無間人形―新宿鮫〈4〉 (光文社文庫)

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レビュー : 94
  • Amazon.co.jp ・本 (587ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334729981

感想・レビュー・書評

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  • 第110回 1993年(平成5)直木賞受賞作。犯罪者から”新宿鮫”と恐れられる刑事鮫島が活躍する『新宿鮫シリーズ』の第4弾。新宿で流行する新しいクスリ“アイスキャンディ”をめぐって、売人や製造者、暴力団、それを追う鮫島と恋人・晶の関わりが描かれる。一匹狼の鮫島であるが、この作品では人間関係や心の拠り所を楽しめる。おすすめ。このシリーズはどの作品も裏切らない。次回作が楽しみだ。

  • 新宿鮫シリーズ第4作目。
    新宿の若者たちの間で流行りだした「アイスキャンディ」
    新宿署刑事・鮫島に恋人・晶、財閥の香川兄弟、藤野組の角、元ヤクザの平瀬など様々な人間関係が入り乱れ、抗争が繰り広げられる。
    複数の人物の視点から描く、群像劇の様なストーリーがスリリングで、読んでいて飽きません。
    最後に全てが繋がって結末へと向かう場面は手に汗握ります。

  • 若者たちの間で「アイスキャンディ」と呼ばれる新型の覚醒剤が流行り始めます。アイスキャンディが日本国内で製造されていると考えた鮫島は、組織と繋がる売人の跡を追います。ところが、鮫島と同じくアイスキャンディの操作をおこなっていた麻薬取締官の塔下という男が鮫島に接触し、捜査から手を引くように要求します。もちろん鮫島も、そんなことであっさりと手を引くはずもなく、やがて角という暴力団員がアイスキャンディを扱っていることを突き止めます。

    角と結託してアイスキャンディをひそかに製造していたのは、香川昇と香川進という兄弟でした。彼らは、地元の名士として知られ政治家にも顔が利く香川運送の一族でした。さらに兄弟の従妹の香川景子は、地元のライブハウスのオーナーを務めており、かつて晶とバンドを組んでいた国前耕二という若者を店長として働かせていました。そして鮫島が事件を追うさなか、晶は耕二の店でライブをおこなうことになります。ところが、耕二の仲間でかつて暴力団の飯田組に所属していた平瀬直実という男が、香川一族が覚醒剤を扱っているという情報をつかみ、それをネタに香川家を脅迫しようとする計画を立てます。

    こうして、鮫島と麻取の対立を一方の軸とし、暴力団と香川兄弟、国前と平野のグループの抗争に晶が巻き込まれていくという展開をもう一方の軸として、ストーリーが進んでいくことになります。

    シリーズも第4作目になりますが、インターテインメント作品らしい緊密なストーリー構成についつい引き込まれてしまいます。

  • ハードボイルドにはラブストーリーも必須。愛する人の為に戦う新宿鮫が更にかっこよさを増す。

  • 大沢在昌による新宿鮫シリーズ第4弾。
    今回のテーマは覚醒剤。しかも、吸引や注射ではなく、服用するタイプで、甘い錠剤の形をしており、若者たちにとってみると新手の気持ち良くなれるクスリという位置づけのものだ。しかも、価格が安いため、若者への急速な浸透が懸念されていた。その名も「アイスキャンディ」。
    この、ネーミングセンスもさることながら、甘い味付けで覚醒剤であることを隠したまま浸透させるというアイディアも秀逸で、若者の薬物への抵抗感のなさと相まって、リアルに起こりうる犯罪であることにまず注目したい。
    さらに、本作では市場が開拓されるまでは安価にさばき、ある程度市場が出来上がって品薄感が出てきたところで価格をつり上げて儲けていくという手法が描かれている。これは正規の商売でもしばしば行われていることで、シェアを握ることの強みを裏付けている。
    近年は危険ドラッグなどが流行し、本作で描かれたような薬物依存が形を変えて浸透していっている。本作では当然その覚醒剤常習者の人への影響についても描いており、それは危険ドラッグなど他の薬物にも共通することだろうと思う。
    本作は純粋にエンターテインメントであるが、薬物反対を唱えたメッセージ作品ともいえよう。登場人物に投影した作者の思いが伝わってくるような作品である。

  • 大沢氏が本作で直木賞を受賞したのは93年。遅いくらいであ~~る!
    ま、聞いた話では、本が売れた売れないにかかわらず、賞には順番がちゃんとある・・・なんてことではあるが。
    これだけ警察小説もたくさん出版され、閉鎖的な日本の警察世界の仕組みも一般的な知識となってきている。
    そこで新宿鮫の魅力とは・・・。やっぱキャリア組なのに、そこから遺脱し、自分の正義をもって一人ででも行動するという男樹にあると思う。
    かっこいいぜ~新宿鮫!
    そうなると余計な存在になってしまう彼女の晶。
    ロックシンガーとしてのキャリアも少しずつついてきているようだし・・・新宿鮫の愛情をひとりで受けているなんて~許せん!(笑)。
    本書ではその晶も危ない目にあう、彼が新宿鮫だから。
    また新種の覚せい剤をめぐっての警察と犯人の追いかけあいだけではなく、様々な愛の形も描かれている。
    行き違いの愛ってなんだか読んでいて切なくなるし、イライラしてくる。
    そうなるといい方向へいって欲しいなぁ~って犯人にも同情したくもなるという乙女心(えへ)。
    いろんなディティールが見事にマッチし、読者を魅惑し感動させる。
    大沢氏作品にはその要素がどれにもあり、ベストセラーばかりを生み出すのも肯けるというものだ。
    大沢氏作品は読んだことのない人でも裏切らない作品ばかりですよ~。

  • 面白い!

  • 香川昇と景子の関係がもう少し詳細にわかると香川兄弟がなぜそんな危ない橋を渡るのかがすんなり入ってきたと思う。進のことはわかるが昇については見えてこない部分が多かった。鮫島と昌の今後の関係が気になる。

  • ベタすぎる展開、予定調和な展開だけど、エンタメ小説としてはさすが。一気に読んだ。

  • 新宿の若者たちの間で流行り出したアイスキャンディ。それは新型の覚せい剤だった。麻薬取締官の妨害を受けながらも、鮫島はその密売ルートを追ってゆく。 新宿鮫シリーズ第4弾。直木賞受賞作品。

    財閥・香川家の昇・進兄弟、藤野組の角、鮫島の恋人・昌の昔のバンド仲間である耕二。それぞれの独自の世界があり、それが奇妙に絡まって行く。 財閥の分家であるがための不満。組存続のための策略。のしあがるための計画。そして麻薬取締官と警察との確執。 一つのストーリーの中にこれだけのものが描かれていて、読み応え充分。 犯行動機については弱いというか、ピンとこなかったが、それは私が一般人だからだろう(爆)

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著者プロフィール

大沢 在昌:1956年、名古屋市生まれ。79年『感傷の街角』で小説推理新人賞を受賞しデビュー。代表作に『新宿鮫』(吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞長編部門)、『無間人形 新宿鮫IV』(直木賞)、『パンドラ・アイランド』(柴田錬三郎賞)、『海と月の迷路』(吉川英治文学賞)、近著に『爆身』『漂砂の塔』『帰去来』など。

「2019年 『影絵の騎士』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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