旧統一教会 大江益夫・元広報部長懺悔録 (光文社新書)

  • 光文社 (2024年8月20日発売)
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本 ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784334103972

作品紹介・あらすじ

この世に真実を語り残しておきたい――。1992年に統一教会の広報担当になり翌年から‘99年まで約7年間にわたって広報部長を務めた大江益夫氏。『彼は早稲田で死んだ』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した著者が、その生い立ちから60年近く過ごした旧統一教会での日々、そして病を患ってからの心境の変化まで、氏の心のうちに肉薄。霊感商法、日韓トンネル、教団本部への送金問題、赤報隊事件……。大江氏が人生をかけた懺悔。

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架:169A/O18k//K

  • 旧統一教会の元広報部長が、内部から見た教団の変遷とそれに抗おうとした宗教心を赤裸々に述懐する。共に活動した信者の一部との見えざる確執があることは推察できるが、彼の懺悔録というかたちによって彼自身も非難される対象となる。人の心を惑わせる霊感商法や家庭の経済困窮を招く高額な献金システムは、救済の目的に齟齬が生じている。それは決して宗教ではなく経済活動だと断罪する。なぜ世間はそれを看過するのか、"触らぬ神に祟りなし" 社会が宗教を包摂しようとしない関係の断絶が儚く切ない。排除する共同体の病巣はこれからも悲劇を繰り返すであろう。

  • ★旧統一教会の元広報部長の懺悔録にしては、内容がお粗末で、憶測の域を出ない。何の裏付けもないので落胆した。

    優秀な広報部長もかつてはいたと聞くが、この本の大江氏は広報としての実績は無きに等しい。

    読後感で、宗教家としての香りが、感じないと思ったら、
    何とマルキストだと白状しているではないか?!
    相当の反共の組織の筈なのにマルキストが長年本体に巣食っていたとは前代未聞の珍事だろう❢

    ★著者の樋田毅氏は、元朝日新聞記者らしいが、裏取り取材もしない事で悪名高いそうだが、かなり思い込みの激しい記者が、以前大宅壮一ノンフィクション賞を取ったとは、選考委員の目は節穴ということになる。

  • 統一協会の幹部でありながら協会の反社会的な行動を諌め、自身の懺悔としてその反社会的行動の実態や教団の様々な疑いに対して私的見解を述べている。

    統一協会に対しては櫻井義秀 著『統一協会』を読み、教祖の文鮮明の軌跡や統一教会の実態などを知ることができたが、本書においてそこでは著述されていないことも赤裸々に書かれていて、統一教会が権力に対していかに食い込んでいたのか改めて確認することが出来た。特に、私兵隊が組織され自衛隊の訓練に参加していたということと、ソ連などの共産国家に対する諜報活動を行っていたという事実は、統一教会が武力を厭わず目的を遂行する姿勢や、彼らの組織力の強さを改めて実感し、このような組織が自民党に影響をもたらしている事実に改めて恐怖を感じた。


    大江氏が懺悔されている内容は、私は知らなかった事が多かったが、統一教会のことを追っている人からしたら既知のことであるだろうし、大江氏はその追認だけにとどまっているのではないかという物足りなさは感じた。大江氏はどこまで踏み込んでいいのかということは経験からよく承知されているだろうし、家族に対して危害が行くのは最も恐れている事だと思うのでそれに対しては批判的になるつもりはない。


    ただもう少し擦っていく。告発者である大江氏がいかに統一協会の逆鱗に触れずにこの組織と袂を分かつべく細心の注意を払っているのだろうと感じる。恐らくもっと口を憚る経験は山のようにあるし、内心で懺悔されているようなことはもっと沢山あるだろう。その点で非常に意地の悪いことを言えば、立ち回りであったり世渡りという言葉が頭によぎる。


    しかし、そこを批判することはあまりにも幼稚であろう。ご本人の頭のキレの良さから、上の立場の人から目をつけられ、次第に引き返せない運命に翻弄されていったのだと読んでいて合点がつくし、それを糾弾する資格は私には無いと思うのだ。


    本書を最後まで読み、教祖である文鮮明も後年は罪悪感との戦いであったのだろうかと思わせるような表現がされている。それは本人にしかわからない。ただ彼の悪名高い権力者としての立場上、共産主義との戦いが終えたあとでも一市民としての余生を過ごすことはもはや不可能であるし、むしろ権力に執着し続けることが命を終えるまで至上命題にならざるを得ないのが、この人間世界のルールなのである。様々な人生ドラマを本書は読みやすい対話式で書かれていて統一協会問題という枠を超えてある奇譚として思いを巡らすことができる。

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著者プロフィール

ジャーナリスト。1952年、愛知県出身。県立旭丘高校卒、早稲田大学第一文学部社会学科卒。’78年、朝日新聞社に入社。高知支局、阪神支局を経て大阪社会部へ。大阪府警担当、朝日新聞襲撃事件取材班キャップを務めたのち、京都支局次長、地域報道部・社会部次長、和歌山総局長。朝日カルチャーセンター大阪本部長等を経て、’12年から’17年まで大阪秘書役を務め、同年12月退社。
著書に『記者襲撃 赤報隊事件30年目の真実』(岩波書店)がある。



「2020年 『最後の社主 朝日新聞が秘封した「御影の令嬢」へのレクイエム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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