- Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334730130
作品紹介・あらすじ
「せつない」という言葉は、実は、多くの人々がしまったまま忘れた心の内の宝箱を開ける鍵になり得るのではないか(略)。そうであれば、それは、まさに、言葉の鍵、キーワードである。(略)鍵になる言葉は、いつだって、いとおしい不意打ちを、私たちに与えるものだ。(山田詠美「心の鍵穴」より)山田詠美が精選した上質な作品の数々。ほんのり苦く、ちょっぴり甘い大人の味、14編収録。
感想・レビュー・書評
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サガン、ロレンス、吉行淳之介、有島武郎、宇野千代、田辺聖子などなど、山田詠美が選ぶ短編集です。第1集、第2集、それぞれ14編ずつ。小さな子供も泣くし、笑う、でも、“せつなさ”って? いつから、私は切なさと仲良くするようになったんだろう、そんなことを考えました。
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彼女の読書量に裏打ちされた「せつない」の守備範囲は好き。
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山田詠美編のせつない話第2集を読みました。
「せつない」をテーマとしたオムニバス短編集でした。
14編の短編が収録されていますが、一番気に入ったのは、宮本輝の夜桜でした。
終わってしまおうとしている老いたカップルと、今始まったばかりの若いカップルのコントラストが心地よい短編でした。 -
「せつない話」同様
売って手放してはまた買い、を繰り返している
時々無性に読みたくなる短編集 -
何気なく古本屋さんで手にしたこの本。
1冊に短編がぎっしり詰まっていたので
面白そうだと思って読んでみたら
かなり面白かった。
山田詠美さんが選出した作品だけあるなぁっと思ってしまった。
中でも『夏の日のシェード』は
どことなく自分の恋愛を振り返るほどのせつなさを感じた。
主人公の男は、恋人を愛しているが
恋人が出て行くというまで
恋人の気持ちを分かってなかったのではないかと
今までの二人の過去を振り返る。
自分のワガママを通しすぎてきてしまっていないか?
彼女はどうおもっていたのだろうか?
友人を挟んで3人で話し合いをするまでの
主人公の回想は・・・・
読んでいる私にかなりの悲痛を与えました。
また『雪掻き』は
黒人が白人の悪口を言うことから始まる話。
黒人の男の子が近所の一人暮らしの年配の白人女性の家へ行き
雪掻きをさせてくれと頼む。
女性は最初は断ったが
すぐに気持ちを変えて
男の子に雪掻きを5ドルで頼んだ。
いつもなら1ドルしか払ってもらえない。
最高でも3ドルしかもらったことが無いのに
この女性から5ドルももらった。
それに、寒いからといって
ホットチョコレートをご馳走してくれ、暖も取らせてくれた。
その翌日、この女性は自殺し、ニュースで流れた。
男の子の家庭では、この自殺が話題になった。
父親は白人の悪口を言っていた。
でも、男の子はこの女性に優しくされたことを話、
全部の白人が悪いとは限らないのでは?っと聞く。
そのとき、父親は「死んだらみんないい人さ」っと言う。
この最後の父親の言葉にせつなさを感じた。
黒人と白人のにらみ合いは知っているが
客観的にしっているだけで、本当の苦しみは理解できていない。
でも、きっと、どこかで、全ての白人、黒人が悪いわけではないと分かっている。
その気持ちが、男の子の疑問によって
父親の心を突いたのではないかと考えました。 -
山田詠美選。
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結構好きかなぁ
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「せつない」という言葉がすき。そういう言葉がある日本語もすき。あとがきにある山田詠美さんの言葉がじわじわとくる。
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田辺聖子さんの『雪の降るまで』が一番好きです。
とても艶っぽいおはなし。