本格推理 5 (光文社文庫 あ 2-16 文庫の雑誌)

制作 : 鮎川 哲也 
  • 光文社
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本棚登録 : 38
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334719708

感想・レビュー・書評

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  • 前回セイヤーズの感想で、「推理」小説ではなく推理「小説」を(セイヤーズに)求めているのがよくわかったという感想を書いたが、今回、この公募原稿からなるアンソロジーを読むに際し、奇抜なトリックよりもやはり読ませる短編に興味が自然と行った。特に最初の「犬哭島の惨劇」、終盤の「シャチの住む密室」あたりはかつて私が綾辻作品に触れた時には感じなかった素人のあまりにもいやらしい筆の滑り具合をまざまざと見せつけられ、吐き気に似た嫌悪感を憶えた。
    思えばあれが大学1年の時の頃だからもう12年以上経っているのだなぁと感慨に耽った。あの頃の私は寧ろ綾辻作品のミステリマニアの手による本格物というテイストを好んでおり、書評子がかなり手厳しい評価を下していたのに首を傾げていたのだが、この歳まで来るとその気持ちがよく解る。
    おっと閑話休題。本題に戻ろう。
    さて今回、最も印象に残ったのは「クロノスの罠」、「黒い白鳥」、「鳶と鷹」の3作品。「クロノスの罠」は本格推理に相応しい大トリックで綾辻の『時計館の殺人』の本歌取りともいえる作品で見事に消化していた。また実作家の手による「黒い白鳥」、そして公募による「鳶と鷹」は本格のトリック、驚愕の真相はもとより、その登場人物に血が通っていること、また特に「鳶と鷹」は小説を読ませる事を素人とは思えないほど熟知している構成の確かさを感じた。まさか素人の短編で落ちぶれた刑事の復活劇が読めるとは思わなかった。
    前々巻の「マグリットの幻影」のような新たなる知識を与えてくれるほどの傑作は無かったにせよ、まずは及第点のアンソロジーであった。

  • イメージ参照(http://blogs.dion.ne.jp/kentuku902/archives/2067279.html)
    (収録作品)極魔術師ドクター・フランケン(天宮蠍人)/黒い白鳥(石川真介)/妻は何でも知っている(大友瞬)/アリバイのゆくえ(九院理)/天に昇る足跡(五月たぬき)/疾走する殺意(土屋理敬)/鬼が踊る夜(永山智也)/シャチの住む密室 (早川亮)/鬼神たちの夜(深川拓)/夜間飛行(前田諭)/鳶と鷹(森輝喜)/クロノスの罠(山口三樹)/犬哭島の惨劇(吉田元紀)

  • obtnd

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