長い長い殺人 (光文社文庫 み 13-3)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334728274

感想・レビュー・書評

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  • つい最近読み終わった『犬がいた季節』(伊吹有喜著)では(所々でだが)犬目線で、8年前に読んだ『ガソリン生活』(伊坂幸太郎著)では車目線で書かれていた。
    本書は財布目線だった。(この事実はあらすじと目次に書かれているのでネタバレではない)
    斬新だ。
    とても上手く書かれていた。

    登場人物が多かったが、どう終結するのかと、ぐいぐい引き込まれた。

    唯一自分が犯した失敗は、本書を半分以上読んだあたりでふと、ブクログレビューを読んでしまったことだ。
    たまに私は、あまりにもつまらなかったり訳がわからなかったりして、これ以上我慢して読み続けるべきか否かと悩んだ時に、ネタバレを知ってもいいという覚悟でわざとブクログレビューを拝見して、判断材料とすることがある。
    直近では『インドラネット』(桐野夏生著)の時がそうだった。
    そしてその時は読み続けようと判断した。

    しかし本書においては、せっかく楽しんで読んでいたのに、なにも途中でブクログレビューを見るべきではなかったのだ。
    しかもミステリーにおいて…

    自分がネタバレを求めていない時にはネタバレ扱いにされているレビューをあえて開くことはしないのだが、ネタバレ扱いされていない状態で思いっきり「その一語を書いちゃあおしまいでしょ〜」というレベルの語句を目にしてしまうというトラップに、本書でもはまってしまったのだ。
    (私が読んだのはこの表紙ではない2011年発刊の方のレビューなので、ここのレビューではない)
    これは、読了しないうちにレビューをふと見てしまった自分が浅はかであった。

    今回どの一語が致命傷であったのかをここに私が書いてしまってはまずいので、非公開メモの方に記しておこう。

  • 構成が面白く、登場人物の財布からの目線で物語がすすんでいきます。
    いろいろな人間模様や、登場人物の性格が書き分けられていて、とても面白く、一気に読んでしまいました。
    作者の才能が満ち溢れている作品でした。

    ミステリー好きの方は一度は読んでもいいと思いました。

  • 財布視点というトリッキーさと様々な人物を描いて重厚な事件に仕上がっていた。

  • 斬新な視点。だけに、解決されなくても成立したかも?

  • 10個のお財布が主人公という変わり種の作品。お財布だからこそ分かるものもあれば、お財布だからこそ分からないものもある。そのもどかしさが面白い。お財布たちが個性豊かなのも魅力的だと思う。

  • 刑事、探偵、証人、犯人…それぞれの人物の財布が語る一連の事件。
    財布が事件を語る、という手法が珍しいけど、読みながら物語に入り込むと、ついつい財布が語り手であることを忘れてしまい、財布の中身について言及されて「あ、そういえば財布だった」と思い出す…なんてことが何度かあった。

    ロス疑惑を彷彿とさせる事件だった。
    敢えて複雑で分かりにくくしている作風は、初期の宮部みゆきさんらしい。

    宮部みゆきさんの本って、登場人物に感情移入させるタイプの本ではないけど、早苗さんのことは、「どうか死なないでー」と思いながら読んでた。
    甥っ子がかわいそうでね。


    余談だけど、「旧友の財布」のエピソード、どこかで同じような話を読み聞きした記憶がある。
    この本を私は過去に読んだのか、ドラマで見たのか…でもこの本は初見のはずだしな。
    孤独な同級生が大事にしてるペットを殺して、素知らぬ顔で一緒に捜索、お墓を作ってあげたりして、その同級生を掌握する…。
    そしてそのペットの墓は記念碑的存在としてお気に入りの場所…という話。
    こんな嫌なエピソード、そうそうめぐり合わないと思うんだけど。
    なんだったんだろう。モヤモヤ。

  • 発想が良い。よくまとまってた。

  • 再読。
    1992年刊行。
    刑事の財布から犯人の財布まで10個の財布が語る物語。
    保険金殺人、マスコミによるセンセーショナルな報道、スター性のある人を食ったような疑惑の人物。

    面白かった。
    財布が語り手というのが斬新で、でも今のキャッシュレスの時代においては、財布を煩雑に見ることもなく、現金の多さだけで懐具合を図れず、とても懐かしく感じた。
    そして、ロス疑惑を思い出した。
    ミステリーとしても、もちろん面白かった。

  • 持ち主について、財布が語る不思議な物語。最初の違和感が、次々と出てくる財布を通して進んでゆくに従い払拭されて、どんどん引き込まれてゆく。
    犯人と思った人々が最後の最後に・・
    後半の盛り上がりから、あの結末はいかにも簡単すぎたのでは?

  • 「吾輩は猫である」の猫の視点からの作品であったが、この本は、財布からの視点で、持ち主を、見ているのが、とても新鮮に思えた。
    そして、一つずつ物語が違うのだけど、財布達の視点から、持ち主の行動や、お金の流動等が、描写されながら、短編小説が、長編小説になって行き、少し長いが、読み終えてしまった。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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