百人一首殺人事件 (光文社文庫 や 1-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334700843

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  • キャサリンと浜口のコンビの前に起こった次の連続事件。百人一首の世界を詳細に説明してくれるところがおしゃれである。しかし米国の娘がそこまで百人一首を覚えられるものだろうか?途中からは百人一首とは別のテーマが出てきて話が複層化していくのは推理を難しくする効果があると思うが、文化の香りだけで止めておいた方が良かったと私は思うのだが…。百人一首の謎に挑んだ学者・織田正吉氏の名前が懐かしかった。

  • 大晦日・おけら詣りの夜、八坂神社で若い女性が殺された!改造した破魔矢で刺し殺され、着物の袖には1枚の札。「やくやもしほの みもこかれつつ」――百人一首のかるただ。偶然その場に居合わせたキャサリンは、浜口や狩矢警部とともにその謎に挑む。そのうち、第二、第三の事件が――。

    本書に出会ったのは小学生の頃である。当時、学校の図書室の一角にはPTA向きの本が置かれていた。図書館の常連だった私は、児童向けの本だけで満足できず、司書の先生に許可をいただいてそこにある大人向けの本も借りていた。その中にあった赤川次郎氏や山村美紗氏のミステリは、シャーロック・ホームズなどとはまた違った面白さがあり、今思えばこの時そうした作家に触れたことで国内ミステリが好きになったように思う。先日、テレビをつけると山村美紗の『京友禅の秘密』を原作とした2時間ドラマの再放送をしており、そう言えば昔読んだなぁと懐かしくなって、Amazonで中古を購入して再読してみた。

    山村美紗らしい、京都を舞台にした艶やかで鮮やかな世界。キャサリンが米国副大統領の娘という設定はすっかり忘れていたが、そんな大胆な設定も山村さんらしいし、80年代らしくていいなぁと思う。決め手になるトリックまで、この時代ならでは。もはや今となってはこんな作品は書かれないだろうという意味でも貴重だと思う。そう言えば、ミステリそのものに加えて百人一首に興味をもつきっかけになったのもこの本だったように思う。

    ミステリとしては至って普通だが、いろんな意味で自分に影響を与えてくれた本。

  • ダイアル式の電話をつかったトリックはもう見れないんだなあと、ちょっと切なくなる話。

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著者プロフィール

山村美紗
京都府京都市生まれ。京都府立大学文学部国文科卒業。教師として教壇に立つかたわら、一九六七年ごろから執筆活動を始め、テレビドラマの脚本などを担当。七〇年「京城の死」(『愛の海峡殺人事件』と改題)で江戸川乱歩賞候補になる。七四年『マラッカの海に消えた』で本格デビュー。八三年『消えた相続人』で日本文芸大賞受賞。九二年に京都府文化賞功労賞、京都府あけぼの賞受賞。九六年九月没。

「2022年 『在原業平殺人事件 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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