鍵孔のない扉 新装版: 鬼貫警部事件簿 (光文社文庫 あ 2-39 鮎川哲也コレクション)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334732998

感想・レビュー・書評

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  • お勧め度:☆6個(満点10個)主任警部・鬼貫シリーズの長編だけれど、昭和四十四年刊行だけあって、ちょっと時代背景が古いのが玉にきずだけど、さすがに電話交換者がつなぐ電話は若者には違和感しかないかも。また、アリバイ工作も新幹線もない時代だから、蔵王から軽井沢への移動時間もちょっと不可思議さを隠せない。ただ、ラスト近くでの警部の推理考は見事かもしれない。少しずつ思考を重ね、すべての事象を細かく検討しアリバイを崩す辺りは面白かった。こうやって昔懐かしいミステリーを読むのもいい。

  • 鍵孔のない扉
     1 桜荘七〇五号室
     2 木曜日の女
     3 ある証言
     4 X氏
     5 予告電話
     6 松に歌うは
     7 いやな予感
     8 靴
     9 夜に聞く
     10 女按摩
     11 蔵王
     12 浪曲嫌い
     13 ボストンバッグ
     14 夜の掃除夫
    著者の言葉
    光文社「鍵孔のない扉」 1969年6月
    (原型 「笹島局九九〇九番」 エロチックミステリー 1963年1月、「霧の夜」 推理ストーリー 1967年8月)

    解説 北村薫
    光文社「鍵孔のない扉」 1989年2月

    解説 山前譲
    鮎川哲也と密室

  • おもしろかったし解決方法がよかった。
    地味だけどドラマチックで。

  • 少しずつ崩されていくアリバイトリックは、解説の北村薫が書く通り、「整理の快感」そのもの。今では使えないトリックもあったけど、面白かった!

  • 次から次へと容疑者が変わり一体誰が真犯人なのか予測がつかない前半と、容疑者が絞られ鬼貫警部がアリバイトリックを崩しにかかる後半の二段構えで最後まで気が抜けません。
    アリバイ崩しは、相変わらず小さな手掛かりから開けていく無駄のない展開で安定感があります。シデ虫と浪曲がポイントになっているところがとてもユニークです。
    また、今回はアリバイ崩しに「密室トリック」が使われているので、本格モノとしてはとても贅沢な作品だと思います。

  • 鬼貫警部シリーズ


    妻で声楽家の久美子と離婚した鈴木重之。彼女の愛人の存在。木曜日に逢引きする二人。部屋の持ち主・雨宮が浮気相手として考えられたが・・・。殺害された雨宮。動機を持つ重之に容疑が・・・。久美子の本当の愛人の正体。俳優である朝吹の存在。久美子の事故。朝吹の失踪。重役である鷹宮の捜査。朝吹の遺体発見。朝吹の元妻に欠けられた容疑。鬼貫警部の捜査。謎の男の持つ茶色と黒の靴の謎。

     2010年12月13日読了

  • [北村薫さんが解説を書いている]
    解説 北村薫

  • 鮎川の魅力を余すことなく堪能できる作品。小道具の使い方は相変わらず巧いし、事件の本質を表したタイトルも面白い。音楽家夫婦の口喧嘩に端を発したストーリーは、様々な人物の思考を経て大きく様変わりし、挑む価値のある完全犯罪となって読者に立ち向かってくる。前半の展開は直線的。着実に前進し、ゆっくりと少しずつ広がり始める。そして全貌が見えかけた時、鮎川お得意の強固なアリバイに行く手を阻まれる。真犯人は非常に頭のよい人物として描かれているが、私はそれを作者の分身のように思い、ひたすら感服して読んでいた。アリバイトリックというものは現実的であるから、可能性を追えばキリがない。そして本作品は、その“キリ”まで追って練り上げてあるのだから、感心するやら呆れるやら。

  • アリバイ偽装の方法がすごい!と思いました。
    そしてそれを見事にうちやぶった鬼貫警部もすごい。
    ちょい密室もあっておもしろさ満載。

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著者プロフィール

鮎川哲也(あゆかわ・てつや)
本名・中川透。1919(大8)年、東京生まれ。終戦後はGHQ勤務の傍ら、様々な筆名を用いて雑誌へ短編を投稿し、50年には『宝石』100万円懸賞の長篇部門へ投稿した「ペトロフ事件」(中川透名義)が第一席で入選した。56年、講談社が公募していた「書下ろし長篇探偵小説全集」の第13巻「十三番目の椅子」へ応募した「黒いトランク」が入選し、本格的に作家活動を開始する。60年、「憎悪の化石」と「黒い白鳥」で第13回日本探偵作家クラブ賞長編賞を受賞。受賞後も安定したペースで本格推理小説を書き続け人気作家となる。執筆活動と並行して、アンソロジー編纂や新人作家の育成、忘れられた探偵作家の追跡調査など、さまざまな仕事をこなした。クラシックや唱歌にも造詣が深く、音楽関連のエッセイ集も複数冊ある。2001年、旧作発掘や新人育成への多大な貢献を評価され、第1回本格ミステリ大賞特別賞を受賞。2002(平14)年9月24日、83歳で死去。没後、第6回日本ミステリー文学大賞を贈られた。

「2020年 『幻の探偵作家を求めて【完全版】 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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