暗黒のスタートライン (光文社文庫 あ 1-63)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334722777

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  • 大学を卒業して古美術店に勤めている爽香に、元BFの明男から突然の電話があった。在学中から付き合っていた教授夫人・真理子が、ホテルで密会中に殺されたという。無実だと言う明男を信じてかくまう爽香だったが、隠れ家から明男が姿を消した直後、第二の殺人が!登場人物がリアルタイムで成長していく人気シリーズ第九弾!

  • 杉原爽香シリーズの中でも一番ダーク、一番辛い話になります。タイトルの通り暗黒であり、でもそこがスタートラインなんですよね。

    読んだ誰もが明男に憤りを覚えると思います。私は中丸教授よりも強くそれを感じました。
    母親思いのあまりに、母親が爽香に攻撃していても止めない挙句に中途半端に別れも告げずに、母親の気に入っている女と付き合い、そしてやっぱり別れも告げず、中丸夫人と不倫に陥っていくという。そんな事をしながらも爽香に連絡するとはどういう事だと。
    結果から言えば殺人を犯しておいて、あいつなら何とかしてくれるって思って頼っていったんでしょう。殺人まで隠してくれるとでも思ったのか。
    もし最初混乱していただけと言っても一人でマンションにいれば冷静にもなるでしょうし、誰に迷惑がかかるのかも自分が何をしでかしたかもわかるだろうに、女遊びまでする始末。
    挙句に罪をかぶってくれる人がでればそれに乗じる…ひどい男だなぁ。なのにそんな男がいいんですよね。

    あと次に腹が立つのが祐子。
    元彼にあたる犯罪者から連絡がきて困るのはわかるが、態度とか言動とか信じられない。しかも中丸にほいほいついていくし…自分のことを悲劇のヒロインとでも思っているのか、自分を守ることに必死であざとさが気に入らない。

    そんな中で爽香には今日子っていう友人がいてよかったなと思います。親も理解のある人で、厳しい話ですがここだけは和みました。
    一番辛かったのは最後の爽香から明男にあてた手紙。
    彼が殺人を犯したと知っていて見逃すなんてできなかった。でも彼が自分を選んでくれるという自信もなかったのだろうなぁと思う。だから手紙という手段を選ぶしかなかったんだと。
    爽香がおきるまで待っていた時間、明男は何を思ったんだろう。
    でもこれをきっかけに彼は凄く変わることになるので、罪を償う形でよかったです。気が弱いから一生背負うなんて無理でしょう。

    最後に、兄充夫と則子はこのまま絶縁でいいんじゃないかなと。
    そんな遠い縁でいじめられたりなんてしないよと、困った時だけくるなと、いらだつ夫婦ですね!

  • 49歳→39歳→40歳→41歳→42歳→43歳→44歳→48歳→47歳→46歳→45歳→38歳→37歳→36歳→35歳→34歳→夢色のガイドブック→33歳→32歳→31歳→30歳→29歳→28歳→27歳→26歳→25歳→24歳→23歳

    「それに、人は間違いをやって、大人になってくんです。間違った恋だって、するだろうし。でも、間違ったことのない人なんて、何の興味もありません」

    「人はふしぎだな。出会った相手で、人生が大きく変る。」

  • 爽香の周りにどんどん嫌な人間が増えてくる。明男は嘘を言ってまで爽香に頼り、祐子は明男に愛想を尽かしたかと思いきや自分勝手な言動が目立ってくる。極めつけは爽香の義姉の則子。夜分に杉原家を訪ねてきたかと思いきや爽香を実家から出ていかすように要求。その理由も勝手極まりないものであり、爽香の父:成也に一喝される。
    あの場面は読んでいて、爽香の両親の性格が良く表現されており、気持ちの中で拍手していた。

  • 9巻目まで来ると、好きな人しか読んでないように思うが、ますます酷くなっていくいつもの取り巻き(?)メンバー。ここまでひでえ奴らばかりがいるって云うことは爽香が引き寄せてるってこととしか思えないわ。まあ、でもここで一息付いて、まともに戻って欲しい。とは云うもののこれからも毎年周りの誰かが死ぬんだろうけど・・・

  • 元彼氏から電話が入って、かくまう事に。

    ホタルの密会中に、ちょっと席を外したら
    死体ができていた、というのはどういう状況か。
    では犯人は誰なのか、どういう状態なのか。
    毎度の事ながら、怪しげな人物が出てくるわ
    誰がそうでもおかしくないわ。

    結局…という状態で終了しましたが
    これもまた、シリアスでした。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    杉原爽香、二十三歳の秋。大学を卒業して古美術店に勤めている爽香に、元BFの明男から突然の電話。在学中から付合っていた中丸教授夫人・真理子が、ホテルで密会中に殺されたという。無実だと言う明男を信じてかくまう爽香だったが、隠れ家から明男が姿を消した直後、第二の殺人が!登場人物がリアルタイムで成長していく人気シリーズ第9弾。

    令和元年12月4日~5日

  • 爽香も遂に卒業し社会人として働き出しました!1巻から読んでいると感慨深いですね~。今回は、明男が殺人の容疑者として手配されます。困った明男はまた爽香を頼ってきて、爽香も断れずに手を貸してあげます。サクっとよめるこのシリーズですが、最後はどんでん返し!驚きました。そこまで爽香は首を突っ込まなくてもいいのに。普通に幸せな生活を送ってほしい。最後の手紙に爽香なりの覚悟がみえました。タイトルの暗黒のスタートラインはこれからの事を言っているのかと思うと怖い。次の巻を早く読みたいです。

  • 結末を知ってから読んだのでなければ、もっと衝撃を受けたであろう。よくデザインされている。
    ただ、最後にもう少し明男の心理を描いて欲しかった。爽香の深い悲しみも。惜しい、四点。(笑)

  • 爽香シリーズ第9弾、杉原爽香、23歳の秋。大学を卒業した爽香は古美術店に勤めることになる。彼女に元BF明男から突然の電話。在学中から付合っていた中丸教授夫人・真理子が明男と密会中にホテルで殺されたという。明男の無実を信じて、爽香の親友を巻き込み隠れ家にかくまうが、そこから明男が姿を消した直後、第二の殺人が…。爽香シリーズで一番重たい気分になる作品、ある意味で裏切った明男を、見切って捨てる場面があってもおかしくなかった。1996年9月11日発売。

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著者プロフィール

1948年、福岡県生まれ。1976年「幽霊列車」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。『東京零年』で第50回吉川英治文学賞受賞。「夫は泥棒、妻は刑事」シリーズ、「三毛猫ホームズ」シリーズなどミステリーの他、サスペンス、ホラー、恋愛小説まで幅広く活躍。

「2023年 『黒鍵は恋してる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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