半七捕物帳: 時代推理小説 (4) (光文社文庫 お 6-19 光文社時代小説文庫)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334732448

感想・レビュー・書評

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  • 「岡本綺堂」の連作短篇時代小説『半七捕物帳(四)新装版[光文社文庫]』を読みました。
    『半七捕物帳(一)[春陽文庫]』に続き、「岡本綺堂」作品です。

    -----story-------------
    著者「綺堂」が、長く病に臥せっていたとき『江戸名所図絵』を通読、これが『半七捕物帖』を書くきっかけになったという。  
    人間味豊かな捕物帖の世界を描いて、江戸の風物詩を現代に伝える永遠の傑作!
    『柳原堤の女』『ズウフラ怪談』『妖狐伝』等十一編収録。(全六巻)  
    推理、怪談小説、新歌舞伎の劇作家として高名な著者の代表作、より読みやすく新装刊!
    -----------------------

    江戸の岡っ引として、化政期から幕末期に数々の難事件・珍事件にかかわった岡っ引上がりの「半七老人」を、明治時代に若い新聞記者の「わたし」が訪問し、茶飲み話のうちに手柄話や失敗談を聞きだすという構成の「半七捕物帳」シリーズの第4作… 時代小説とミステリ小説を絶妙にミックスした捕物帳の元祖となるシリーズで、『東西ミステリーベスト100<新装改訂版>』の日本編で第42位にラインクインしている作品です、、、

    前回読んだ「春陽文庫」とは、収録作品数が異なるみたいです… まっ、中古で見つけたモノから読んでいるので仕方ないですね。

     ■仮面(めん)
     ■柳原堤の女
     ■むらさき鯉
     ■三つの声
     ■十五夜御用心
     ■金の蝋燭
     ■ズウフラ怪談
     ■大阪屋花鳥
     ■正雪の絵馬
     ■大森の鶏
     ■妖狐伝
     ■解説 石沢英太郎

    収録されているのは11篇… 相変わらず、どの作品も面白くて、読んでいてワクワクして、どんどん次の作品を読みたくなる魅力がありましたね、、、

    傾向としては、狐や天狗等の化け物が出るという噂から始まる怪奇譚っぽい展開から、実際には人間の仕業だった… という展開が多かったような印象ですね。

    江戸の風物や町並みが頭の中に再現され、そこで発生した数々の難事件・珍事件が愉しめます… これが凄い! って強烈な印象の残る作品があるわけじゃないのですが、飽きずに愉しめるシリーズです。

  • 1巻目からそうなのだが、江戸時代の和暦にわざわざ西暦の注釈を入れないのがとても良い。解説でも触れているが、各短編の順番は時系列ではない。だからと言って、このシリーズを読むに何ら差支えがないことがすごい。「大阪屋花鳥」のお店乗っ取り事件が大仕掛けで良かった。「妖狐伝」は、黒船が来航した幕末らしい話だった。

  • 半七捕物帳再読。半七には何度でも戻ってくる

  • 相変わらず、安定して面白い半七捕物帳。どの作品も、自分のかつての手柄話を語る半七老人の柔らかい口調と、実際に捕物をしていた頃の若き日の半七の江戸っ子口調とを見比べながら読むのもまた一興です。

    まだこの一連の作品群の5巻と6巻を読んでませんが、恐らくどの作品においても共通するのが、その短編のテーマとなる事件が発生した時点の年号と月日がきちんと設定されていること、だと思います。特に幕末になってくると、徳川の泰平の世が崩れていく不安な空気が庶民の間にも伝わっていたことがそれとなく書かれていたりして、非常に興味深いです。

    この4巻に収録されている事件は、推理小説として読者が自力で解決するにはちょっと難しいものが多いかな、という気はします。が、先にも述べたように江戸の風俗がきめ細やかに描かれているという点で、推理小説ではなく時代小説として楽しめます。

    それにしても、江戸の人は健脚だったんですね。今の時代、神田から川崎大師に歩いてお参りに行って、その日のうちに歩き通しで戻ってくるというのはちょっと辛いかな。

  • 「仮面」から「妖狐伝」まで11編収録。ズウフラとは結局なんなのか。2m弱の伝声管みたいなもの?個人で何に使うの?ごはんできたよーとか?と気になって全然集中できなかった。半七老人の「ここまでお話をすれば、もう大抵はおわかりでしょう」はある意味、読者への挑戦状であることにここまで読んできてやおら気付く。

  • 収録されているのは、「仮面(めん)」「柳原堤の女」「むらさき鯉」「三つの声」「十五夜御用心」「金の蠟燭」「ズウフラ怪談」「大阪屋花鳥」「小雪の絵馬」「大森の鶏」「妖狐伝」。

  • TVや映画で見るより想像が膨らむのが書籍のよさ、と思う。とはいえ、映像もみたくなる本です。

  • 江戸時代に岡っ引だった半七が話し、筆者がそれを書き留めるといった設定はずっと引き継がれているが、読むものを飽きさせない軽快なリズムや細やかな情景描写。この間では比較的長めの短編が収められており、ついつい引き込まれる。

    黒船が到来し、舶来のものや外人が日本に少しずつ入ってくる時代の話も多い。見慣れないものや人は、ときに怪談のネタにさえなる。
    閉鎖されていたところで住んでいた人々が、新しいものに出会う過程で驚いたり、あるいはしたたかにそれを利用して金儲けをしたりする、そんな人々の姿をみることができる。

    科学捜査のできないこの頃には、容疑者を脅したり叩いたりという荒っぽい方法が多々使われており、半七もときにそのような方法を使用するものの、半七の人情溢れる人柄が、むしろ読後感を心温かなものにさえするのである。

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著者プロフィール

(おかもと・きどう)1872~1939
東京生まれ。幼少時から父に漢詩を、叔父に英語を学ぶ。中学卒業後、新聞、雑誌の記者として働きながら戯曲の執筆を始め、1902年、岡鬼太郎と合作した『金鯱噂高浪(こがねのしゃちほこうわさのたかなみ)』が初の上演作品となる。1911年、二代目市川左團次のために書いた『修禅寺物語』が出世作となり、以降、『鳥辺山心中』、『番町皿屋敷』など左團次のために七十数篇の戯曲を執筆する。1917年、捕物帳の嚆矢となる「半七捕物帳」を発表、1937年まで68作を書き継ぐ人気シリーズとなる。怪談にも造詣が深く、連作集『三浦老人昔話』、『青蛙堂鬼談』などは、類型を脱した新時代の怪談として評価も高い。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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