死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで (光文社新書 1299)

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  • 光文社
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  • / ISBN・EAN: 9784334102265

感想・レビュー・書評

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  • 「ネットカフェ難民」という言葉が出始めた頃、東京に行った序でにネットカフェの超狭い空間で1夜を過ごしてみた体験を労働組合の機関紙に寄稿したら、(大袈裟ではなく)数十人から「どうだった?」と聞かれた事がある。それ程までに、2000年代初め、若者が一挙にホームレス化を始めて、年寄り活動家はその動きについていけてなかった。その頃の私の「ロスジェネ」事情の師匠は雨宮処凛だった。「生き地獄天国」は、1人の若者がフリーター化し、貧困化し、右翼化し、市民運動家に化ける過程を描いて激オモだった。

    あれから20数年、今年彼女は49歳だという。この間彼女は、ホームレスや非正規を助ける活動をする事で、自らも助けてきたと言う。

    今も彼女はフリーランスのライターそして独身、つまり非正規である。ふと思う。働けなくなったら。お金がなくなったら。親の介護が必要になったら。それで仕事を続けるのが難しくなったら。そして自分が病気になったり入院したとき、頼る人もいなければどうしたらいいのだろう。

    ‥‥そうならない為に俺は大変な仕事をし家族も持っているんだ、という貴方(?)、そんな心配全然ないという貴方は、この本をすぐに閉じて次に行けば良い。私は残念ながら、多くは彼女の事情と被るから、この本の情報を得て図書館にいの1番に予約した。幸い予約3人待ちで1番に借りることができた。読了して後悔した。読むのに時間をかけてしまった。直ぐに返さなくっちゃ。これは1日でも長く図書館に「常備」しておかなくてはいけない本だ。これから図書館で買うという図書館司書の皆様、この本は2冊買って1冊は閲覧専用にしていただきたい。「お金がなくて、入院できなくて、仕事に就けなくて、明日死ぬかもしれない」という人に、必ずその日に必要な「情報」を届けなくてはならない本だからである。今は「情報」こそ命だ。例えば‥‥

    今や携帯が無ければ就労もできない。実はブラックリスト入りしていても契約できる携帯がある。

    奨学金のローンで、身も回らなくなっている若者は多い。2020年にできたばかりの制度に、返済の必要ない奨学金に加えて、授業料と入学金の負担が軽くなる制度がある、ということを私は初めて知った。

    不幸はいつも、ありえない方向から、個別的、具体的にやってくる。それらを具体的に助けてくれる、役所の福祉課、福祉協議会、労働相談、NPO法人たちという処がある。けれども、彼らは全ての有用な情報を持っているわけではない。「万能選手」はいない。そして不幸の人を行政は見つけ出して助けてはくれない。いつも「申請」が原則。ここには、もうちょっと深掘りしてほしいところはあるにはあるけど、それ以上に大切な、だいたいどんな処に行って相談すれば良いか(役所や警察は「相談」すると、「窓際作戦」で追い返される事もあるので、その対処法も書いている)だいたいわかる様になっている。

    金のない人たちにも、健康で文化的な生活を送るためにはこんな道があることを教えてくれる、正に「死なないノウハウ」なのである。

    • しずくさん
      レビュー、皆様のコメントに感銘を受け、私奴も図書館に予約をいれました。
      レビュー、皆様のコメントに感銘を受け、私奴も図書館に予約をいれました。
      2024/03/28
    • ひまわりめろんさん
      クマさん

      今読んでる本に「ファクトフルネス」って言葉が出てきます
      ざっくり言うと世の印象による「思い込み」を排除し、数字を見ようってことな...
      クマさん

      今読んでる本に「ファクトフルネス」って言葉が出てきます
      ざっくり言うと世の印象による「思い込み」を排除し、数字を見ようってことなんですが、とっても大切なことですよね

      不正受給を題材にした本をたくさん読んだり、報道や謝罪する有名人を目にすることで世に不正受給がはびこっている!って「思い込み」がちですが、実際には0.29%らしいです

      このことによって本来貰っていいはずの人が申請しづらくなってる現実ですよね

      あーでも窓口が不親切ってのも、わいの「思い込み」かも、窓口対応の「ファクトフルネス」ってなんだろ?
      2024/03/28
    • kuma0504さん
      ひまわりめろんさん、
      マンガ「健康で文化的な最低限度の生活(2)」によれば、
      「生活保護利用者数216万人1053人、生活保護総額3兆602...
      ひまわりめろんさん、
      マンガ「健康で文化的な最低限度の生活(2)」によれば、
      「生活保護利用者数216万人1053人、生活保護総額3兆6028億円、うち不正受給額190億5372億円、割合にして全体の0.5%(平成24年度)なのである。しかも、この巻後半で描かれているように、「不正受給者」のほとんどは制度説明の不徹底によるもので、裁判になるほどの悪質なのは100件と少ししかない。」とのことです。
      私は2%だと記憶していたのであんな書き方したのですが、今や0.2%なんですね。

      申請に一緒について行ったことがあるのですが、流石に窓際作成などは起こしませんが、それでもかなり事務的と感じました。決して、介護職員がお年寄りにする様に寄り添って会話することはありません。申請する方は、そうでなくても初めての経験でおどおどビクビクして、いろいろ言われると拒否されたように感じることはあるかもしれません。できたら詳しい人についてきてもらう方がいいかもしれませんが、できないならばこういう本で理論武装はした方がいいかもしれない。グレーゾーンの対処法など書いているからです。扶養照会は「扶養が期待できない」と判断されれば照会されない、とか、年金受けていても利用できる、とか、ペットがいても問題なく利用できる、とか、この本には書いてます。もっと他に問題は出てくるかもしれない。でも。自分に資格があるのならば、堂々ととって、いち早く自立安定して、GDPを押し上げる側に回った方が国のためにもなる。
      2024/03/28
  • はい、雨宮処凛さんだす

    著作を読むのは初めましてですが、昔よく「朝まで生テレビ!」に出演されてたのを見てました
    ゴスロリの人ですよね
    そしてとにかく必死な人っていう印象
    ザ論客って感じの人ではなくやり込められてむぅってなってる絵が浮かんでくる
    けどめげない、闘う

    中身は命を守るために、社会保障を使いこなすコツや困りごとの相談先を紹介する一冊

    ほへー、社会保障って実はいろいろあんのねーと思いました
    知らんかったなー
    つか知らせようとしてないんやな
    アリバイ作りで一応作ってはあるけど、使われないようにしとこって感じか?

    でも、まぁ色々あって参考にはなったけど、とりあえず今のわいには必要ないかな
    将来どうなるかは分からんけどね

    それにさー、この本はすごく有用で図書館にあったらいいと思うけど、いざ生活の危機に直面した人が「うわー困った!そうだ、図書館(本屋さん)に行って調べてみよう!」ってなるかなーって思うんよね
    行政は隠そうとしてるしさー

    うーん

    ( ゚д゚)ハッ!

    そうか!これってもしかしてあれじゃね?
    むしろわいみたいな人に向けて書かれた本なんじゃね?

    わいが教えてあげればいいんじゃん!

    困ってる知人や友人に、「あーなんかそんなときいいのあるって前読んだ本に書いてあったなー。ちょっと一緒に調べてみっかー」って言ってあげればいいんじゃね?

    もっちろん現実の困りごとに対処するための情報満載なんだけど、筆者本人があとがきに書かれているように、人が人にやさしくなれるように書かれた本なんじゃね?

    雨宮処凛さんみたいにがっつり困ってる人を救う活動はできないけど、せめて自分の周りにいる人にはちょっとしたお手伝いができるようなミニ雨宮処凛を作るための本だったんよ!

    よーし、わいも今日からミニミニ雨宮処凛や!(しれっとミニ1個増やしてスケールダウンしてますけど)

    • みんみんさん
      わたしもお金の本読んで勉強しよう…
      ウチは2人揃って苦手です(*/ω\*)
      わたしもお金の本読んで勉強しよう…
      ウチは2人揃って苦手です(*/ω\*)
      2024/06/08
    • ひまわりめろんさん
      みんみん

      うちは奥方様がめちゃくちゃ詳しいのでお任せコースです
      むしろこの本に書いてあることの半分くらいはプロの立ち位置です
      心配な点は途...
      みんみん

      うちは奥方様がめちゃくちゃ詳しいのでお任せコースです
      むしろこの本に書いてあることの半分くらいはプロの立ち位置です
      心配な点は途中で放り出されることのみです
      2024/06/08
    • ひまわりめろんさん
      みんみん

      うちは奥方様がめちゃくちゃ詳しいのでお任せコースです
      むしろこの本に書いてあることの半分くらいはプロの立ち位置です
      心配な点は途...
      みんみん

      うちは奥方様がめちゃくちゃ詳しいのでお任せコースです
      むしろこの本に書いてあることの半分くらいはプロの立ち位置です
      心配な点は途中で放り出されることのみです
      2024/06/08
  • クマさんのレビューを拝見し、諸事情によりこれは読まねば!!と図書館で予約した本です。
    クマさん、目の治療の最中でいらっしゃったのに、本当にご親切に有難うございました!

    クマさんも仰っていましたがこれは図書館に常設をしておかねばならない本だと感じました。
    現在18人もの方が予約を入れてらっしゃるので急ぎ読み終え、メモも取りましたので明日には返そうと思っています。

    現在、反貧困ネットワーク世話人としてライターをされている雨宮さんが、ご自身の身も守る為に現場で得た生きて行く知識を惜しみなく提示して下さっています。
    就職氷河期にぶつかりフリーターとなった雨宮さんは、49歳になられた今も非正規雇用で独身です。
    貰える年金の予定額は月に4万円。年金に関しては更に受給資格年齢が上がるのではという不安の声もあります。

    「これほど時代が様変わりしたというのに、社会保障制度だけが経済成長の時代のまま。昭和の忘れものが幅を利かせているような状況だからこそ、現実と大きな乖離を生んでいる。」

    自己責任と突き放される今だからこそ、用意されている保障をフル活用して生き抜かねばならないのに、国は大切な事は何一つ教えてはくれません。
    以前、またまた諸事情により困っていた私に、たまたま詳しい年上の方が色々ご親切に助言を下さったので乗り切れた事があり、私は本当に幸運だったと思います。

    本書は本当に色々な場面で助けになる保障制度が実例を混じえたりなどしつつビッシリと紹介されています。
    読む方によってお困りの件もそれぞれ違うと思いますが「ここは要らない、ここは必要だ」と選んで参考に出来る逆引き辞典のように使えます。
    例えば、保険証が無くて病院に行けない、仕事を探そうにも携帯がない、学費の負担が大きい、というお金の困り事から、癌になってしまった時や、高齢で賃貸物件が借りられない時の対処法まで載っており、連絡先まで書かれてあります。

    実際に困っている知り合いにこの中のいくつかを伝えた所「こんなの知らなかった。めちゃくちゃ良い制度!」と驚いていました。
    私自身もこんなに生き抜く方法があるとは目から鱗です。

    実際にこのセーフティーネットを利用出来ずにこぼれ落ち、悲しい決断をされてしまう方が多いと書かれていました。
    これもクマさんが仰っていましたが、読み終えて共感しか無かったのでこちらにも書かせて頂きます。
    全国の図書館に2冊は購入して頂き、1冊は閲覧用に常設して欲しいです。

    どうか多くの悩んでいる方々にこの本が届きますように。

    • yukimisakeさん
      マキさんおはようございます。
      そうだったんですね!
      そっかあ、本当に大変な時代だったんですね…。

      この本には、自分が悪くてフリーターになっ...
      マキさんおはようございます。
      そうだったんですね!
      そっかあ、本当に大変な時代だったんですね…。

      この本には、自分が悪くてフリーターになったのでは無い人も多いのに、勝手に自由でいたいんだろ、等のレッテルを貼られて辛い思いをした人がいるとも書いていました。

      別に今使わなくてもお守り代わりとして置いとくのも良いかなと思いました!

      マキさんもいつも癒しをありがとうございますm(_ _)m
      2024/05/31
    • kuma0504さん
      読んで頂き嬉しいです。
      ここにも書いているけど、公共の詳しい人は、労働、医療、福祉とみんな縦割り行政で分かれていて、誰に何を訊けばいいのかわ...
      読んで頂き嬉しいです。
      ここにも書いているけど、公共の詳しい人は、労働、医療、福祉とみんな縦割り行政で分かれていて、誰に何を訊けばいいのかわからない人がほとんどなんですよね。わたしもわかりません。この本読んで、あゝこんな制度もあるんだと発見の連続でした。
      雪見酒さんのお知り合いが、とりあえず落ち着いて生活ができます様に。
      2024/06/01
    • yukimisakeさん
      クマさん!
      そっか、縦割りって考えると分かりやすいですね(>_<)
      僕も分からない…
      でも、クマさんのお陰で知識が増えました!ありがとうござ...
      クマさん!
      そっか、縦割りって考えると分かりやすいですね(>_<)
      僕も分からない…
      でも、クマさんのお陰で知識が増えました!ありがとうございます(^^)
      家賃補助行くみたいです!喜んでました!しかもお友達にも伝えて、その方もやばくなったら考えるって仰ってました!
      本当に感謝、感謝です(>_<。)
      2024/06/01
  • 第665回:病気になろうが仕事がなくなろうが一文無しになろうが世の中すべてを敵に回そうが、ビクともしないだけの「死なないノウハウ」、収集しました。の巻(雨宮処凛) | マガジン9
    https://maga9.jp/240131-1/

    死なないノウハウ 雨宮処凛(著/文) - 光文社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784334102265

  • 20年の国政調査によると、この国で一番多いのは「単身世帯」で38.1%。単身世帯は一貫して増加傾向にあり、1985年は20.8%、5世帯に1世帯だったものの、今や2.5世帯に1世帯。
    また、65歳以上の高齢独居世帯は20年に672万世帯。2000年の303万世帯から倍増している。
    そんな中で増えているのが、身内がいても弔う人がいない死者。日本では年間約150万人が亡くなるが、弔う人がいない人の数は近年だけで約10万6千人。うち無縁遺骨は6万柱にのぼると言う。
    そしてこの国の貧困率は15.4%だが、突出して貧困率が高いのは単身高齢女性。一人暮らしの65歳以上の女性の実に46.1%が貧困ライン以下の生活を強いられているらしい。

    日本国憲法第二十五条で、(1)「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」 (2)「国は、すべて の生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」 と、規定して いる。 つまり国民には生存権があり、国家には生活保障の義務があるということだが、これだけ貧困者がいて、孤独死が増えていると言うことは、国が冷酷と言うことかな。

    しかし、意外といろいろな制度があることが分かった。
    とある元首相が、まず自助と宣うたが、(なかなか自分でみつけることは難しいとしても)、簡単に死なない方法(ノウハウ)があるのだ。

    お金、仕事、親の介護、健康(重い病気の時など)、いろいろなトラブル、死に際して、と章ごとに、どんな制度があり、どこに相談したら良いかなどが書かれてある。

    ほとんどの国民は、章にある事柄で、何らかの悩みがあると思うが、これを参考にすれば、何か役にたつだろうな。

  • 現代の様々な個人的な問題を解決するためのバイブル。様々な公的支援の紹介、それでも公的支援では賄えないお困りごとへの対処方は、今は困っていなくてもこの本を軽く読んでおくことで安心感が増す。
    自分に関わっている人達との関係を大事にし、あるいはこの本で得た知識で友人を助けることもできると感じた。
    結局、人生においてお金にまつわる問題が大きいと感じるが、このような本を読んでおくことで不慮のトラブルへの対処が出来ると思う。生活貧困者への支援制度がことのほか多いですね。病気になった場合の対応や終活に関することも参考になった。

  • 書店で気になり、イワケンのブログで見て、それなら読んど子ってことで入手・読了。特に独り身の方に有用な情報が盛りだくさんだけど、誰しもその可能性はある訳だし、知っておきたい内容ばかり。何かのときのため、本書の存在は心に止めおきたい。

  • 知識大事だなと。
    手元に置いておく安心感。

  • この本があれば、もし身体を壊したり仕事を辞めたりして困ったことがあっても、なんとか生きていけそうと思って心強かった。がん保険くらいは一個入っておこうかと検討したけど、自分的にはあまりメリットがない(貯金した方が良い)と思ったので契約までには至らなかった。ちょうどずっと気になってたボランティアにも参加して、頼れるNPO法人があることも知った。それを知っているかいないかで、生き死にが左右されるように思う。あとは国のセーフティネット(生活保護や健康保険、高額医療制度など)がこれからも維持してくれることを願うのみ。生活保護に反対している人たちって、自分がずっと健康で生活に困ることはないという自信があるのだろうか。それかよっぽどの大富豪?すごい謎。

  • 困ったとき、相談できる場所を知ってると知らないとでは、こんなにも安心感が違うものなんだなと思いました。
    制度等はそのときの情勢により変化していくと思いますが、知識を得る努力しようと思いました。

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著者プロフィール

1975 年北海道生まれ。作家・活動家。「反貧困ネットワーク」世話人。フリーターなどを経て2000 年、『生き地獄天国』( 太田出版/ちくま文庫) でデビュー。主な著書に『生きさせろ! 難民化する若者たち』( 太田出版/ちくま文庫)、『相模原事件・裁判傍聴記 「役に立ちたい」と「障害者ヘイト」のあいだ』( 太田出版)、『コロナ禍、貧困の記録 2020 年、この国の底が抜けた』( かもがわ出版) など多数。

「2022年 『手塚マンガで学ぶ 憲法・環境・共生 全3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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