日本アパッチ族 (光文社文庫 こ 21-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334728694

感想・レビュー・書評

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  • 小松左京が身罷ってしまいました。享年80歳。

    50年代SFの正統派的な継承者としてだけではなく、全人類のかかえる哲学・思想・経済・政治などの、あらゆる問題性を措定する可能性を持った大説/全体小説の書き手として期待を一身に背負った巨人が、遂に志なかばで宇宙へと旅立ってしまいました。

    SFの存在そのものを、現実を解析するもっとも先鋭的な文学として認識して、宇宙船も火星も未来もロボットも、すべてそのための方法論的視座として駆使するという思惟に、どれだけ身震いするほど心動かされたことか測り知れません。

    文学史的には、単なる観念的な小説の書き手の埴谷雄高の方が高く評価され、SFだからといって小松左京の思弁的な小説は、同じ土俵ですら論じられたことのない歪な文学観の支配するこの現実社会。

    まあ、ごちゃごちゃ言っても始まりません。

    『継ぐのは誰か?』ですし、『果てしなき流れの果てに』です。

    昨日から、弔いのために手当たり次第に彼の作品を読み返しています。

    本書は、彼のいわば戦後文学であり、もう一方の小松左京独特の大阪人気質/革命志向の経歴/講談・落語・漫才好きとがコラボした他の誰も書けない大傑作です。


    diver0620さん (2011-07-28)
    泣。
    実家に本を取りに行って弔いに参列します。

    薔薇★魑魅魍魎さん (2011-07-30)
    きっと涙は似合わないから、ドンチャン騒ぎしてれば、ひょっとして生き返ってくるかもしれません。
    今は、短編集『地には平和を』を読んでるところです。1963年刊行のA HAYAKAWA SCIENCE FICTION SERIESというポケミスと同じ装丁の初板本です。ついに初稿掲載誌『宇宙塵』は入手できずです。

    • diver0620さん
      泣。
      実家に本を取りに行って弔いに参列します。
      泣。
      実家に本を取りに行って弔いに参列します。
      2011/07/28
  • アパッチ居るもんなぁ、資源回収日に

  • 小松左京の陽気な戦記モノ。
    鉄のニオイ。砂のニオイ。不毛のニオイ。
    痛快で、悲哀のこもったアパッチに、ブルースを感じます。

  • SFとしては古典の部類ですが、
    両作品とも国歌とは民族とは人間とは・・・と
    常に大人の生き方っを考えさせてくれる名作です。


    『日本沈没』は2度映画化され、
    TVドラマにもなりましたが、1作目の映画が最高です。

    ライトな小説ばかりではなく、
    昭和のパワーのある時代にあえてSF分野で人間を描き切った小松左京氏の名作にぜひ出会って下さい!!


    【鹿児島大学】 ペンネーム:小松さんとご近所だった桜ケ丘ササニシキ

  • 小松左京は天才だ。 どこまで掘っていっても底が見えない。小手先だけでない大きさを感じる。

  • ドタバタSFとしか言いようがないか。

  • 久しぶりに読み直した。
    小松左京の幾つかある消滅ものの中でも、好きな作品の一つ。
    大阪在勤時代に、この小説の舞台となった旧造兵工廠の跡地を知っているだけに、懐かしさも手伝って一気に読破した。

  • なんじゃこりゃー!と叫びたいくらい面白い。人類の未来の在り方を今こそ考えるべき。

  • p.7
     失業罪などという罪ができたのも、憲法改正のおかげだ。改正に反対しきれなかったのは、革新勢力が反対にばかり熱をいれ、しかも反対運動の足並みがそろわなかったからだ。――いまさら言っても愚痴みたいだし、私自身、なにもしなかったのだから大きなことは言えないが、いったい革新勢力は、保守勢力側の改正案に対して、なぜ、自分たちの改正案でたたかわなかったのだろう?――戦後憲法の、行きすぎ是正の行きすぎを是正するためには、そうするのがいちばんよかったのではあるまいか?――まあ、できてしまったことを今更どうこういってもはじまらない。革新勢力というのは、長い長い間、「反対」することになれていた。なんでも反対していれば、それはそれで意義がある時代もあったのである。しかしそのうち、それではいかんという反省も起こってきて、今度は反対しないで積極的に賛成しようということになり、それでは与党とおんなじじゃないかという反批判が出てきて、全面的反対派は部分的賛成派を右翼日和見と呼び、その逆は左翼小児病と呼ばれ、最右翼から最左翼まで何段階にもわかれてけんかした。しまいにはだれがだれの右にいて、どいつがどいつの左にいるのか、中にいる連中にもわけがわからなくなった。あげくのはてが、革新勢力の中に右も左もなくなり、ただ上と下だけがあるような状態になった。上の連中は勲章をもらい、下の連中に批判されては、右になったり左になったり、時勢におくれたり、時勢をおいこしたりしていた。インテリは、こんなことじゃ駄目だと言ったが、彼ら自身は、結局何もしなかった。――しようとすれば、たいていこの渦にまきこまれた。

  • かのSF界の巨匠小松左京氏の本を選ぶのに、エスパイだけでは何なので、お薦めの本を選んでみました。どうして有名な日本沈没じゃないかといいますと、冒頭の地学のお勉強でめげてしまった私は、リタイアしてしまったからです。(笑) で、この本なんですけど、ものすごおもしろい!スラム化した日本で食うものがなくて鉄を食べるようになった人たちの話なんですけど、一度騙されたと思って読んでみてよ。本当におもしろいから。

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著者プロフィール

昭和6年(1931年)大阪生まれ。旧制神戸一中、三校、京大イタリア文学卒業。経済誌『アトム』記者、ラジオ大阪「いとしこいしの新聞展望」台本書きなどをしながら、1961年〈SFマガジン〉主催の第一回空想科学小説コンテストで「地には平和」が選外努力賞受賞。以後SF作家となり、1973年発表の『日本沈没』は空前のベストセラーとなる。70年万博など幅広く活躍。

「2019年 『小松左京全集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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