鮫島の警官としてのスタンスを浮き彫りにしていくなど、展開のさせ方も見事だった。

     ラストシーンも泣ける。サブタイトルもいいですね。

  • 再読。
    自動車窃盗団の話。
    このシリーズにしては地味な展開ではあるが、ラストに向けての緊張感はすごくて、読むのに勇気がいった。
    (図書館)

  • 間違いない!!
    クライマックスに向けての盛り上がり、ハンパない。

  • 路上の幸福
    90年代のはじめの週末の東京の風景が蘇ってくる。当時、ぼくはニューヨークに住んでいて、東京出張の時はいつもホテル住まいだった。都内の高層ホテルの窓の外に広がる夏の夜空と西新宿の摩天楼群のシルエットが目に浮かぶ。日米間の交渉に常にさらされる生活で、週末には身体の奥底に重い疲労が沈殿するのが常だった。1週間がようやっと終わった安堵感と倦怠感を覚えている。部屋のテレビをつけると、新宿の地上げ勢力にひとり対抗する医者の役を、独特な匂いで長淵剛が演じていた。バブルというものと新宿という街の特異な匂いに満ちた面白いドラマだった。バブルは間違いなく終焉しつつあったが、その後に続く宴のあとの長い憂鬱など想像もできなかった。

    ぼくはテレビを横目に見ながら、ベッドに転がって、当時話題になっていた新宿鮫の2作目の毒猿を読みふけっていた。台湾からのストイックな刺客に立ち向かう鮫島の孤独な戦いと、新宿御苑での壮絶なクライマックスが今でも記憶に鮮明だ。大企業に勤めるようになって10年ほど経っており、このシリーズ当初からの、仕事への個人的倫理と組織の論理の相克というテーマが他人事ではなかった。

    でもそういった大上段のテーマの魅力だけじゃない。学生時代から新宿が好きだった。新宿鮫は、米国生活が長くなって、記憶も薄れた時に突然届いた新宿からの手紙のようなものだった。その後シリーズは10年近く続いている。

    官僚組織の政争に巻き込まれたエリート官僚鮫島は、左遷同然、現場に据え置かれる。彼は、その境涯に自らを置きつづけることで、組織の論理に対抗する。警察組織には失望しつつも、警察官という職業には希望と誇りを感じている。

    最新作である風化水脈の中で、10年という歳月は、鮫島の周辺の変化によって描かれる。10年前、売れないロック歌手だった恋人の晶はスターダムにのしあがり、迷いと戸惑いの中にいる。ストイックなやくざ真壁も、やくざ組織の変化に苛立ち、人生の転回点を迎えつつある。おなじみの登場人物である中国マフィアも、ストレンジャーから、日本への土着をはかっている。かつて「剣呑な雰囲気」を漂わせていた歌舞伎町も、すっかり変化している。

    《どう見ても十代、とうてい二十をこえているとは思えない子供たちが何百人、もしかすると千人以上、コマ劇場とその向かいの広場にあふれている。/彼らは別に何をする、というわけではない。ただ地べたにすわりこんで喋ったり、携帯電話と話している。》

    あらゆるものは変化している。変わらないのは鮫島の警察官という職業への関わり方だ。試験成績に左右される昇進制度を無視し、刑事という生き方を続ける鮫島は路上の幸福という境地にまで達している。張り込みを続ける鮫島を描写するこんな部分は限りなく美しい。

    《夜の街で、ぬるくなったコーヒーをすすり、一点に目をこらすとき、ふと鮫島は、奇妙な充実感を感じることがあるのだ。それは街という生きものに自分が取り込まれているような、そしてその生きている証しを自分自身にも分け与えられているような、何よりも、自分の居場所がここをおいて他にはないというささやかな幸福感ですらあった。》

    90年代のはじめから、あたかも鮫島とそれを取りまく人々のヒロイズムに共鳴するように自分の人生も大組織からの逸脱を続けている。逸脱のコストを支払いつつも、こういった路上の愉悦を感じる瞬間があり、それが仕事の倫理に生きることの見えない報酬だと感じるようになった。

  • シリーズ最新作。舞台はまた新宿に戻ってきた。でも今回は歌舞伎町がメインではない。今回の舞台は西新宿がメインとなっている。
    今回はこれまでとタッチが異なり、鮫島が街道を行くよろしく新宿の歴史を歩きながら振り返っているような感じを受けた。ヨドバシカメラのヨドバシはどこから来ているのかはこれを読めば分かります。ちょっとトーンがさがっている感じがするけれども、こちらもお薦め。

  • まるで「白鯨」の鯨学みたいな「新宿学」に辟易(>_<)。いったん挫折し3カ月放置後、何とか読了( ´ ▽ ` )ノ。
    あれは、地の利がないとまず理解できないね(>_<)。でも、大半は初めの方にまとまってて、後半からはいつもの鮫シリーズだった( ´ ▽ ` )ノ。
    ストーリーは、第一作の続編。偶然が過ぎてイマイチかな?晶が途中から全く出てこなくなったし......

  • 2012.07.31 読了

    真壁。自動車窃盗団。
    井戸に死体。大江。

  • 義理堅い警官

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著者プロフィール

1956年愛知県名古屋市生まれ。慶応義塾大学中退。1979年に小説推理新人賞を「感傷の街角」で受賞しデビュー。1986年「深夜曲馬団」で日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞、1991年『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞長編部門受賞。1994年には『無間人形 新宿鮫IV』直木賞を受賞した。2001年『心では重すぎる』で日本冒険小説協会大賞、2002年『闇先案内人』で日本冒険小説協会大賞を連続受賞。2004年『パンドラ・アイランド』で柴田錬三郎賞受賞。2010年には日本ミステリー文学大賞受賞。2014年『海と月の迷路』で吉川英治文学賞を受賞、2022年には紫綬褒章を受章した。


「2023年 『悪魔には悪魔を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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