古代仏教の世界 (光文社文庫 れ 2-11 グラフィテイ・歴史謎事典 11)

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  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334710361

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  • (2016.10.21読了)(2010.09.19購入)
    「グラフィティ・歴史謎事典」シリーズの11巻目です。宗教に関しては「聖書の世界」「コーランの世界」に次いで3巻目になります。
    はしがきによると
    「本書は、とくにシャーキヤムニ・ブッダその人と、その古い教えを中心にして解説することにしている。」
    と書いてあります。「ブッダ最後の旅」を読んだところなので、読むタイミングとしては丁度よかったと思います。
    第2部で、ブッダの生涯、ブッダの教え、修行について簡潔に解説してありますので、原始仏教入門としてお勧めです。

    【目次】
    はしがき
    インドの仏教遺跡地図
    第1部 変容していく仏教の世界
    第2部 古代仏教謎事典
    2-1 ブッダ編
    2-2 教義編
    2-3 修業編
    仏教史年表
    主な参考文献

    ●出家至上主義(36頁)
    わが国の仏教史上、最も強く出家至上主義を唱えたのは道元禅師であろう。道元禅師は、在家のままで仏教をまっとうすることは不可能であるということを繰り返し繰り返し強調している。
    ●禅定(53頁)
    禅定は、もっとも安定した姿勢で座り、心理的なコントロールを行いながら精神集中し、雑念を払うことを目的としている。苦行の動的な激しさとはまったく異なる静かな行法であり、これを「修行」と呼ぶのには少なからぬ抵抗を覚えるほどである。
    ●八正道(57頁)
    一、正見。ただしく四諦の道理を観ずること。たとえば、「この世が苦に満ちたものであることは真実である」と、繰り返し観ずること。
    二、正思惟。煩悩を離れることを願い、心を正しく保つこと。
    三、正語。うそをついたり他人を中傷したりしないこと。
    四、正業。殺生をせず、盗みをはたらかず、異性と性的な交わりをもたないこと。
    五、正命。サンガの規律を守った生活を送ること。
    六、正精進。仏の道を一心不乱に歩むこと。
    七、正念。不浄観のようないろいろな瞑想を行ない、迷妄を断ち切ること。
    八、正定。正しく禅定を行うこと。
    ●四苦八苦(137頁)
    一、生苦。生まれるときの産道通過の苦しみ。
    二、労苦。いつまでも若くはいられないという苦しみ。
    三、病苦。
    四、死苦。死は必然的に訪れるという苦しみ。
    以上が「四苦」で、以下の四苦を加えて「八苦」になる。
    五、愛別離苦。いとしいものといつか別れなければならないという苦しみ。
    六、怨憎会苦。いやな人ともつきあわなければならないという苦しみ。
    七、求不得苦。求めるものが得られない苦しみ。
    八、五陰盛苦。総じて、心身(五陰)の活動が盛んであることによって苦しみが生れること。

    ☆関連図書(既読)
    「お経の話」渡辺照宏著、岩波新書、1967.06.20
    「釈尊物語」ひろさちや著、平凡社新書、1976.05.08
    「釈迦と女とこの世の苦」瀬戸内寂聴著、NHK人間講座、2000.04.01
    「ブッダ『真理のことば』」佐々木閑著、NHK出版、2011.09.01
    「寂聴生きる知恵」瀬戸内寂聴著、集英社文庫、1997.03.15
    「「いいこと」がいっぱい起こる!ブッダの言葉」植西聰著、王様文庫、2010.12.20
    「ブッダ『最期のことば』」佐々木閑著、NHK出版、2015.04.01
    「ブッダ最後の旅」中村元訳、岩波文庫、1980.06.16
    「般若心経」佐々木閑著、NHK出版、2013.01.01
    「「色即是空」の研究」山本七平・増原良彦著、日本経済新聞社、1984.10.25
    「わが般若心経」西村公朝著、新潮文庫、2002.04.01
    「生きて死ぬ智慧」柳澤桂子著・堀文子絵、小学館、2004.10.10
    ☆グラフィティ・歴史謎事典(既読)
    「古代エジプト文明の謎」吉村作治著、光文社文庫、1987.08.20
    「古代エーゲ・ギリシアの謎」吉村作治著、光文社文庫、1987.08.20
    「古代ローマ帝国の謎」阪本浩著、光文社文庫、1987.10.20
    「聖書の世界」月本昭男監修、光文社文庫、1987.12.20
    「コーランの世界」吉村作治著、光文社文庫、1988.03.20
    「マヤ文明・インカ文明の謎」落合一泰・稲村哲也著、光文社文庫、1988.07.20
    「中国古代文明の謎」工藤元男著、光文社文庫、1988.10.20
    「シルクロードの謎」町田隆吉著、光文社文庫、1989.02.20
    「インド文明5000年の謎」宮元啓一著、光文社文庫、1989.05.20
    「ハワイ・南太平洋の謎」秋道智弥著、光文社文庫、1989.07.20
    (2016年11月7日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    インドに生まれた仏教はアジア各地に広まり、そして日本へと伝わった。しかしその仏教は大いなる変容をとげていた。日本人はブッダの時代の仏教を知らない。ブッダのその人についても知らない。「あなたは仏教徒ですか?」と問いかけながら、ブッダの人物像にせまり、教義の内容や修行のあり方など、元来の仏教の実像を解きあかします。

  • 新書文庫

  • 仏教の成立を知るためのよくまとまった良書。
    日本仏教が単に葬儀仏教に堕してしまっているとはよく聞くが、そのずれが
    中国・日本の仏教が輪廻転生を信じないところにあるというのは、的を得た指摘だ。
    また、私が記憶違いしてたことに気付いた。
    いわゆる四十九日 49という数字はどこからきたかわからないが
    輪廻転生、死んでから次の転生までが49日、四十九日法要というのはこの日を持って彼の人は何かに生まれ変わるのだから、彼の人を思うのはやめよ 新しい生への壮行会。こう思っていた。だが49日目で転生するのではなく最長49日だと説明されている。そうすると早ければ死から間髪いれずに転生している。
    そういえば四十九日じゃないということを知ってたんだが、考えが固定していた、南伝仏教では葬儀が終わったら故人のことは思うのはやめにする。良き転生の妨げになるからだと言うわけだ。

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著者プロフィール

1948年生まれ。東京大学で博士(文学)号を取得。
現在、國學院大學名誉教授。
著作に、『インド哲学七つの難問』(講談社選書メチエ)、『仏教誕生』(講談社学術文庫)、『仏教かく始まりき パーリ仏典『大品』を読む』『インド哲学の教室』(春秋社)、『わかる仏教史』『ブッダが考えたこと』(角川ソフィア文庫)、『勝宗十句義論』(臨川書店)、『新訳 ミリンダ王の問い』『インド哲学教室1 インドの死生哲学』『[全訳]念処経』(花伝社)など。

「2023年 『インド哲学教室2 インドの唯名論・実在論哲学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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