寝台特急はやぶさ1/60秒の壁 (光文社文庫 し 5-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334706722

感想・レビュー・書評

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  • 島田荘司全集にて読了。今のところまったく外れなしの凄い全集。浴室で顔の皮膚を剥がされて殺されていた女が、寝台特急に乗っていたというとんでもない怪奇風味から、意外な真相が判明する作。なんか俺の知っているトラベルミステリーと違うのですが、不可能犯罪の名手らしく、謎が謎を呼びまくり面白い。交通網の発達や鑑識の進化なんかを考えると、この話はもう現代では生まれない貴重な古典ではないのかと思うと寂しく感じる。

  • 一般読者向けを意識した島田氏初のトラヴェル・ミステリという事で、『占星術殺人事件』から始まる御手洗シリ-ズとは趣を変えて、現実味を過分に加えた、比較的地味なシリーズ、所謂吉敷シリーズであるが、千鶴子の列車での存在を幽霊として仕立て上げるような、幻想性を加えることも忘れない所が面白い。

    しかし、自分が抱いたような「死体≠千鶴子」説の発想の一端さえも文面に出ないように構想自体、一線を画しているのが、少し残念だった。

  • 吉敷刑事シリーズ。
    とある小説家が自宅マンションからののぞいた部屋の風呂場には女性が入っていて…となんとのぞきから始まったのでありました。
    それはともかく、寝台特急をトリックに使うとは、何とも贅沢な話です。一昔前は結構寝台特急走っていたはずですが、さすがに広いようで狭い日本を縦横にかなりの速さで到着するようになっては、寝台特急の役割も減ってしまったのかもしれませんね。逆に贅沢な造りの寝台列車は登場したくらいですが。
    これも最後の方で、あれ?まさかと思うような終わりで、やはりこの作者の作品は一筋縄で終わらないんだわ~と思ったのでありました。

  • ドラマ見たからどんな話なのかは知ってたけど、本でも読んでみたくなって。
    けっこう忠実なかんじだったんだね。

  • トラベルミステリかと思って読むと嬉しく裏切られる。よしきたけし、語呂がいいのか悪いのかわからない。シリーズ一作目。今読んでも面白いと思う

  • 御手洗シリーズを大体読みつくしたので、やっと吉敷シリーズに手を出しました。
    時刻表トリックは、種明かしされてもへーそういう便があるんですかふーん…で終わってしまうのでつまらないという思い込みがあったのですが、さすが、それだけじゃなかった。やっぱり島田荘司はすごい。
    丁度読み始めた1/18が吉敷さんのお誕生日だったという偶然。吉敷さんハイスペックイケメンすぎて。一作目を読む限りは、御手洗のようなキャラの濃さはなさそう。吉敷シリーズはトラベルミステリというくくりになるのかな?とりあえず順番に読んでいきます。

  • 手元にあるのは古い方の光文社文庫版で、表紙がもろにトラベルミステリーなのですが、内容は顔面の皮を剥がされた浴槽の屍体の謎をメインに据えたど本格なものでした。
    著者の代名詞である奇想天外なトリックというよりは、屍体の状態から繰り広げられるロジックに見応えをかんじました。

  • これも久しぶりの再読。吉敷竹史シリーズの第一作。御手洗シリーズに比べて、オーソドックスな推理小説。派手さはないが堅実な安定感を感じる。本作は被害者が実は「ある人物の殺害計画を計画していた」という発想の転換から一気に真相が解明されていく。「はやぶさ」のトリックや謎の真相はやや単純で物足りない。最後のどんでんがえしはさすが島田荘司といった感じ。他の作品で活躍する札幌署のモーさんこと「牛越佐武郎」刑事や警視庁の中村吉造刑事の登場もうれしい。

  • 出版社にも在庫がなく、重版も未定とのことで新刊を手に入れることができず、3作目から読んだわけだが、どうしても読みたくて図書館で借りた。
    今作もやはり”大胆かつ大掛かりなトリック”が鍵となっている、が深読みしすぎて真実は見抜けず残念。
    この時代は科学の便利さと不便さ(限界)のバランスが絶妙な時代だったのかな、と思う。
    御手洗潔シリーズも最初から読みなおしたいなぁ。

  • 風呂場で顔の皮を剥ぎ取られた遺体が発見されます。捜査していくうちに、寝台特急内で被害者を目撃したという情報が寄せられるも、その時間は被害者の死亡推定時刻と被っていた。

    「何故顔の皮が剝がされていたのか?」と「推定死亡時刻に寝台特急内で目撃された女性は本当に被害者なのか?」の謎が魅力的で読者を引っ張ります。トラベルミステリーですが、時刻表を利用したアリバイトリックではなく手掛かりを掻き集めて推理する探偵小説タイプで楽しめました。
    最後の力技(著者の代名詞)は多少ご都合主義的でしたが、他作品と比べれば大人しめで許容範囲内でした。ありきたりな作品に終わらせないところは流石です。

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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