半七捕物帳〈1〉 (光文社時代小説文庫)

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  • 光文社
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レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334732295

作品紹介・あらすじ

岡っ引上がりの半七老人が、若い新聞記者を相手に昔話を語る。十九歳のとき、『石灯篭』事件で初手柄をあげ、以後、二十六年間の岡っ引稼業での数々の功名談を、江戸の世態・風俗を織りまぜて描く、捕物帳の元祖!「お文の魂」「半鐘の怪」「山祝いの夜」等十四編収録。

感想・レビュー・書評

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  • 一度図書館で借りて読んだのですが、やっぱり手元に欲しくて購入(古本だけど)。全巻揃えたい。
    書かれたのは90年くらい前になるそうなのですが、今読んでも全く古くさくない。やっぱり長年読み継がれている物にはそれなりの理由があるんだなあ、と思う事しきりです。
    推理物としての展開もさることながら、舞台の江戸の雰囲気も凄くいいんですよね。特に「お化け師匠」とか「帯取りの池」とかの序盤のちょっと怪談ぽい感じ、いかにも綺堂という感じで好きです。

  • 新聞記者の「私」が、岡っ引き上がりの半七老人から聞く事件の数々。江戸時代の世態・風俗が鮮やかによみがえる。

    いやー、素晴らしかった。
    まず文章が美しい。いかにも江戸風な、しゃっきり、さっぱりした語り口が心地よい。いくらでも読めそうな、それでいて飽きの来ない文章なのである。
    そして、それぞれの短編のクリオリティの高さには、目を瞠るものがある。
    ミステリーとしてはちょっと説得力に欠ける部分が多いのだけど、お話としてどの短編も実によくまとまっていた。全話が短編としてもやや短めなページ数になっており、それが半七捕物帳の「一話」なのだ。だれず、たるまず、ちょうどよい長さで、実際に半七老人が話したら、これぐらいだろうなぁ、と想像できる。

    いいですねぇ、半七。さすが岡本綺堂、安心して読めますねぇ。
    下手な短編集を続けて読んでしまったときなんかに、お口直しとして読むのに取っておきたいシリーズだな。

  • 手下になって、半七親分マジかっけえっス!て言いながら可愛がられたい。鰻食べたい。初出が大正時代だというのに、つい最近出版されましたと言われても信じて しまいそうな読みやすさにまず驚いた。美しい文章で描かれる江戸の風物が魅力的。時代背景が幕末なこともあって、もうすぐ消えゆく風景だと思うから尚更かもし れない。これは名作と呼ばれるの納得です。「お文の魂」から「山祝いの夜」まで14編収録。本当は青空文庫を纏めたものを読んでいる。これが無料だなんて、読ま ない理由がない。

  • 江戸時代末期に岡っ引きとして活躍し今は隠居の身の半七老人が、明治の世になって、若い新聞記者に昔の手柄話を語る。海外のミステリーを渉猟した作者が独自の形式として編み出した、捕物帳の嚆矢。江戸の暮らしぶりや、幕末の騒乱にもかかわらず日々をつつましくしたたかに暮らす人々の息遣いが伝わる。何より読み物として夢中になる面白さ。仮名遣いは現代的になっている。
    収録作品は、お文の魂、石燈籠、勘平の死、湯屋の二階、お化け師匠、半鐘の怪、奥女中、帯取りの池、春の雪解、広重と河獺、朝顔屋敷、猫騒動、弁天娘、山祝いの夜。

  •  購入は1998年と思われる。同期購入の「影を踏まれた女」か数年毎に読み返してしまう。自分がまだ存在しなかった時に書かれた本はどこかなつかしく悲しい。
     しまったままだった本書を再度手に取ったのは宮部みゆきの影響が大きい。
     私は彼女の文体が大変好きである。特に江戸物はいい。残念ながら鹿児島-薩摩-の地に住んでいては江戸の地理は不案内である。
     本作はその江戸地理にすら手を出してその時代を知ろうとした一品である。

  • 江戸時代から明治、大正、昭和と書くと、何か全く違う時代のような感じがしますが、時間は不連続に区切られているわけでもなく、いきなり別の世界が始まるわけでもなく、でも確実に変わっていくのだということを、この本を読んで実感されられます。多分まだ明治であるのでしょう、江戸時代を色濃く残した町の様子も描かれ、そこに「わたし」が岡っ引き上がりの半七老人に、現役のころの話を聞くという構成です。現役のころとは当然江戸末期とはいえ江戸時代。この、昨日から明日へ続いているの日々の中にも、全く違う時代が重なり合っていくという奇妙な感覚。捕物帳という時代探偵小説のミステリアスな部分を取り除いても十分不思議な感じでとても興味深いです。電気も通り電車も走る街中に残された江戸屋敷の一角は非常に薄暗く、雨のなかにたたずんでいる描写があるのですが、非常にリアルな浮き上がり方でぞくぞくします。そもそも、著者は明治生まれで、この作品は大正時代に著された筋金入りの時代小説。まだ古びる様子もなくかえって新鮮に読めてしまうのがすばらしい。何も風景だけではなく、その時代のものの考えや感覚・感性が反映されていて厚みを感じます。すばらしい!

  • 昭和初期執筆の作品とは思えない作品です。
    単に岡っ引きが犯罪者を取り締まるものではなく、若者(作者)が引退した老人(半七)との会話を綴った形式となっている。

    ストーリーテラーは従って半七でありそこがまた味を出しているところになっている。
    鬼平犯科帳とは違ったとりもので時代小説が好きなら一度は読んでみて欲しい作品です。

  • ちっとも古めかしさを感じないですね。
    きれいな日本語というか、正しく美しい日本語で書かれているので、とても品があり、さりとて堅苦しくはなく、江戸っ子気質でさっぱりあっさりした文面は読みやすいです。
    そうなんだよな、一から十まで言葉で伝えなくても読者に委ねればいいんだよな、と(物書きでもないくせに)思いました。
    現代で言えば、令和になったこの時代に昭和時代の話を書いているのと同じで、電灯が通ったとはいえ、そこここに江戸の夜の暗さがリアルに残っている風景。そういった雰囲気が行間からにじみ出ていて、いわば地に足のついたリアリティさが良いです。

    まだ3話までを読んだだけですがとても面白く感じました。続きも読みます。

  • 新装版1234のみ所蔵

  • 2019年3月2日、読み始め。

    読了したのは、
    ・お文の魂
    ・石燈籠
    ・勘平の死
    ・湯屋の二階
    ・お化け師匠

    171頁まで読んで、返却。

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著者プロフィール

岡本綺堂

一八七二年(明治五)東京生まれ。本名は敬二。元御家人で英国公使館書記の息子として育ち、「東京日日新聞」の見習記者となる。その後さまざまな新聞の劇評を書き、戯曲を執筆。大正時代に入り劇作と著作に専念するようになり、名実ともに新歌舞伎の作者として認められるようになる。一九一七年(大正六)より「文藝倶楽部」に連載を開始した「半七捕物帳」が、江戸情緒あふれる探偵物として大衆の人気を博した。代表作に戯曲『修禅寺物語』『鳥辺山心中』『番町皿屋敷』、小説『三浦老人昔話』『青蛙堂鬼談』『半七捕物帳』など多数。一九三九年(昭和十四)逝去。

「2019年 『玉藻の前』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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