消えたタンカー (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334701451

感想・レビュー・書評

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  • 原油を満載したマンモスタンカーが炎上し沈没。乗船していた32名中6名が奇跡的に救出される。
    だが、この生き残った6名は何者かに命を狙われており、警察の必死の捜査にも関わらず次々と殺害されてしまう。

    生存者が殺害されるというショッキングな事件の幕開け、しかもなぜ?誰に?という疑問を考える暇もなく矢継ぎ早に事件が起きて、一気に混乱の渦中に引き込まれました。

    作中で警察は決して無能ではなく、最大限の努力をしているのも良いです。
    生存者の6名は協力的でない上に犯人もかなり巧妙に動いており、事件を防げない不自然さがありません。
    6人だけでなくその家族まで躊躇いなく殺害してしまう情け容赦ない犯人の恐ろしさが際立っていました。

    犯人と十津川警部補の緊迫した攻防が落ち着くと、事件は壮大なスケールへと展開していきます。
    世界に波及するほど大きくなる事件にどう決着をつけるのかと思いましたが、あくまでも犯罪を追う一人の刑事の視点から描いており、刑事ものの枠を外れなかったのが良かったです。ラストの十津川警部補と犯人の対決もスリリングでした。

    地道で堅実な捜査をする十津川警部補がマンモスタンカーの謎という派手な事件に挑む素晴らしいエンターテイメントだったと思います。

    ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・












    32名の中には嫌でも言い出せなかった者もいたかもしれません。広大な海上での孤独と閉塞感というのはここの所にも影響していたのではないでしょうか。

    また、生存者とされた6名全員、一週間以内にブラジルへ行かなければならないという約束は難しいものだと思いました。日本で話題になっている最中、一人二人ならまだしも、一週間で全員ブラジルへいったら怪しまれそうです。

    河野は多少遅れたもののきちんと出発したのに殺害されたというのは厳しいと思いましたが、雇われた殺し屋というヒントとして捉えることも出来たのかも。

    雇われた殺し屋なんていうのは殺人事件の犯人として追いかけるのはとても大変でしょう。
    しかし、ここに車の所有者である望月という人物を充てたのには意表を突かれました。想像しにくい「殺し屋」なんていう存在が一気に形を持って突き出された感じです。

    ダミーに元自衛隊の赤松を充てたのも上手い。あまりの手際のよさに犯人はプロだろうというのは気づきますが、元自衛隊となると信憑性があります。

  • 北インド洋で燃えたタンカー・第一日本丸。原油は全て燃えたか沈んでしまい、32名の乗員は、無事脱出できたものの6名しか救出されなかった。その6名は帰国後会見に臨んだ。
    ところが、6名のうち宮本船長が何者かに殺され、6名を皆殺しにする旨の脅迫状が見つかり、十津川警部補は亀井刑事と共に捜査を開始する。
    宮本船長がブラジル移住を計画していたことや竹田船医の退職などの情報を入手するなか、佐藤一等航海士が殺されてしまい…
    犯人が、誰を何のために狙っているのか。6名の残りを守ろうとする十津川と執拗に追いかける犯人との激戦を制したのはどちらか!?

    最後にならないと真の目的が明かされない。それまでは我々読者も警察も、犯人の陽動作戦に翻弄され続けてしまう。最初から信じ続けたストーリーでは解明できない終結であったがために、十津川が納得したいがために動いてしまったから、事件を解決する方向に向かったのは犯人たちの誤算だったろう。航路の謎、タンカーの謎、時間トリック…すべてが解き明かされたとき、とても読者も気持ちいい!

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プロフィール

1930年、東京生まれ。公務員生活の後、数々の職業を経て、創作活動に。63年「歪んだ朝」でオール讀物推理小説新人賞、65年『天使の傷痕』で江戸川乱歩賞、81年『終着駅殺人事件』で日本推理作家協会賞を受賞。2005年には、日本ミステリー文学大賞が贈られた。著作が600冊を超える国民的推理作家である。

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