半七捕物帳〈6〉 (光文社時代小説文庫)

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  • 光文社
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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334732462

感想・レビュー・書評

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  • 半七捕物帳、最終巻。

    江戸情緒あふれる、粋な捕り物シリーズもこれで終わりかと思うと、寂しい限りです。
    この巻の最終話、「白蝶怪」は他の話と比べて読み応えがあり、半七の養父・吉五郎の時代が舞台というのも却って趣きがあるように思いました。
    巻末の作品年表も良かったです。

  • 半七捕物帳の最終巻。最後の『白蝶怪』は、ほかの短編がだいたい50ページぐらいで終わる中、150ページ以上の大作となっていますが、その長さをものともせず、中弛みもせず一気に読ませてしまうあたりは流石の一言。そして、この作品の主人公は半七ではなく、半七の養父である吉五郎。『半七捕物帳』の最後を飾る作品の主役が半七ではないというのは意外でしたが、それもまた一つの風情というところでしょう。

    もう一つ特筆すべきなのが、巻末に記された年表。『半七捕物帳』のすべての作品が、その事件が起きた時系列に並べられており、どの巻のどの作品が江戸時代のいつ頃に起きたものなのかが綺麗に整理されています。このシリーズはどの作品であっても、半七老人が昔語りを始める前に「いつの時代の事件だった」かをきちんと話すのですが、全ての作品の時代設定がしっかり定まっていたとは、この年表を見るまで気づきませんでした。

    著者の岡本綺堂はシャーロック・ホームズを読んで日本版の探偵小説を書きたいと思い、江戸時代を舞台にしたこのシリーズを書いたそうです。
    ホームズものは、舞台となっている100年前のイギリスの習俗を知らないと読み解けない謎や人々の習慣が結構ありますが、この『半七捕物帳』シリーズも同様。自分の国でありながら、ほんの150年前というだけで習俗や考え方、言い回しがずいぶん違っていて、読むのに苦労します。が、ゆっくり読むことで下手な歴史書を読むよりも遥かに楽しく、当時の暮らしぶりを知ることができるのではないか、とも思います。

    なお、ホームズの作者であるドイルも、自分が生み出した多くの作品について、その事件が発生した時期や年代を設定してはいます。が、実は矛盾や穴も多く、主役の一人であるワトソン博士の結婚や離婚といった重大なイベントについても描写に食い違いがあります。そのあたりは、今でもホームズファンの議論の的となっていたりするそうです。
    反面、すべての事件を精確に並べ、ある作品の中で別の作品の事件について半七に語らせたりする芸を見せているあたり、綺堂の方がかのイギリスの医師よりも推理小説作家として秀でていたのではないか、と、身内贔屓をしてみたくもなります。

    何の気なしに第一巻を手に取って読み始めてからずいぶん経ちますが、好い時期に好い作品群に巡り合えたことに感謝しつつ、まずは本棚へ。巻末の年表を頼りに、古い時代の作品から順に読んでみるのも一興ですね。

  • 全部終わってしまった。もちろん再読に耐える本ではあるんだけど、著者が物故してるともうこれ以上作品が増えない寂しさがある。

  • 半七の物語もついに最終巻。これでもう新しいものは読めないのだなあと読む前は感慨深いものがありましたが、作中に最後を思わせる件はなく、淡々と終わってしまいました。
    「白蝶怪」という作品が、半七より時代が前なので怪談ものかと思っていたら、義父の吉五郎の物語でした。他の作品より随分長目ですが、一番面白かったですね。

  • 半七捕り物帳、最終6巻。
     すっかり江戸の風物にはまってしまい、今日は時代劇チャンネルに予約をいれたりした。
     地上波からは、時代劇はすっかりなくなりましたね。まぁ、大河ドラマくらいかな?
      大河、より、市井の人々を描いた作品が好きです。NHKの土曜時代劇が好きでしたが、BSプレミアムに時代劇は移行。
     BS持たない年配の方とかはつまらないだろうな、と思う。水戸黄門も終わったんでしたっけ?
     ずいぶん前にあった(当時は金曜時代劇だった)NHKの高橋英樹さんの、宮部みゆき原作、茂七の事件簿、よかったなぁ…。

     本を読みながらの学習ですが…。半七が、ですね。難しいのです、結構。
    ??な言葉が多々あるな。読めない漢字もあるし。どうしたって、パソコンの辞書か漢和辞典か古語辞典いりますね。ケータイではムリでしょう。
     東京人だったらわかるだろう地理も不案内。自分がいったことがあるところくらい。江戸時代の地名となるとさっぱり! その辺を学習中。

  • 半七シリーズ最終巻。

    複雑怪奇な事件も、半七の勘と回転の速さですっきり解決されていく。現代の科学捜査による事件解決も面白いが、この時代ならではの捜査方法もまた新鮮で面白く、また明快である。
    本編の中で半七は、この時代にも事件を起こして逃げ切れる犯人はそういないというような発言をしていたが、これらの時代の本を読めば読むほど岡引たちの熱意とこの時代の捜査方法は鋭く、なるほどそうかもしれないと思わせるものがある。

    最終話はこれまでの話と比べると3倍ほど長い長編となっており、一見、怪談のようにみえる事件からさまざまな人間たちの事件が明らかになってき、解決に至るまでを描いている。
    主人公が半七ではない数編のひとつであり、半七の語りが入っていないが、最後まで一気に読ませる魅力的なものとなっている。この話の主人公が最後で明らかになったとき、少しニヤリとしてしまうのは私だけではないはずだ。

    作者はシャーロック・ホームズを読んでこのシリーズを書き始めたというが、日本の風俗をふんだんに書き込んだ日本最初のミステリというのにふさわしいシリーズであった。

  • 所有している旺文社文庫版がなかったので、光文社版を……。

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著者プロフィール

岡本綺堂

一八七二年(明治五)東京生まれ。本名は敬二。元御家人で英国公使館書記の息子として育ち、「東京日日新聞」の見習記者となる。その後さまざまな新聞の劇評を書き、戯曲を執筆。大正時代に入り劇作と著作に専念するようになり、名実ともに新歌舞伎の作者として認められるようになる。一九一七年(大正六)より「文藝倶楽部」に連載を開始した「半七捕物帳」が、江戸情緒あふれる探偵物として大衆の人気を博した。代表作に戯曲『修禅寺物語』『鳥辺山心中』『番町皿屋敷』、小説『三浦老人昔話』『青蛙堂鬼談』『半七捕物帳』など多数。一九三九年(昭和十四)逝去。

「2019年 『玉藻の前』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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