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本 ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784334103996
作品紹介・あらすじ
首都圏以外に暮らす女子高生は偏差値の高い大学への進学にメリットを感じにくい傾向にある。東大の学生団体がそのような調査結果を23年5月に公表し、大きな話題を呼んだ。調査からわかったことは、地方で暮らす女子生徒は自己評価が低く、保護者も難関大に進むことを期待せず、周囲にもロールモデルが少ないことだった。日本社会に根付くジェンダー格差に影響する「地方」×「女性」の二重構造を変えるための提言の書。
感想・レビュー・書評
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著者は江森百花さん、東京大学の在学生です。江森さんは、静岡県立静岡高校を卒業、一浪して東大に入りました。地元の同級生の女子は高めの志望校設定を知られることに強い抵抗感を持っていたといいます。片や、首都圏の東大への通学範囲にある進学校では「猫も杓子もとりあえず東大」のマインドを持ち、浪人しても東大を目指して勉強しようと考えている女子学生が当たり前にいたことを知り、そのギャップに唖然としたといいます。
さらに、江森さんは、ただ「自分が女であった」「生まれ育った場所が地方であった」というだけの、たったそれだけの理由で、東大を目指すことがはばかられたとしたら、将来の選択肢が狭められてしまったとしたら、、あまりにも、もったいない。「全ての人が生まれついた地域・ジェンダーにかかわらず自由な選択ができる社会」が実現されたその先に、真の男女共同参画があると考えている。 と言っています。
その通りだと思います。大賛成です。江森さんが、身近な東大進学ということを端緒に「真の男女共同参画」を考えていることは素晴らしいと思います。
わたしも、東大進学にかかわらず、自分の思いで、自由に、進学や就職や起業ができ、また、何度でもやり直しがきく柔軟な社会になることを希望します。自分の能力を活かして、自分の得意な分野で、のびのびと活躍できることが、個人にとっても社会にとっても、最も効果的かつ効率的だと思います。
がんばれ若者、未来を担う子どもたち、わたしはできる限り応援します!!
地方で暮らす女子高校生は、資格取得を重視する傾向があり、自己評価が低く、浪人を避ける安全志向が強いそうです。保護者も娘に難関大学や首都圏へ行くことに積極的ではなく、周囲にもロールモデルが少ないそうです。
所得格差、教育格差、文化資本格差、ジェンダー意識格差、就職格差、女子の婚姻・妊娠出産・育児・家庭生活にかかわる意識・経済・政策・環境の差が、将来設計に、特に女子に影響を与えているとしたら、それは単純に東大志望の傾向問題にはとどまりません。
東大や医学部への進学、大学進学浪人の許容など、本書を端緒に、大人はこれからの若者の未来のことを広く考えてあげましょうよ! と思います♡詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
219ページ
860円
2024年12月19日〜12月21日
自身の体験や疑問から問題をみつけ、調査を進めていくパワーがすごい。 -
地方女子学生の進学の選択肢を広げることを目指すNPOを立ち上げて活動する地方出身の現役女子東大生の著者2人が、地方と首都圏の高校生男女を対象とした意識調査やインタビューを基に、表題のとおり「なぜ地方女子は東大(遠方の難関大学)を目指さない」傾向にあるのかの構造的な要因を考察し、地方女子学生の進学意識の傾向や、周囲の環境がどのように影響しているのかを明らかにするとともに、解決策も提言。
本書の調査分析の結果、地方で暮らす女子高校生は、資格取得を重視するとともに、自己評価が低く、浪人を避ける安全志向が強い傾向があることが示された。また、保護者も男子高校生と比較して難関大学に進むことや首都圏に行くことを望まず、周囲にも参考になるロールモデルが少ないという外部要因も指摘されている。
そのような調査分析を踏まえ、解決策として、「女子枠」の設置を含めた「失敗できない」「一度きり」の入試制度の改革、同質性が高いロールモデルの長期的な提示、県人寮への地方女子学生の受け入れ促進、保護者のアンコンシャスバイアス解消プログラムの実施などを提案している。
本書のタイトルを見て、本人の意思・選択の結果なのであれば、東大を目指す女子高校生が少なくても問題ないのではないかという気もしたが、「大学進学を選ぶ場合の価値観や意識に、性別や地域といった、生まれながらに決定される属性によって大きな差が出ているのであれば、それは個人の選択や志向が、属性によって狭められたり歪められたりしているということです。私たちが目指しているのは、その状況を改善し、全ての人は十分ば選択肢の中から自分の進路を決められる社会を作ることです」という著者たちの説明に得心した。
本書のテーマは否定論を含め議論を呼びやすいものであるが、本書では、データを基にした緻密な議論がなされているとともに、冒頭の自分の疑問なども含め、想定される反論や疑問について丁寧に解消していくような論の展開がなされており、議論のベースとなる良質な本だと思う。
「女子枠」の設置についてはなお違和感が拭えないところはあるが、適切なロールモデルの提示や保護者のアンコンシャスバイアス解消の取組などの提案も至当なものだと感じた。 -
私自身元「地方女子」で上京したこともあり自分事として楽しく読めた(東大を志望できるほど頭は良くないけど)。
高校生からの膨大なアンケート結果を論拠として仮説を導き出しており、どの推論・主張も納得のいくものとなっておりとても読みやすかった。出版にあたり「行き過ぎたフェミニズムではないのか?」「女性の地方流出を促進するのか?」といった反論がおそらく数多くあり、それらに対して作者自身憤りを感じつつ、しかしながら間違っても感情論などと揶揄されないよう丁寧に、話の構成や書き方に気を配っているのがどの文章からも伝わってきた。
昨今女性管理職の割合を増やすため自社においても管理職登用の「女性枠」があり、自身も管理職になるかどうかという観点で悩んでいたため、そういった点でとても近しい悩みだと感じた。(女性の進出が求められているのは東大だけでなく企業もあたるのは言うまでもない)この本は元「地方女子」としてシンパシーを感じられるのではと思って購入したものだったが、今の自分にとって思いもよらない観点から勇気づけてもらった。読んで良かった。 -
多くのデータを元に進路選択にどれだけのジェンダーバイアスがひそんでいるのかを示す良本。いろんな人に勧めたい。私はとうに大学を卒業して企業で働いているが、学生時代親からかけられた言葉、周りからなんとなく聞こえてきた言葉はその頃も今も大差ないのだと本書を通じて知った。なんとなくそんな気はしていた。企業内でもいまだに「女性が管理職にならないのは適した人がいないだけ(能力が足りてないから仕方ない)」という言葉を聞くから。多くの人が構造的な問題やアンコンシャスバイアスに目を向けるようになってほしいと願いのような気持ちを持った。
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地方出身の私にはよくわかる内容。さほど目新しさはない。
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東2法経図・6F開架:377.21A/E54n//K
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一気読み。筆力高い。